本研究では、生活排水とともにディスポーザ排水を処理するディスポーザ対応浄化槽の高度処理化(目標処理水質BOD 10 mg
l-1以下、T-N 10 mg
l-1以下)を指向し、嫌気・好気循環比と水理学的滞留時間(HRT)について検討を行った。また、その検討結果を基に、生活排水対応高度処理型浄化槽とディスポーザ対応高度処理型浄化槽について、排水処理、廃棄物処理を含めたLCCO
2の比較評価を行い、排水の高度処理化とともにCO
2排出量の削減も視野に入れたコベネフィット型浄化槽システムについて検討を行った。その結果、ディスポーザ対応浄化槽では、嫌気・好気循環比の増加およびHRTの増加に伴って、処理水BODおよびT-Nが低減することが確認された。これらの結果から、目標処理水質BOD 10 mg
l-1以下、T-N 10 mg
l-1以下を達成させるディスポーザ対応高度処理型浄化槽は、HRT 59.7時間、循環比6で設定することにより可能であることが明らかとなった。このディスポーザ対応浄化槽の高度処理化を可能とするHRTは、生活排水対応高度処理型浄化槽の1.21倍必要であることが明らかとなった。また、この検討結果を基に、生活排水対応高度処理型浄化槽導入ケースとディスポーザ対応高度処理型浄化槽導入ケースについて、排水処理、廃棄物処理を含めたLCCO
2評価を比較した結果、生ごみを発生原位置で減量化させる後者のケースではCO
2排出量が削減されることが明らかとなり、CO
2排出量は前者に対して4.2%削減(-25.6 kg-CO
2/(戸・年))される結果となった。
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