症例は40歳女性, それまで健康であったが, 入院3日前から微熱・咳嗽出現, 急速に呼吸困難増強し入院した. なお入院直前に, 飼育していたセキセイインコの雛が2羽とも死亡した. 胸部X線上, 両側性で辺縁にスリガラス様陰影を伴った広汎な浸潤影を認め, Pao
2 25Torr, Paco
2 47Torrと重症肺炎による急性呼吸不全を呈していた. また同時に肝機能異常, CPK上昇, FDP陽性を認め, 肝・筋病変及びD. I. C. など多臓器病変を伴った激症型オウム病を強く疑い, 入院当日よりMINO (400mg/日) を開始するとともに, 人工呼吸管理を始め, 更にステロイド薬とヘパリンを併用した. 発熱は, 約1週間続いたが, 胸部X線・諸酵素値も次第に改善し, 入院14日目に人工呼吸から離脱でき, 41日目に退院した. なお血清 Chlamydia CF 抗体価は, 入院後に1:32から1:256倍へと有意の上昇があり, 更に抗生物質使用直前に採取された本例の咽頭ぬぐい液及び死亡した雛の脾臓及び肝臓から, 細胞培養法により Chlamydia psittaci が分離され, オウム病の確定診断がなされた. 本例は, 健康女性に発症した激症型オウム病であるが, 早期に診断され, 人工呼吸管理とMINO, ステロイド薬, ヘパリン等により救命でき, かつ病原体である Chlamydia が分離された点で極めて重要な意義を持つ症例である.
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