昨今,我が国においてもDomestic Violence ; DVに対する社会的関心が高まっている。しかしながら,方法論的問題点から,DVの実態を把握することはきわめて困難である。
そこで本研究では,大阪府T市内の某救命救急センターにおけるDV被害者の状況について明らかにすることを目的とした。
調査の結果,DV被害者と考えられた患者数は,1998年から2001年の間に,女性8人,男性1人であった。主に看護記録による情報から,DVと判断されるまでの経緯は「入院時に被害者自身が告白した」「入院時に被害者の家族が告白した」「入院時に加害者が告白した」「治療経過の中で被害者が告白した」の4パターンに分類できた。さらに,医療者のDVに対する知識が不充分であったために,彼らが被害者の家族や関係機関との連携的役割を充分に果たしていないという現状が明らかとなった。
DV患者の早期発見と治療に向けた,効果的システムの構築が望まれよう。
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