梅加工場で発生する高濃度の塩分を含む排水の処理施設から,ミズミミズ科7種とヒメミミズ科1種からなる計8種の貧毛類を記録し,そのうち,日本初記録となるウスベニイトミミズMonopylephorus rubroniveusについて分類学的な再記載を行った。活性汚泥槽内に設置したパイル担体上では,ウスベニイトミミズ個体群がシロヒメミミズ(広義)個体群をわずかにまじえてマット状に発達し,パイル上の貧毛類群集の平均密度は,設置1年後で569×104個体/m2と極めて高かった。
活性汚泥槽内に出現したユリミミズとウスベニイトミミズについて,室内実験により塩分耐性を調べたところ,ユリミミズは塩分濃度が1%を超える条件下では生存できないことがわかった。一方,ウスベニイトミミズは海水に匹敵する高い塩分濃度でも,逆に,塩分を全く含まない淡水でも生存できることがわかった。塩分濃度が変動する梅加工場から排出される汚泥の減量にはウスベニイトミミズがおおいに寄与すると推測される。
下水処理場の返送汚泥を種汚泥とし、生物膜法での耐酸性硝化細菌の集積培養と菌叢解析について検討した。NH4-N 40~100 mg/L含有の無機合成廃水を用い、PVA担体を10%投入した流動床リアクターで生物膜を形成させpH 7の運転を開始した。その後pH 0.2刻みで350日間かけpH 3まで低下させて運転した。pH 3において硝化速度0.18 kg-N/m3/d、硝化率99.9%の硝化能力を持った耐酸性硝化細菌群の集積に成功した。生物膜を16S rDNAアンプリコンシーケンスで解析した結果、リード数27428のうち14.5%がNitrospira sp.である事を見出した。