本研究は,大学病院に入院する患者328名を対象に,入院生活においてどのようなストレスに曝されているのかについて,38項目のストレス場面を設定し,各場面におけるストレスの程度に関する意識調査をおこなった。その結果,以下のようなことが明らかとなった。
1) 「入院で家族や知人に迷惑をかけること」「重い病気かも知れないと思うこと」「手術や検査のことを考えると不安」などの項目で,ストレスの程度が高かった。
2) 38項目について因子分析を行った結果,以下の8因子が抽出できた。
第1因子:情報の欠如 第5因子:他者からの独立
第2因子:家族への関心 第6因子:経済状況の不安
第3因子:物理・化学的な環境 第7因子:医療者側への不満
第4因子:同室者との関係 第8因子:基本的生活習慣の充足
3) さらに多次元尺度構成法によって,項目間の関係性を検討した結果,
1. 病気との関わりをもった項目群
2. 生活上の訴えを中心とした項目群
の2つに大別できた。
4) 因子分析の結果得られた8因子と,入院患者の属性との関係において,性別,年齢別,在院日数別などで有意な差がみられた。
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