日本胸部疾患学会雑誌
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26 巻, 2 号
選択された号の論文の17件中1~17を表示しています
  • 小勝負 知明, 平位 広章, 引田 亨, 河崎 雄司, 鰤岡 直人, 佐々木 孝夫
    1988 年 26 巻 2 号 p. 97-101
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    びまん性汎細気管支炎は嚢胞性線維症と呼吸器病変がきわめて類似しているため, 両者を鑑別するためにびまん性汎細気管支炎患者の汗Cl濃度と Pancreatic Function Diagnostant (PFD) を行った. びまん性汎細気管支炎患者12例の汗Cl濃度は20.6±12.2mEq/l (平均±SD) で, 健常成人に比して有意に低値 (p<0.05) であり, 60mEq/lを越える者は1例もなく, 嚢胞性線維症ではないことを確認した. びまん性汎細気管支炎患者9例に施行したPFD試験で3例に低下を認めた.
  • 望月 吉郎, 岩田 猛邦, 種田 和清, 郡 義明, 田口 善夫, 南部 静洋, 久保 嘉朗, 弓場 吉哲, 市島 国雄, 小橋 陽一郎
    1988 年 26 巻 2 号 p. 102-108
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    Pneumocystis carinii 肺炎 (以下PC肺炎) に対する co-trimoxazole 予防投与の効果および問題点につき検討した. 我々は昭和56年より, compromised host で1ヵ月以上のステロイド剤投与をうける患者を主な対象として co-trimoxazole の予防投与を実施するのを原則としている. PC肺炎の発症数は, 昭和48年から55年までが当科全剖検例155例中7例 (4.5%) であり, 昭和56年以後は当科全剖検例219例中2例 (0.9%) で減少していた (統計学的には有意差はなかった). なお予防投与法を導入後みられた2例の散発例は予防投与の対象からはずれていた症例であり, 少なくとも予防投与例からの発症はみられなかった. 予防投与は有効であると思われる. 予防投与に関する副作用は少なく安全に投与できた. 今後のPC肺炎の発症を注意深く見守り, 予防投与を行なう患者の範囲の拡大等について考慮する予定である.
  • 山岸 雅彦, 森 雅樹, 平井 英幸, 森 裕二, 小場 弘之, 鈴木 明
    1988 年 26 巻 2 号 p. 109-115
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    気腫性病変の広がりにとくに注目して肺気腫17名のCT像を検討した. 特徴的なCT像は low-attenuation area (LAA) と血管影の異常で, 多様なCT像を呈した. 気腫性病変の広がりを評価するために, LAAの分布と大きさから肺気腫のCT像を4 grades に分類した. Grade が進むにつれて, LAAの分布は広がり, 大きさは大きくなり, 血管影の異常が目だった. この CT-grading は半定量的な方法であるが, 簡便で, およその病変の広がりを評価できる. この CT-grading と肺機能との関連についても検討した. 残気率, 呼出機能は Grade IV で障害される傾向を有し, 拡散能は CT-grading に平行して障害されていた. CTはLAAの存在と分布を非侵襲的に描出できることから, 肺気腫の臨床診断および病変の広がりの評価に有用と考えられた.
  • 国友 史雄, 木村 弘, 戸島 洋一, 沖田 伸也, 巽 浩一郎, 本田 良行, 渡辺 昌平, 栗山 喬之
    1988 年 26 巻 2 号 p. 116-122
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    減量療法を目的に受診した自覚症状の無い重度肥満者群22例 (男性8例, 女性14例) と傾眠傾向を主訴に受診した肥満者群6例 (男性3例, 女性3例) に対し終夜睡眠時呼吸モニターを施行し, 肥満者における睡眠時呼吸異常について検討した. その結果, 傾眠傾向を示した肥満者群はいずれも著しい睡眠時呼吸異常を認め, その一部は高炭酸ガス血症を呈する肥満低換気症候群と診断された. また高炭酸ガス血症を呈さない肥満者や自覚症状のない重度肥満者においても睡眠時呼吸異常を呈することが多く, その傾向は特に男性において著明であった. このことは一般肥満患者を治療管理する上で十分注意すべき問題であろう. このうち, 睡眠時無呼吸症候群と診断された13例では睡眠時の低酸素血症が著しい者ほど覚醒時のPaO2は低値を, PaCO2は高値を示した. これらのことから, 高炭酸ガス血症を伴う肥満低換気症候群は肥満者に認められる睡眠時無呼吸症候群のうち重篤な一群を示したものであると思われる.
  • 坂田 哲宣, 安藤 正幸, 吉田 和子, 荘田 恭聖, 荒木 淑郎, 篠田 孝子, 池田 玲子, 小嶋 伸夫, 酒井 博
    1988 年 26 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    1家族4人のうち3人が夏型過敏性肺臓炎を発症し, 1人が非発症であった. 住居は, 建築後13年目の木造家屋で, 発症1年前南側に倉庫が建ち,日当りと風通しが悪くなっていた. 発見の発端となった患者は, 43歳男性で, 昭和60年6月末より発熱, 咳嗽, 喀痰, 呼吸困難があり, 外泊, 退院により症状が反復するため来院した. そこで患家の環境調査, 免疫学的検討および抗原吸入誘発試験を行った結果, 環境より T. cutaneum の serotype I (血清型) を分離した. 分離株に対する発症者3例の血清特異抗体は, 共に陽性であった. 発症者3例の抗原吸入誘発試験では, serotype Iに陽性2例,疑陽性1例であったが, T. cutaneum の serotype II (TIMM1318株) に対しては3例共に陰性であった. 以上より, 発症者3名をT. cutaneum に起因する夏型過敏性肺臓炎と診断し得たが, 原因抗原の決定にあたっては本菌の serotype についても考慮すべきであることが明らかになった.
  • 井上 義一
    1988 年 26 巻 2 号 p. 129-138
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    ヒト腎から均一に精製したアンジオテンシン変換酸素 (ACE) を用いてACEの直接ラジオイムノアッセイ法を確立した. そして各種肺疾患患者の血清及び気管支肺胞洗浄液 (BALF) 中のACE濃度と同時にACE活性を測定した. 正常コントロールの血清 (n=56) ACE濃度は335.2±109.1 (SD) ng/mlであり, また Rennard らの方法に従い尿素補正した正常人BALF (n=16) (肺胞被覆液(ELF) として表現) 中のACE濃度は293. 4±124.9 (SD) ng/mlであった. サルコイドーシス患者及び硅肺症患者において, 血清 (サルコイドーシス, 658.0±239.0ng/ml; 硅肺症, 509.5±186.1ng/ml) 及びBALF (サルコイドーシス, 771.5±450.8ng/ml; 硅肺症, 487.1±264.6ng/ml) 中のACE濃度は正常コントロールに比し有意に増加していた. ACE活性とACE濃度の相関係数は血清中r=0.77 (p<0.001, n=196), BALF中でr=0.96 (p<0.001, n=59) であった. BALF中のACE増加の機序の一つとして, 蛍光抗体法などの結果より, サルコイドーシス患者では肺胞マクロファージ (PAM) のACE産生が著明に亢進していること, 硅肺症患者ではACE産生の亢進したPAMの細胞数が非常に増加していることが考えられた.
  • 米井 敏郎, 大熨 泰亮, 平木 俊吉, 山下 英敏, 石井 純一, 江川 知男, 小塚 彰, 森高 智典, 宇治 秀樹, 吉田 光雄, 木 ...
    1988 年 26 巻 2 号 p. 139-144
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    未治療肺癌82例の血清 neuron-specmcenolase (NSE) 値を測定し, その臨床的意義について検討した. 82例中47例がNSE陽性を示し, 特に小細胞癌の陽性率は76.3%と高率であった. 小細胞癌のNSE平均値は33.3ng/mlと非小細胞癌10.9ng/mlに比し, 有意に高値を示した (p<0.01). 小細胞癌の病変の拡がり別では, extensive disease が limited disease に比し, 有意に高いNSE値を示した (p<0.01). 臨床病期別にみると, 病期が進むにつれてNSE値が上昇する傾向が認められた. 小細胞癌における臨床経過との相関では, 初回治療有効例の大部分でNSE値は正常域まで低下し, 悪化, 再発に伴い, 再上昇する例が多く認められ, NSE値は小細胞癌の病勢をかなり正確に反映していた. 小細胞癌完全寛解例の一部の症例においては, 臨床検査で再発が認められる前にNSE値の上昇がみられ, NSEは再発のマーカーとしても有用であると考えられた.
  • 藤沢 武彦, 山口 豊, 中川 康次, 山川 久美, 斎藤 博明, 斎藤 幸雄, 卜部 憲和, 馬場 雅行
    1988 年 26 巻 2 号 p. 145-150
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    浸潤性上前縦隔腫瘍5例に対して, 腫瘍摘除と expanded polytetranuoroethylene graft による上大静脈の血行再建を行った. 腫瘍摘除に伴う大静脈以外の合併切除隣接臓器は肺, 心膜,横隔神経, 迷走神経等であり, 上大静脈の血行再建は左腕頭静脈と右心耳間および右腕頭静脈と上大静脈間に2本のグラフトを設置したもの3例, 左腕頭静脈と右心耳間にグラフトおよび左右腕頭静脈合流部にパッチを行ったもの1例, 左腕頭静脈と上大静脈間にグラフトを設置したもの1例であった. グラフトの開存性は腕頭静脈と上大静脈間に設置したもの, 特にリング付きのものは良好であり, 最長16ヵ月の生存例を得ている. 浸潤性上前縦隔腫瘍に対する expanded polytetrafluroethylene graft による上大静脈の血行再建は手術根治度の向上, 症状の改善および手術適応の拡大といった点で意義ある手術法と考える.
  • 野田 泰弘, 安岡 劭, 藤沢 謙次, 谷 憲治, 建沼 康男, 中西 嘉巳, 大串 文隆, 尾崎 敏夫, 小倉 剛, 北谷 文彦
    1988 年 26 巻 2 号 p. 151-157
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    慢性気道疾患, ことにびまん性汎気管支炎 (DPB) におけるIgA系の病態的, 診断時意義を解明するために, 正常者を対照に, DPB, 慢性気管支炎 (CB), 気管支拡張症 (BE) 患者の血清と喀痰中の分泌型 IgA (S-IgA) とIgAを分析した. 血清中S-IgA値は3疾患群ともに上昇していたが, 上昇度は DPB 群で最も著明で, 平均値では正常者の約7倍であり, 一方CB群では最も軽度で正常者の約2.5倍であった. 血清IgA値も3疾患群ともに上昇していたが, その上昇度はS-IgAに比して軽度であり, 平均値では, DPB群で正常者の1.5倍, CB群で正常者の1.2倍の上昇に過ぎなかった. 3疾患群の喀痰中のS-IgA濃度間には有意差は認められなかった. DPBでは気道のS-IgAが血流中に移行し易い病態が存在することが, 本症における血清S-IgA値高値の一因と考えられる. 血清S-IgA値の分析は, DPBの様な末梢気道に病変の主座を置く慢性気道疾患の病態解析に有用であると考えられる.
  • 鳥居 敬, 水野 武郎, 柴田 和男, 田中 宏紀, 深井 一郎, 正岡 昭
    1988 年 26 巻 2 号 p. 158-163
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    我々は最近相次いで2例の心嚢憩室症例を経験した. 症例1は40歳の男性, 症例2は55歳の女性であるが, ともに胸部X線にて右上縦隔の異常陰影を発見され当科を受診している. 心嚢憩室は心嚢々腫と比べ右上縦隔に発生する率が高く, その鑑別診断には体位変換によるX線撮影が有用であった. また両症例とも腫瘤の増大傾向が認められたが, 心嚢憩室は心嚢々腫と比べ症状発現率が高い様に思われ, 手術により切除することが好ましい.
  • 岩見 文行, 広瀬 宣之, 矢川 克郎, 重松 信昭
    1988 年 26 巻 2 号 p. 164-168
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    20歳の男性が呼吸困難の急性発症により入院した. 胸部レ線上, 両側肺野にびまん性の斑状影が認められた. 呼吸困難発症4時間前のNO2吸入の病歴と経気管支肺生検よりNO2中毒による肺水腫と診断された. 末梢血多核白血球 (PMN) のO2-産生能が毎週測定された. 発症後6日目の活性値は極めて高く, その後呼吸困難の消失と胸部レ線上の斑状影の改善とともに正常域に帰した. PMNのルミノール依存性化学発光 (CL) も7日目の測定時上昇を示した. これらのことからPMNから発生したO2-がNO2起因の肺水腫に関与することが示唆された.
  • 辰巳 明利, 北野 司久, 山中 晃, 松井 輝夫, 山下 直己, 黄 政龍, 岩田 猛邦, 種田 和清, 相原 雅典
    1988 年 26 巻 2 号 p. 169-173
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    チフス菌感染後43年を経て顕性化した慢性膿胸の1手術例を報告した. 症例は64歳男性で, 18歳のとき右結核性胸膜炎で治療を受け, その後21歳のとき腸チフスに罹患した. 昭和61年10月頃より膿性痰をともなう咳嗽が頻発するようになり, 同年11月5日, 天理よろづ相談所病院に入院した. 胸部レ線像で右肺野につよい胸膜肥厚と石灰沈着を認め, また鏡面像を呈することから気管支瘻が疑われた. 右胸腔穿刺を行ったところ胸腔内貯留液より Salmonella typhi を同定した. 確実に一期的治癒が期待できる術式として有茎性大網充填法を用い気管支瘻を閉鎖した. 術後のCT像では膿胸腔は大網で完全に充墳され膿の再貯留は見ていない. S. typhi を起炎菌とする慢性膿胸の報告例はきわめてまれであるので報告するとともに, 難治性慢性膿胸に対する有茎性大網充填法の有用性について述べた.
  • 石橋 正文, 重松 信昭, 嶋田 国重, 米田 滋明, 川崎 健作
    1988 年 26 巻 2 号 p. 174-178
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    多発性肺動静脈瘻を有する Osler 病に脳膿蕩を合併し, tapping aspiration により, 回復し得た症例を経験し報告する. 15歳の女性, 学童期に肺血管異常陰影及びチアノーゼを指摘され, 昭和61年7月微熱, 癲癇様症状を来し入院した. 口唇部粘膜及び舌背部に毛細血管拡張が散在し, 胸部X線上, 右上中肺野の結節影と肺門に連なる索状陰影がみられた. 肺動脈造影で, 両肺に多発性の肺動静脈瘻像が確認された. 造影頭部CTで, 右前頭葉に ring enhanced される mass があり, 多発性肺動静脈瘻を有する Osler 病に脳膿瘍の併発と診断した. 脳膿瘍は排膿と抗生剤投与により治癒した. さらに Osler 病の病因について検討した.
  • 片上 信之, 坂本 廣子, 李 英徹, 石原 享介, 岩崎 博信, 梅田 文一, 中井 準, 白根 博之, 太田 仁八, 石井 昌生
    1988 年 26 巻 2 号 p. 179-184
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    既往歴に乳び胸水と頻回の自然気胸を有す26歳の女性が進行性の呼吸困難と血痰を主訴として入院した. TBLBで過誤腫性肺脈管筋腫症と診断した. 治療としてまず progesterone 200mgの筋注を開始したが効果は見られなかった. その後 tamoxifen も併用し, さらに両側卵巣に lineac 14Gyを照射するも臨床症状は改善しなかった. やがて難治性の乳び腹水を合併したため腰椎麻酔下に peritoneo jugular shunt, bilateral oophorectomy を施行した. 術後7日目にブラ破裂による気胸が原因の呼吸不全で死亡した. 剖検では肺内の動静脈壁や, 気管支壁, 肺胞中隔, 小葉間組織, 胸膜下に著明な平滑筋の増生を認めた. また肺組織のプロゲステロン, エストロゲンレセプターを測定したが, 検出されなかった. 以上, 典型的な臨床症状を有し種々の治療に抵抗した過誤腫性肺脈管筋腫症の1剖検例を報告した.
  • 豊後 雅巳, 山地 康文, 二見 仁康, 塩谷 泰一, 入野 昭三, 沖野 毅, 大森 正樹
    1988 年 26 巻 2 号 p. 185-189
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は39歳, 男性. 32歳時, 開胸肺生検にて肺線維症と診断され, その後継続的なステロイド少量療法で症状は安定していたが, 昭和60年12月肺炎を合併し, 以後呼吸困難が増強してきた為, 当科に紹介入院となる. 入院時, 血清CA19-9が3,710U/mlと高値を示し, 更に死亡までの約6ヵ月間, 病勢の悪化と共に上昇し続け, 死亡直前には120,000U/ml以上を示した. このため, 悪性腫瘍, 特に膵癌の合併を強く疑い精査したが, 臨床検査上各臓器に悪性腫瘍の存在を疑わせる所見はなく, 病理解剖でも悪性腫蕩の合併は否定された.
  • 笠松 紀雄, 沢田 晶夫, 海野 広道, 山口 哲生, 長尾 啓一, 小林 まさ子, 栗山 喬之, 林 豊
    1988 年 26 巻 2 号 p. 190-195
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    多発空洞形成性肺転移により死亡した皮膚原発悪性血管内皮腫の1剖検例を, 臨床像と対比して検討し報告した. 症例は75歳, 男性. 昭和58年6月, 頭皮原発の悪性血管内皮腫と診断され, 腫瘍切除術等の治療を受けた. 昭和60年7月, 血痰, 胸痛, 呼吸困難出現し再入院. 胸部X線写真上, 左右に多発性の薄壁空洞, および自然気胸が認められ, 治療の効果なく呼吸不全にて死亡した. 剖検時肉眼的には両側肺に多発性の空洞と不規則な斑状出血巣が認められた. 組織学的には, 空洞壁は原発巣と同様の所見が得られ転移と考えられたが, 臨床的に認められた薄壁空洞は転移巣の早期中心部壊死, その喀出, 及び空洞内の陽圧化により生じたものと考えられた.
  • 1988 年 26 巻 2 号 p. 196-204
    発行日: 1988/02/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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