近年,アナモックスは新しい生物学的窒素除去技術として期待されている。本研究では,固定床型亜硝酸化/アナモックスプロセスの実廃水処理における適用可能性を検証するため,実下水処理場の消化汚泥脱水ろ液を処理対象として,約580日間にわたるベンチスケールの実証実験を実施した。本プロセスは,前処理工程,亜硝酸化工程,アナモックス工程で構成される。亜硝酸化工程では,流入SS濃度を制御することで安定した処理性能が維持され,約210日間にわたり80%以上のNO
2-N生成率が得られた。この時,NO
3-Nの生成はほとんどなかった。アナモックス槽流入水のNO
2-N/NH
4-N比は,亜硝酸化処理性能に応じてバイパス水量を調整することで,容易に適正範囲に維持できた。アナモックス工程では,運転開始直後から明確な窒素除去が確認され,80日後には2.9 kgN・m
-3・d
-1の最大窒素除去速度を達成した。プロセスを通して意図的に流入窒素負荷を変動させた運転においてもほとんど処理性能は維持され,平均81%の窒素除去率が得られた。
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