【目的】透析シャントの臨床的閉塞症例に対する治療介入の成績を比較し,サーベイランスの重要性を検討する.【方法】2009年10月1日から2020年11月30日に臨床的透析シャント閉塞と診断され当科でvascular access interventional therapy(VAIVT)治療を行った280症例を対象とした.エコーで完全閉塞が確認された127例(閉塞群)と,血流がわずかでも認められたnear occlusion(切迫閉塞群)153例の3年後までの予後を比較した.全症例3カ月ごとにエコーでサーベイランスを行った.【結果】閉塞群の初期成功率は96%,切迫閉塞群では99.3%であった.閉塞群および切迫閉塞群の一次開存率には有意差はなかった(ハザード比:0.995, p=0.969).補助一次開存率は切迫閉塞群で良好であった(ハザード比:0.764, p<0.05).【結語】3カ月ごとのフォローアップでの可及的VAIVT対応によって,臨床的シャント閉塞症例に対する成績は受容できるものであり,エコー上near occlusionであれば完全閉塞よりも成績は良好であった.
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