日本胸部疾患学会雑誌
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29 巻, 1 号
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  • 木田 厚瑞
    1991 年 29 巻 1 号 p. 3-45
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 中島 恒幸, 今村 俊之, 中村 稔, 池田 重成, 宿輪 昌宏, 原 耕平
    1991 年 29 巻 1 号 p. 46-51
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    右室駆出率は, 右室収縮能の測定法の一つであるが, 今回, 新しく開発された熱希釈法による右室駆出率・右室容量測定を行い, 同時期に施行したKr81m心プール法による右室駆出率との比較を行い, 良好な相関を認めた. さらに慢性肺疾患患者を対象に熱希釈法により求めた右室駆出率・右室容量と右心系循環諸量との対比検討を行った. その結果, 肺動脈平均圧が20mmHg以上を呈する患者, および肺血管抵抗160dyne/sec/cm-5以上の患者において, 右室駆出率の低下, 右室容量の増大を認め, このような患者においては, 後負荷の上昇に対して右心機能が十分対応できないものと考えられた. 以上より, 熱希釈法による右室駆出率・右室容量測定は慢性肺疾患患者の右心機能評価に有用と考えられた.
  • 草島 健二, 河端 美則, 岩井 和郎, 中野 裕康, 宍戸 真司, 安野 博
    1991 年 29 巻 1 号 p. 52-58
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    Rounded Atelectasis (RoA) は画像上腫瘤影を呈し, 肺癌などが鑑別上問題となる比較的稀な病態である. われわれは, 膿胸により肺胸膜摘除術を受けた6名の患者にみられた胸膜下の限局した無気肺硬化巣7箇所を臨床病理学的に検討した. 5名は肺結核と人工気胸術の既往があり, 1名は結核性胸膜炎歴があった. 軟X線写真をとり術前の画像所見と対比した結果, 無気肺硬化巣7箇所中5箇所はRoAを呈していた. 病理学的には, 胸膜が1枚ないし数枚, ときに樹枝状に肺内へ折れ込んでおり, その外側は線維性に肥厚していた. 折れ込んだ胸膜直下の肺胞は虚脱し軽度の線維化がみられた. 以上のことより胸水や人工気胸により肺が縮小したときに胸膜が折れ込んで, その外側が浸出物で線維化し, 胸膜が折れ込んだ状態で固定され, その直下の肺胞の虚脱と浮腫, 線維化が加わりRoAが成立したと推測した.
  • 中島 明雄, 池田 賢次, 月野 光博
    1991 年 29 巻 1 号 p. 59-64
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    通常の使用量である1日400μgのプロピオン酸ベクロメタゾン (BDP) 吸入は必ずしも重症の慢性気管支喘息患者の肺機能の正常化をもたらすことが出来ない. 通常量のBDPを定期吸入しているにもかかわらず1日の最低のピークフロー値 (計測値/予測値×100, %PEFR) が常に80%以下を示した慢性気管支喘息患者13名 (男性2名, 女性11名, 平均年齢49.2±3.7歳) を対象に, BDP吸入の増量効果をピークフロー (PEFR) メーターを用いて検討した. BDP通常量吸入 (419.2±23.7μg/日, 平均値±標準誤差) 期間 (14日間) と続く大量吸入 (903.8±55.0μg/日) 期間 (14日間) での平均%PEFRを比較した. 通常量吸入期間, 大量吸入期間それぞれの最低%PEFRは計測時刻6:50a.m. と7:00a.m. の値で60.9±3.0%, および77.8±4.7%であった (p<0.01). BDPの増量による1日を通しての平均改善量はβ2刺激剤エロゾル吸入前12.1%, 吸入後12.4%であり, 改善は13例中12例に増量後1週間以内に観察された. 他方, 口腔内カンジタ症, 嗄声の出現は認められなかった. 以上より, 通常量のBDPを吸入しているにもかかわらず良好な肺機能を維持出来ない場合は, 迅速にBDPの増量を行うべきと結論した.
  • 沼尾 利郎, 福田 健, 阿久津 郁夫, 牧野 荘平
    1991 年 29 巻 1 号 p. 65-71
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    血小板活性化因子 (PAF) によるヒト末梢血好酸球遊走に及ぼす各種抗喘息薬の急性効果を, 臨床濃度付近で検討した. 薬剤による前処理は37℃, 30分間とし, 遊走活性は Boyden 法の改良法を用いて3時間培養にて行った. PAF (3×10-8M) による遊走は, aminophylline (20μg/ml) 及び isoproterenol (10nM) で約30%抑制されたが, dexamethasone (0.1μM) 及び抗アレルギー薬 (tranilast, ketotifen, azelastine) では有意な抑制効果を示さなかった. aminophylline はLTB4による好酸球遊走をPAFの場合と同程度に抑制したが, zymosan 活性化血清 (C5a) による遊走は抑制しなかった. 以上の結果より, aminophylline と isoproterenol 以下の抗喘息薬にはPAFによる好酸球遊走を著明に抑制する急性効果は認められなかった. また補体成分C5aによる好酸球遊走機序が, PAFやLTB4によるものと異なる可能性が示唆された.
  • 三上 正志
    1991 年 29 巻 1 号 p. 72-83
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    慢性気道疾患24例を対象に喀痰の好中球エラスターゼ (NE) 濃度と活性を測定し, 臨床的ならびに病態生理学的意義を検討した. さらにエリスロマイシン (EM) 療法の作用機序におけるNEの関与について検討した. NEの濃度と活性は臨床的障害度ならびに喀痰中アルブミン濃度と有意な正の, 喀痰の線毛輸送速度と有意な負の相関関係を示した. すなわち喀痰中のNEは気道内に血清由来成分であるアルブミンの漏出を招き粘液線毛系クリアランスを障害することが示唆され, その濃度と活性は臨床的障害度を良く反映していると考えられた. またEMの効果は単なる抗菌作用によるのではなく, NEの濃度と活性の低下に関連しておりアルブミン漏出の抑制, 喀痰の粘着性の低下, 線毛輸送速度の改善等, 気道内の環境を修復するためと考えられた. 喀痰中のNEが減少する機序はEMが好中球の走化性を低下させ気道局所への好中球の集積を抑制するためと考えられた.
  • 岡田 信一郎, 小林 俊介, 稲葉 浩久, 藤村 重文, 仲田 祐
    1991 年 29 巻 1 号 p. 84-88
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は61歳男性. 咳嗽, 血痰, 胸痛を主訴とし来院, 気管支鏡検査において右中間気管支幹に腫瘍を認め, 生検及び擦過細胞診で扁平上皮癌の診断が得られた. 同時に行ったカフ付き気管チューブ挿管下での吸引物の細菌学検査にて N. asteroides が単独分離された. 3週間後にも, 同方法で N. asteroides が同定された. サルファ剤, ミノサイクリン等の化学療法を行い炎症が改善した時点で, 右肺全摘術を施行した. 摘出腫瘍の病巣から N. asteroides が分離された. 臨床的に, 本症が疑われる場合は, 培養期間の延長, 培地の工夫を行うなど積極的に細菌学的検査の工夫が肝要であると考える.
  • 岩田 勝, 田野 正夫, 生田 順也, 稲垣 孝憲, 鈴木 章古, 近藤 征史, 内藤 嘉之, 松本 修一
    1991 年 29 巻 1 号 p. 89-94
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は34歳, 女性. 発熱, 咳嗽を訴え, 胸部X線写真上肺炎像を認め入院となった. セフゾナム投与により治療し, よく改善したため12日後退院した. 退院3日後, 再び高熱, 全身に水疱形成を伴う多形紅斑, 潰瘍性口内炎, 口唇炎, 偽膜性結膜炎, 外陰部びらん形成が出現し, 再入院となった. マイコプラズマ抗体価IHA 1,280倍と上昇を確認し, 初回入院時はマイコプラズマ肺炎, 再入院時はマイコプラズマによる Stevens-Johnson 症候群と診断した. またマイコプラズマCF抗原によるリンパ球刺激試験も陽性であった. 大量ステロイド投与とミノサイクリン投与により約1ヵ月後軽快した. 両下眼瞼, 球結膜の癒着を残した. マイコプラズマによる本症候群は成人では稀である. また本症候群と肺炎の発症に時間差があったことからその発症には何らかの免疫学的機序が示唆される.
  • 斎藤 幸雄, 柴 光年, 山川 久美, 馬場 雅行, 木村 秀樹, 藤沢 武彦, 山口 豊, 大和田 英美
    1991 年 29 巻 1 号 p. 95-100
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は60歳男性, 主訴は乾性咳嗽, 胸部X線写真にて右上肺野に腫瘤影が認められ, 気管支鏡検査で気管浸潤を伴う右S1原発の肺癌と診断された. 化学療法 (CDDP+VDS) 1クール, 続いて放射線療法 (50Gy) が施行されたがいずれの療法も奏効せず腫瘍の増大による気管圧迫のため呼吸困難が出現し, また上肢および体幹部に皮膚転移巣が多発した. 救命的にNd-YAGレーザーで気道の開大を行い呼吸困難および全身状態の改善が得られたため, 皮膚転移巣に対してはエタノールの局所注入あるいは摘出を行い退院となった. 外来での経過観察中 (退院時より約2ヵ月間) に残存する全ての皮膚転移巣が消失し, 続いて原発巣も退縮を示した. 現在, 発見から5年経過したが臨床的には腫瘍の再増殖は認められず健在である. 退縮の機転に関しては明らかではないが, 本症例は極めて稀な肺癌の自然退縮例であると考え報告した.
  • 田口 修, 町支 素子, 筒井 清行, 鈴木 司郎, Esteban Gabazza
    1991 年 29 巻 1 号 p. 101-104
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は28歳男性. 胸部X線異常陰影にて精査目的で入院. 赤沈軽度亢進, IAP高値, ツベルクリン反応強陽性であった. 画像的に両側肺尖部に対称的な結節陰影が認められ, 陰影の増大傾向・肺静脈の巻き込み・胸膜陥入等の所見より悪性腫瘍との鑑別困難であった. 諸検査を行なったが確定診断が得られなかった為に開胸術施行. 両側肺尖部結核腫と診断された. 画像上で良性か悪性かの鑑別診断に用いられる所見としては, 腫瘤径, 形辺縁の性状, 増大傾向の有無, 石灰化の有無腫瘤と肺血管影との関連性がある. 実際に, 画像診断のみでは, 良性と悪性病変との鑑別診断を行うのに困難なことがあり, 従って開胸切除を必要とされる症例が少なくない. 今後, 試験開胸を必要としない信頼性の高い肺結核確定診断法の確立が求められている.
  • 佐々木 巌, 森本 幸治, 古屋 佳昭, 武藤 敬, 萩原 照久, 細川 芳文, 山口 道也, 沢田 海彦, 堀江 孝至
    1991 年 29 巻 1 号 p. 105-110
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は46歳の男性. 全身リンパ節腫脹, 肝脾腫, 腎機能不全のため, 精査目的で入院した. 入院時検査所見で, 異常リンパ球の増加を伴う白血球増多, 高Ca血症, 腎機能低下, 血清の成人T細胞性白血病 (以下ATL) ウイルス抗体高値を示し, リンパ節生検及び骨髄検査の結果, ATLと診断された. 抗癌薬治療により, ATLは寛解状態に入り, ステロイド薬投与と補液によって高Ca血症及び腎不全も改善傾向にあったが, 次第に低酸素血症が増悪し, 胸部X線上, 肺水腫像を呈した. 経気管支肺生検の結果, 肺胞中隔に瀰漫性の石灰沈着を認め, 肺の異所性石灰沈着を証明した. 本症は生前確診に至った例は珍しく, また肺水腫の発生には高Ca血症の是正や腎不全の治療が関与しているとも考えられている. 今後, 高Ca血症を伴う腫瘍性疾患などで, 急速に進行する肺水腫を見た場合, その鑑別診断には本症をも含頭に置き, 補液などにあたって細心の注意が必要であると思われれる.
  • 井門 明, 長谷部 直幸, 清水 哲雄, 福澤 純, 大崎 純三, 島谷 尚樹, 藤田 結花, 辻 忠克, 大木 康生, 坂井 英一, 小野 ...
    1991 年 29 巻 1 号 p. 111-117
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は65歳男性. 数年来増強する労作時の息切れを主訴に入院した. 肺動脈造影・肺血流シンチ等各種検査の結果, 慢性反復性の肺塞栓症と診断した. Tissue plasminogen activator (t-PA) による血栓溶解療法を試み, さらに急性期および慢性期における, 酸素, 各種血管拡張薬の血行動態的な効果を検討した. 酸素・血管拡張薬により血行動態の著明な改善が認められたが, t-PAによる明らかな効果は認められなかった.
  • 田中 春仁, 中原 康治, 味元 宏道, 冨田 良照, 澤 祥幸, 山本 典孝, 大島 貞男, 後藤 紘司
    1991 年 29 巻 1 号 p. 118-123
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    55歳の女性が高熱と乾性咳嗽で近医を受診し肺炎と診断され, セフェム剤を投与されるが呼吸困難となり当科に入院した. PaO2 55.5Torr と呼吸不全状態の重症肺炎であり胸部X線上左肺全体に air bronchogram を伴う浸潤影を呈し, 胸部CTでは胸水がみられた. 鳥類接触歴よりオウム病を疑い Minocycline を投与し自覚症状の改善と3日後にはX線像の劇的な改善を得た. 後に判明したクラミジアCF抗体価は512倍と上昇し血清学的診断を得た. さらにGOT, GPT, CK, ALD, Mb の高値と筋痛から肝炎と筋炎の合併も考えられた. 入院10日目に施行したTBLBで得られた肺組織において, 光顕的には軽度の間質性肺炎像と細胞質内封入体 (LCL小体), 電顕的にクラミジアの基本小体を確認した. クラミジア粒子を人の肺において証明し得た報告はなく稀な症例と考えられた.
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