家畜繁殖研究會誌
Print ISSN : 0453-0551
18 巻, 1 号
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  • II. 摘出子宮の自発性運動に及ぼすadrenalin,acetylcholineおよびoxytocinの影響
    渡部 敏
    1972 年 18 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1972/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    Magnus法による自発性子宮運動の観察法については,摘出子宮の重量に対して荷重4倍から5倍を負荷した場合,最も安定した基線と振幅を示し,性周期の各時期における自発性子宮運動に明らかな差異が認められ,ラットの子宮運動は性周期に伴って規則的に変化することは,さきに報告1)した。そこでこの方法を用いてAdr.,Ach.およびOxy.などの薬剤がラットの摘出子宮の自発性子宮運動にいかなる影響を及ぼすかについて検索した結果,次の所見が得られた。
    1)Adr.によって子宮筋は弛緩し,基線は下降して自発性子宮運動は明らかに抑制された。
    2)Ach.によって子宮筋は強度の収縮を示し,基線は上昇して,自発性子宮運動は明らかに亢進した。このAch.に対する子宮筋の反応は特に第II期において著明であった。
    3)Ach.による自発性子宮運動の充進作用はAdr.によって抑制された。
    4)Oxy.は子宮筋に対し強直性の収縮を来たし,自発性子宮運動は著明に充進した。このOxy.による子宮筋の強直性の収縮状態は特に第II期において著明であったが,第IV期においてはほとんど認められなかった。
    5)Oxy.による子宮筋の強直性の収縮状態はAdr.によって緩和された。
  • V.正常牛および繁殖障害牛における子宮洗浄液中の有機成分の消長について
    菅 徹行, 檜垣 繁光
    1972 年 18 巻 1 号 p. 6-10
    発行日: 1972/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    繁殖経歴および性周期その他に異常が認められなかった22頭および繁殖障害牛25頭,合計47頭のホルスタイン種雌牛から55例の子宮洗浄液を採取し,その中の総脂質,総窒素,還元糖を性周期ならびに繁殖障害に関連して調べた。結果を要約すれば次のとおりである。
    1.正常牛では,性周期における子宮洗浄液中の総脂質,総窒素,還元糖はいずれも共通した消長を示し,発情期に低く,黄体期に有意に増加した。発情期群の値に対する発情後15~18日群値の増加はそれぞれ2.8,3.9,5.1倍であった。グリコーゲンは子宮洗浄液中ほとんど検出されなかった。
    2.急性および慢性カタル性内膜炎群における発情後9~16日目の子宮洗浄液中の3成分は,正常牛の同期のものに比較していずれも低く,そのうち総脂質と総窒素値に有意差が認められた。
    3.卵胞のう腫•黄体のう腫群における各値はいずれも正常群における発情期と黄体中期の値のあいだにあり,黄体のう腫群の総脂質と総窒素値は同期の正常群のものと比較して有意に低かった。
    4.卵巣萎縮群の各成分は,繁殖障害牛5群のうちで最低値を示し,総脂質と総窒素値は性周期中で最低であった発情期の値よりも有意に低かった。
  • 武石 昌敬, 常包 正, 中野渡 亀夫
    1972 年 18 巻 1 号 p. 11-14
    発行日: 1972/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    ウシ胎児下垂体からLHを抽出したのち,GREEPの前立腺重量法によりLHを測定した。その結果,雌雄ともに5ヵ月齢でLHを認め,胎齢の進むに伴い増量が認められた。
    LH量の雌雄別によるちがいは,8,9ヵ月齢で明らかに雄の方が多かった。
  • I.錠剤化凍結における牛精子の生存に対する効果
    永瀬 弘, 富塚 常夫, 花田 章, 細田 達雄, 森本 久
    1972 年 18 巻 1 号 p. 15-21
    発行日: 1972/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    牛精子の生存に対するアマイド(ギ酸,酢酸,プロピオン酸,ブチル酸,マロン酸,乳酸,吉草酸)の凍害防止効果を,錠剤化凍結法を用いてしらべた。
    0.31,0.93,1.55,2.17,3.1M濃度(終末)のアマイドを含む卵黄クエン酸ソーダ液で採取精液を10倍に希釈し,20°Cに30分おいた後の精子生存率を観察した。また次の実験では同様に希釈した精液を5°Cに冷却し,希釈後2~3時間で,その0.1mlを凍結した。凍結1~5時間後40°Cとの金属板上で融解し,そのままおよび融解液(緩衝液加牛乳,原精液とほぼ等張)を加えて精子の生存状態を観察した。
    1.20°C,30分後における各種のアマイド濃度中の精子の生存
    乳酸アマイド処理区が各濃度を通して最良の成績を示し,対照のグリセリンのそれとほぼ同じであった。
    次いで酢酸,プロピオン酸,ギ酸,ブチル酸のアマイドの処理区の順に精子生存成績が低下し,とくにブチル酸アマイド処理区では1.55M濃度で精子はほとんど死滅した。
    供用したアマイド中で分子量の大きい( ?? 102)マロン酸アマイドは1.55M濃度まではかなり良好な精子生存成績を示したが,それ以上の濃度は溶解度の低いため実験できなかった。なお吉草酸アマイドは毒性が強いようで.希釈直後に精子は死滅した。
    この実験成績は,これらのアマイドの牛精子に対する透過性および毒性の程度を示すものと考えられる。
    2. 凍害防止効果
    供用したすべてのアマイドはブチル酸および吉草酸のアマイドを除き凍害防止効果を示した。良好な効果がギ酸,酢酸ならびに乳酸のアマイドで認められ,その効果は対照のグリセリンのそれと同じかまたはそれに近い。
    プロピオン酸およびマロン酸のアマイドの効果は前3者に比べ明らかに劣っていた。
    ギ酸および乳酸のアマイド処理精子は,凍結,融解後いわゆる融解液で再希釈することにより,その精子生存(運動)率が対照的な変化を示す。すなわち前者では著しい改善を,乳酸アマイドでは明らかな低下を示した。
    対照のグリセリン,DMSO,エチレングリコールの3者の比較では,グリセリンが最良の効果を示し,次いでエチレングリコール,DMSOの順であった。
  • II. 4日性周期における下垂体の排卵誘起力の変遷とMetestrusの日のpentobarbital麻酔による排卵日の遅延について
    岡本 道生
    1972 年 18 巻 1 号 p. 22-28
    発行日: 1972/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    The ovulating hormone (O. H.) content in the mouse pituitary was determined throughout the normal 4-day estrous cycle, bioassayed by the extra-ovulation inducing potency. The preovulatory decrease of O. H. onset soon after 10 am of the day of proestrus from the maximal level in the cycle, and cotinued through 1pm, 4 pm, 6 pm, 9 pm, and finally the content of O. H. reached to the minimal level at 0 am of the day of vaginal estrus. It is revealed that the release of O. H. is continued further even after the period, 5 pm of the day of proestrus, when the enough quantity of O. H. to cause ovulation has already been released.
    Since the onset of decrease of pituitary potency was observed at 10 am, the injections of pentobarbital (Nembutal) was started at 10 am of the day of proestrus for the blockade of ovulation. Although the single injection was not effective, the repetition of additional injections for every 2 hrs. until 10 pm was attained the blockade of ovulation in all animals. This is also the case where the injection is started at 1 pm. These results may indicate that pentobarbital anethesia which covers all over the term of preovulatory O. H. decrease in the pituitary, is able to delay the periodical ovulation by 24-hrs.
    A sudden increase of pituitary O. H. content was observed from noon to 4 pm of the day of metestrus. By this increase the content of O. H. attained to a level of the early morning of pro-estrus. Repeated injections of Nembutal for every 2 hrs. from noon to 10 pm on the day of metestrus also caused a delay in ovulation by one day together with a delay in appearence of the vaginal smear of proestrus.
    In the period from noon to 4 pm of the days of estrus and diestrus, an appreciable change in 0. H. content of the pituitary was observed.
    It is noteworthy that the time of fluctuation of O. H. content in pituitary was found every day around the time coresponding to the so-called "critical period" in the day of proestrus.
  • 石島 芳郎, 平林 忠
    1972 年 18 巻 1 号 p. 29-33
    発行日: 1972/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    PMS注射による家兎の過排卵誘起に,著者らが過排卵効果を高めるのに有効と報告したestradiol併用の処理法を用いて,処理後の妊娠と分娩ならびにそれらに及ぼすprolactin投与の影響を検討した。
    その結果,estradiol併用の過排卵処理は,従来のPMSとHCGだけの処理法より,いくぶん妊娠率が高くなったが,平均着床数および分娩の割合は変わらず,その着床数は正常着床数の範囲にあり,妊娠したほとんどの個体は分娩にいたらなかった。これに対し,交配後1,2,3,4および5日に合計100~200IU,あるいは交配後0,2,4,6および8日に合計100IUのprolactinを投与したグループでは,いずれの区も,妊娠率,平均着床数,分娩の割合が増加する傾向にあり,平均着床数においては1.5~2倍多く,さらに妊娠した個体はほとんど分娩させることができたが,妊娠途中の胎児の発死率が高く,産子数は,平均で正常家兎の産子数より下まわっていた。交配後0,1および3日,1,3および5日,または5,6および7日に,それぞれ合計150IUのprolactinを投与した区は,分娩割合は改善したがその他の成績は過排卵処理のみの区と変わりないか,むしろ低い傾向のものさえあった。prolactin投与区内では,交配後1,2,3,4および5日に合計200IUの投与区が平均着床数20.7(うち生存胎児数13.3)で,着床数において優り,交配後0,2,4,6および8日に合計100IUを投与した区が,平均着床数18.0(うち生存胎児数14.3)で,生存胎児数が優った。今回の実験で過剰妊娠と考えられる生存胎児15以上を有した個体は,estradiol併用過排卵処理のみの区には1例もみられなかったが,prolacinを投与したグループには妊娠した24例のうち8例にみられ,そのうち3例は生存胎児をそれぞれ24,21,20とかなり多く有していた。これらのことから,過排卵処理家兎に交配後連続5日あるいは隔日5日proractinを投与することは,着床成績の改善や妊娠維持に有効なことが推察された。しかし,今回の方法によっても,依然,着床前および直後の胚の損失,妊娠後半の胎児死亡は相変らず高く,さらに種々の角度から改善方法の検討が必要なことが示唆された。
  • IX.グリセリンとDMSOの併用の効果
    番場 公雄, 飯田 勲, 小島 義夫, 滝井 芳彦
    1972 年 18 巻 1 号 p. 34-36
    発行日: 1972/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
    凍結保護物質としてのDMSOとグリセリソの組合わせの効果を豚精子について調べてみた。卵黄蜂蜜希釈液で希釈した豚精液に,DMSOとグリセリンを単独もしくは組合わせて添加して錠剤法によって凍結し,融解後の精子活力と生存率を調べた。用いたDMSOとグリセリソの終末濃度はそれぞれ4,2,1および0%(v/v)であり,両者を組合わせた区を含めて16区で実験を行なった。
    その結果,2%のグリセリン単独区が最もすぐれた生存性を示し,4%のグリセリンとDMSOの併用区が最も劣っていた。精子生存性からみる限りでは,グリセリン単独使用区がすぐれておりグリセリンとDMSOの併用は効果のないことがわかった
  • 番場 公雄, 飯田 勲, 小島 義夫
    1972 年 18 巻 1 号 p. 37
    発行日: 1972/08/30
    公開日: 2008/05/15
    ジャーナル フリー
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