日本看護研究学会雑誌
Online ISSN : 2189-6100
Print ISSN : 2188-3599
ISSN-L : 2188-3599
23 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 吉田 聡子, 佐伯 由香
    2000 年 23 巻 4 号 p. 4_11-4_17
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      Lavender,Rosemary,Citronellaの3つの精油を吸入した際の自律神経系に及ぼす作用について調べた。Lavenderの香りは,交感神経系を抑え,精神・心理面だけでなく身体的にもリラックス効果をもたらした。逆にRosemaryのように精神・心理的にリフレッシュ・スッキリとした気分を感じさせるような香りは,その作用によって一過性に交感神経系を刺激する効果を持っていることが考えられた。嗜好において個人差の大きなCitronellaのような香りでは,精神・心理面にも被験者間でかなりばらつきがあり,自律神経系への効果も複雑であった。看護領域で芳香療法を用いる場合,精油自体の持つ生理的作用と個人の嗜好とを考慮し選択する必要性のあることが考えられた。
  • 山崎 登志子, 久米 和興
    2000 年 23 巻 4 号 p. 4_19-4_29
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      本研究の目的は精神障害者が社会的自立についてどのようにとらえているかを理解し,援助の方向性を探ることである。そのために小規模作業所に通所する精神障害者自身が考えている通所目的を把握し,通所目的とその関連要因において男女による違いがあるかどうか検討を行った。4ヶ所の小規模作業所に通所する者48名を対象とし質問紙調査を行った。因子分析の結果,通所目的として次の5項目が抽出された。1.「集団生活と楽しさを求める」,2.「精神の安定を得る」,3.「生活習慣を求める」,4.「作業への取り組みを求める」,5.「消極的に参加する」。調査の結果,以下のA,Bにおいてそれぞれ性別による違いがあった。A.通所目的や,B.(a)年齢と通所目的,(b)入院回数と通所目的,(c)通所期間と通所目的,(d)作業所に長くいたい気持ちと通所目的,(e)就労意欲と通所目的との関連性。以上の結果から,性別による社会的自立に対する捉え方の違いを考慮に入れ,自立援助をしていく必要性が示唆された。
  • 丸橋 佐和子
    2000 年 23 巻 4 号 p. 4_31-4_42
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      特定機能病院で治療を受けた中高年齢患者退院後の,主介護者の心身の健康状態とその影響要因の明確化を目的として,患者の退院後早期とさらに1.5年後の縦断的調査を行った。
      研究方法は,心身の健康状態を示すGHQ-60(The General Health Questionnaire)と今回作成した質問票(一次調査,二次調査共にほぼ同一内容であり,各10および11要因を含む)の分析により行った。その結果,一時調査時のGHQ得点の平均値による心身の健康状態は異常域にあった。これに対して二次調査時は有意に改善し正常域にあった。GHQ得点を目的変数,介護者の要因を説明変数として重回帰分析を行い,GHQ得点に対する関連性を標準偏回帰係数の大きい順に見たところ,一次調査では「気がかり数」「年齢」の順に有意に関連しており,次いで「疾患の有無」が関連性のある傾向にあった。同様に二次調査においては「気がかり数」「健康感」「職業の有無」の順で共に有意に関連性のある要因であった。気がかりや介護者自身の身体の健康状態が退院後早期のみならず,さらに1.5年後もなお有意に影響する要因であることは難治性疾患を対象とする特定機能病院退院後の患者の特性から見て,充分予測される事といえる。
      本研究は介護者の心身の健康状態から,患者の退院後早期に援助の焦点を当てる事が重要である事,また,二次調査時には心身の健康状態は有意な改善が見られたとはいえ,退院後長期にわたる介護者のニードや問題に対する注意の必要性が示唆されている。
  • 江藤 真紀, 久保田 新
    2000 年 23 巻 4 号 p. 4_43-4_58
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      高齢者の転倒と主に身体的側面や心理的側面との関連性について,男性154名,女性162名,計316名の在宅健常高齢者を対象に,聞き取り調査および身体計測を行って検討した。その結果,1. 身体機能は,身長や視力などの14項目で男女間に有意差があった。2. 転倒経験者は,男性26名,女性74名,計100名であり,女性が有意(p<0.01)に多かった。また,身体機能を転倒の有無で比較すると,男性は体重と筋力,女性はバランス能力で有意差があり,いずれも転倒経験者が低値を示した。3. 調査項目間の関係を分割表分析で分析した結果,以下の項目間などに有意な関連性が見出された。即ち,自覚症状では男性は興奮状態,女性は鬱状態で転倒する傾向にあった。転倒にまつわる自己認識(若い頃から転ぶ,他人より転ぶ,普段から転ぶ)では,転ぶと認識している者の中に,日常生活で心身不調を訴えている者が目立った。また,転倒にまつわる自己認識を男女別に比較すると,転ぶと認識している男性は実際に転んだ時の傷害が重く,逆に女性は軽かった。
      以上より,高齢者の転倒は,その要因として身体機能だけではなく生活環境条件や心理的側面にも注目すべきであり,これらの条件と性別が重なって発生するものと考えられた。
  • 嶺岸 秀子, 古屋 健
    2000 年 23 巻 4 号 p. 4_59-4_72
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      本研究の目的は精神看護実習が看護学生の精神障害者イメージ,精神看護に対する態度,および事例アセスメントに及ぼす影響を検討することである。精神看護実習生298人を対象に精神看護実習の前後に質問紙調査を実施した。また,同じ内容の質問紙を精神科病棟の臨床看護者76人にも実施した。因子分析の結果に基づき,3つのイメージ次元(自閉,堅さ,神経質),2つの態度尺度(回避的,援助的),6つのアセスメント尺度(適応困難,理解受容,注意処置,肯定的対応,話題転換,静観)が構成され,実習前後における変化と実習生―看護者間の差が検討された。さらに,実習期間の長さの要因の効果を検討するために,実習生を実習経験の有無と実習期間によって3群に分け,実習の影響の大きさを比較した。
      得られた結果は次の通りである。
    1)精神看護実習によって,実習生が精神障害者に対して抱いていた否定的なイメージは弱まり,看護態度はより援助的で非回避的な方向に変化することが確認された。
    2)事例アセスメントでも6尺度のうち4尺度で実習の影響が認められた。また,事例アセスメントの変化が精神障害者イメージおよび看護態度における変化と関連していることが確認された。
    3)臨床看護者と比較した結果,これらの変化は教育的に期待される方向に向かっているものと解釈された。
    4)2つのイメージ次元(自閉,堅さ),ひとつの態度尺度(回避的),ひとつのアセスメント尺度(適応困難)において,精神看護の経験がなく2週間の実習を受けた群は実習前後で最大の変化量を示し,実習後は経験有2W群と同じ水準にまで変化した。
  • 宮本 愛, 山辺 英彰
    2000 年 23 巻 4 号 p. 4_73-4_83
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
      在宅療養に対する地域住民の意識と,看護婦の持っている知識・技術について何を期待し,どんな援助を望んでいるのかを明らかにする目的で調査した。
      近い将来,在宅療法・介護等を必要とする,あるいは関わっていく可能性が高い40歳以上の患者100名を対象に,質問紙による聞き取り調査を行った。
      その結果,以下の結論が得られた。
    1. 「自宅で療養したいが家族以外の援助を借りてまでは望まない」と思う人の割合が本稿で調査した地域では高い。
    2. 同居家族以外の支援者では訪問看護婦・士への期待が大きい。
    3. 在宅療養について相談しやすいと思う窓口として病院・訪問看護ステーションへの期待が大きい。病院の場合,医師に次いで他専門職種への期待が大きい。
    4. 社会資源の利用にあたり,どこで誰が,どんなサービスをしてくれるのか,今現在,わからない人が全体の62.5%を占める。
    5. 訪問看護婦・士には,日常生活の介助やその方法についての指導の面での期待も大きい。
  • -学術学会2誌の比較・分析より-
    川口 孝泰, 小西 美和子, 山口 桂子, 川島 みどり, 石井 トク, 泉 キヨ子, 金川 克子, 紙屋 克子, 河合 千恵子, 近田 敬 ...
    2000 年 23 巻 4 号 p. 4_85-4_91
    発行日: 2000/09/01
    公開日: 2016/03/31
    ジャーナル フリー
feedback
Top