日本水処理生物学会誌
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47 巻, 4 号
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報文
  • 李 志剛, 平 大輔, 藤井 隆夫, 古川 憲治
    原稿種別: 報文
    2011 年 47 巻 4 号 p. 137-145
    発行日: 2011年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    微生物との親和性に優れたポリビニルアルコール(PVA)を微生物担体として活用する連続攪拌アナモックス・リアクタの立ち上げ特性を長期間にわたる連続処理試験で検討した。305日に渡る長期間の連続処理試験で、最高で4.3kg/m3/dの窒素負荷をかけることができた。リアクタ負荷能力を高めるには流入水の窒素濃度を高めるより、流入水量を増やしてHRTを減少させるほうが有効であることが確認できた。処理水のSS濃度は10mg/L以下で、澄明な処理水を得ることができたことから、アナモックス汚泥のPVA担体への付着固定化は良好で、担体からの汚泥の剥離も少ないことが明らかになった。走査型電子顕微鏡でPVAゲルビーズ観察した結果、PVAゲルビーズの表面にアナモックス汚泥が高密度で付着していることが明らかになった。PVAゲルビーズに付着したアナモックス汚泥の菌叢を解析した結果、KSU-1株が優占細菌であった。
  • 関川 貴寛, 林 広紀, 岩堀 恵祐
    原稿種別: 報文
    2011 年 47 巻 4 号 p. 147-155
    発行日: 2011年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    Geobacter属細菌はデルタプロテオバクテリア網に属する異化的鉄還元細菌(Dissimilatory iron-reducing deltaproteobacteria、DIRD)である。DIRDの探索は世界中で行われており、新種の発見およびバイオレメディエーションや微生物燃料電池への応用研究が多数報告されている。しかし、日本国内におけるDIRDの探索はほとんど行われておらず、単離の報告は未だない。そこで我々は、DIRDの検出と探索の効率化を目指し、リアルタイムPCRと融解曲線解析を用いてDIRDの迅速検出法の検討を行った。底泥試料は静岡市の市街地を流れる巴川とその支流の4ヶ所から採取した。フェリハイドライト培地で底泥試料を14日間培養した結果、全ての試料において磁性を持つ黒色物質が生成された。培養後の培地からDNAを抽出し、PCR-DGGE法と塩基配列解析を行った結果、すべての試料中にGeobacter sulfurreducens PCA株の近縁種が存在していることがわかった。また巴川中流の試料からはDesulfuromonas alkaliphilus Z-0531株の近縁種が検出された。本研究の結果より、フェリハイドライト培地による培養を行わなくても、リアルタイムPCRと融解曲線解析を用いることで、底泥試料中のDIRDを検出できることが示された。
  • 城野 晃志, 山崎 宏史, 佐野 彰, 徐 開欽, 稲森 隆平, 稲森 悠平, 杉浦 則夫
    原稿種別: 報文
    2011 年 47 巻 4 号 p. 157-168
    発行日: 2011年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では、活性汚泥法における省電力化手法として、長時間にわたる電力停止が、処理水質および活性汚泥中の生物相に及ぼす影響を明らかにした。さらに、長時間の電力停止においても、処理水質を良好に維持可能な運転条件について検討を行った。その結果、標準条件においては、6hr電力停止の場合、処理水質の悪化は認められなかった。一方、12 hr電力停止の場合、BOD除去性能の顕著な悪化と硝化反応の抑制が認められた。これは、ブロワ停止に伴い好気槽DOが1mg・l-1を下回ったためと考えられた。そこで、汚泥返送比を4に増加させ、かつ、電力停止条件を12 hr・day-1で維持するために、6hrの間欠運転に設定したところ、BOD処理性能は改善し、対照系と同程度となった。活性汚泥中の生物相を解析したところ、電力停止を設けた場合でも、Vorticella.sp等の活性汚泥性生物が優占化するとともに、低DOに抵抗性を持つAspidisca.sp等が多く見られ、長時間の電力停止によっても活性汚泥中の微生物相は、良好に保持されることが明らかとなった。これらの結果から、省電力下においても、汚泥返送比と間欠運転の時間設定という運転操作条件を適正に設定することにより、処理水質が適正に維持され、活性汚泥法における使用エネルギーが半減可能であることが示唆された。
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