日本水処理生物学会誌
Online ISSN : 1881-0438
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51 巻, 2 号
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報文
  • 高井 雄一郎, 河野 宏樹, 立田 真文, 惣田 訓, 池 道彦
    原稿種別: 報文
    2015 年 51 巻 2 号 p. 29-35
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    ミジンコウキクサWolffia arrhizaは、生長が速く、デンプンを高濃度に蓄積する休眠芽を形成するため、有望なバイオマス資源である。本研究では、デンプンの生産性を向上させる可能性のある要因として、有機物の添加がW. arrhizaの生長と休眠芽の形成の促進に及ぼす影響を調査した。スクロース、フルクトース、マルトース、セロビオースは、W. arrhizaの生長と休眠芽の形成を大きく促進した。他の有機物の添加は、葉状体の生長を阻害するものもあり、グルコース、クエン酸、ピルビン酸、コハク酸は休眠芽の形成をわずかに促進した。スクロースと窒素の同時添加は、W. arrhizaのデンプン生産の促進に効果的であった。これらの結果は、適切な有機物を添加することで、栄養塩類除去だけでなく、デンプン生産に寄与する効率的なシステムがW. arrhizaによって構築できることを示唆している。
  • 大槻 隆司, 花形 麻美, 増田 隆仁, 宇井 定春
    原稿種別: 報文
    2015 年 51 巻 2 号 p. 37-47
    発行日: 2015年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    フェノールは廃水処理において最も毒性の高い工業汚染物質のひとつである。廃水処理においては活性汚泥(AS)処理が一般的に行われている。筆者らは1.5g/lという高濃度のフェノールに馴化したASの構築に成功し、さらに硝酸酸化処理を行った亜炭(NOL)がASによるフェノール除去に対して促進効果を示すことを見いだした。硝酸処理の度合いを変化させて得られたNOLのうち、NOL4(亜炭に対する硝酸の割合0.4で処理したもの)がフェノール除去に関して最も高い効果を示した。培養経過の各要素の変化の調査、フロックサイズの観察、走査型電子顕微鏡観察、PCR-DGGEとクローンシークエンスによる微生物相解析の結果から、NOL4はAS中の微生物細胞を保護する効果を有するが微生物群の構成種比には大きな影響を与えていないことが示された。さらに、AS中より単離したフェノール資化細菌HM2株のフェノール分解能力はNOL4添加により活性化されていることが明らかとなった。
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