褥瘡予防上の示唆をえるために,青年男女106名を対象に,体格,肢位,寝具の条件を変えて体圧を測定,その体圧構成の要因を検討した。
1) 後頭部,肩甲部の体圧はいずれの条件でも約20mmHg以下であった。
2) 仙骨部,踵部の体圧はいずれの条件でも30mmHg以上であり,下肢屈曲時は1.8~2.1倍の高さになった。
3) るいそう群の仙骨部体圧は寝具,肢位にかかわりなく,つねに高いが,肥満群はるいそう群より低く,しかもマトレスのほうがフトンより体圧は低かった。これは肢位の種類を問わず,また枕で下肢を支持したときもマトレスのほうが効果的であった。
4) 踵部の体圧は下肢を屈曲したときは仙骨部にほぼ同じ程度に高く,下肢伸展位と下肢に枕を支持したときは30mmHg未満の体圧であった。
5) るいそう群の踵部体圧は寝具条件にかかわりなくつねに高く,肥満群はるいそう群より高く,踵部ではフトンのほうがマトレスより高い体圧であった。
るいそう傾向の場合は寝具の支持力にかかわりなく骨突出の程度や皮下組織の薄さ自体が高い体圧へ関連し,肢位の変化は他の体格群より大きく体圧へ影響を与える要素といえる。一方,肥満傾向の場合は重力の大きさが寝具,腰臀部の弯曲,下肢重力の方向の変化等へ影響する要因と考えられた。
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