日本水処理生物学会誌
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43 巻, 1 号
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報文
  • 福田 朱里, 内海 真生, 岡野 邦宏, 杉浦 則夫, 佐竹 隆顕
    原稿種別: 報文
    2007 年43 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    Batillaria属の巻貝は日本の干潟に生息する代表的なグループである。本研究では、東京湾の葛西沖干潟・盤洲干潟と大分県の中津干潟において、直達発生を行う巻貝ホソウミニナB. cumingiiと底質の採集を行い、底質とホソウミニナ軟体組織中の金属濃度を測定した。東京湾の葛西沖干潟の底質中のCr, Co, Ni, Cuの濃度は盤洲干潟と中津干潟よりも高かった。また、盤洲干潟と中津干潟において、底質中のCd濃度は盤洲干潟のほうが低かったが、ホソウミニナ組織中のCd濃度は盤洲干潟のほうが高かった。さらに、Cd-chelexアッセイにより算出したホソウミニナ体内のメタロチオネイン様タンパク質(MTLPs)の発現量では、盤洲干潟のホソウミニナのほうがMTLPsの発現量が高かった。今回の結果では、何らかの環境ストレスにより巻貝の体内でメタロチオネインが発現していると考えられ、底質と巻貝体内中の金属濃度間において直接的な相関はみられなかった。
  • 福田 朱里, 内海 真生, 杉浦 則夫, 佐竹 隆顕
    原稿種別: 報文
    2007 年43 巻1 号 p. 9-18
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    筑波大学構内の沼沢「松美池」において淡水産巻貝有肺類であるサカマキガイ(Physa acuta Draparnaud)とヒメモノアラガイ(Austropeplea ollula Gould)は同じnicheを占める競争関係にあり、ともに歯舌を用いて大型水生植物表面の付着性藻類を摂食している。同じ資源を巡る複数種においては、その体サイズの相違によって食い分けを行うことで食性を分化させ種間競争を回避する方法が知られているが、松美池では両種のサイズ分布に年間を通じてほとんど差がないことが演者らにより明らかにされている。そこで本研究では同所的に生息している両貝において、餌となる池の付着性・浮遊性ケイ藻類と両貝が摂食したケイ藻類組成の季節変動を比較することで、両個体群が共存するために食い分けの戦略をとっているのか考察した。対応分析を用いて6-12月の貝の腸管内のケイ藻類と池の付着性・浮遊性ケイ藻類の属構成を解析した結果、貝の食性は付着性・浮遊性ケイ藻類の季節変動より変化に富んでいた。選択指数の解析により、選択的に摂食したケイ藻類の属数は、サカマキガイよりヒメモノアラガイのほうが多いことが示された。本研究により、サカマキガイとヒメモノアラガイの食性にわずかに違いがあることが明らかとなった。2種間で明確な食い分けはないと考えられるが、2種間の食性の違いが松美池で2種が共存するための要因の1つとなっているかもしれない。
  • 近藤 貴志, 蛯江 美孝, 野田 尚宏, 岩見 徳雄, 常田 聡, 稲森 悠平
    原稿種別: 報文
    2007 年43 巻1 号 p. 19-29
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では、生物学的リン除去プロセス(EBPR)の立ち上がり段階におけるポリリン酸蓄積細菌(PAOs)の指標の変動について評価すると共に、PAOsの基質資化状態を新規評価手法であるMAR-FISH法により評価した。リン除去性能が良好であるEBPR汚泥およびリン除去性能を低下させたnon-EBPR汚泥を調整し、これらを4種の混合比で混合し、酢酸を炭素源とした人工排水を流入させた回分式活性汚泥リアクター(SBR)で運転した。リン除去性能の向上期間において、従来評価である、リン除去ポテンシャルとしての活性汚泥内リン含有率、基質資化状態の指標としての嫌気工程時におけるリン放出量およびPAOsの存在量としてのRhodocyclus属近縁種のPAOs(RPAO)の個体数密度について解析した結果、運転開始後、直ちにRPAOの個体数増加が起こり、その後、汚泥内リン含有率が増大することが確認され、これは、RPAOの生態学的な変化によるものと考えられた。嫌気工程におけるリン放出量においても他の指標と異なる傾向が認められ、特にnon-EBPR汚泥を混合した系においては、リン含有率、RPAO個体数密度ともに高い値を示していたにも関わらず、リン放出量は低い状態であった。このことから、嫌気工程においてPAOs以外の微生物による酢酸資化により、PAOsの利用可能な酢酸が減少したことが考えられた。そこで、PAOsおよびリアクター内に存在することが確認されたα-Proteobacteriaに属するG-bacteriaおよびRPAOの嫌気工程における酢酸資化状態をMAR-FISH法により評価した結果、多くのRPAOが酢酸を資化することが確認された一方で、一部のRPAOは基質を資化しておらず、また、G-bacteriaが酢酸を資化していることが確認された。このことから、他の微生物との基質資化競合関係により、嫌気工程におけるPAOsのリン放出が減少していることが示唆された。以上の結果から、従来の指標においては、それぞれの指標がそれぞれEBPRの生化学モデルにおける異なる代謝を指標としているために、指標間において結果が異なることが確認でき、グリコーゲン蓄積細菌(GAOs)やG-bacteria、脱窒細菌などの他の微生物の基質資化活性状態も各指標の結果に影響を及ぼすことが確認された。MAR-FISH法は、放射性同位体を用いることで標的微生物の基質資化状態を可視化することができ、EBPRの生化学モデルに基づく実際の代謝活性を評価することが可能である。しかしながら、未同定のPAOsやGAOs、G-bacteriaが存在することから、今後、更なる系統学的同定、生態学的同定が必要である。
  • 喬 森, 成 英俊, 劉 志軍, 川越 保徳, 藤本 綾, 小山 登一郎, 古川 憲治
    原稿種別: 報文
    2007 年43 巻1 号 p. 31-41
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    本研究では、新規アクリル繊維性担体(ABC)を活用する上向流カラムリアクタを用いて、Anammox処理特性を考察した。アクリル繊維性担体はAnammox菌を効果的に付着固定化することができた。リアクタ下部で担体に付着固定化された汚泥量は平均で1個当たり0.14 g-TSSだった。T-N容積負荷量2.0 kg-TN/m3/dにおいて、窒素除去率73%を達成でき、沈殿池のない処理システムで窒素を効率的に除去できることが明らかになった。さらに、リアクタの温度を下げた状態においても、Anammox活性はそれほど低下しなかった。リアクタの温度を33℃から26.2℃に下げたとき、亜硝酸性窒素の除去率は94%から89%に若干低下した。走査電子顕微鏡の写真より、ABCに付着固定化したAnammox汚泥は密集した塊状になっていることが明らかになった。16S rDNAの結果から、ABCに付着したAnammox汚泥からKSU-1とKOLL2aの二種類のAnammox菌が検出された。
  • Sang Nguyen Nhu, 惣田 訓, 清 和成, 石垣 智基, Triet Lam Minh , 池 道彦, 藤田 正憲
    原稿種別: 報文
    2007 年43 巻1 号 p. 43-49
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    ベトナムホーチミン市のゴカット埋立処分場から発生する浸出水の水質を分析し、その処理をラボスケールの膜分離バイオリアクター(MBR)を用いて行った。浸出水中のCOD濃度は、乾季(2003年11月、2004年4月)と雨季(2004年4月、8月)において、それぞれ39.6-59.8 g l-1および1.1-4.0 g l-1であった。これは、モンスーン気候の夏季には、集中的な降雨によって浸出水の発生量が増加し、その水質が分解と希釈を受け、大きく変化することを示している。BOD/COD比は、年間を通じて0.68以上であり、この浸出水の処理には生物学的プロセスが有効であることが示唆された。MBRは、90日間に渡って容積負荷率1.9-4.2 mg-COD l-1 d-1で運転された。MBRに設置された膜(マイクロフィルター)は、活性汚泥を十分に高濃度に維持し、COD-VSS負荷率は、0.097-0.616 g-COD g-VSS-1 d-1に抑えられ、84-97%の高いCOD 除去率をMBRは示した。実験結果より、CODの排水基準100 mg l-1は、おそらく雨季には達成できると思われるものの、特に乾季には後処理なしには達成が困難であるものと考えられた。
  • 近藤 貴志, 蛯江 美孝, 常田 聡, 稲森 悠平
    原稿種別: 報文
    2007 年43 巻1 号 p. 51-62
    発行日: 2007年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    生物学的リン除去プロセスにおいて重要な役割を担うポリリン酸蓄積細菌(polyphosphate-accumulating organisms, PAOs)およびグリコーゲン蓄積細菌(glycogen-accumulating organisms, GAOs)、G-bacteriaの密度勾配遠心分離法による集積効果について検討を行った。回分式活性汚泥リアクター(sequencing batch reactor, SBR)から活性汚泥サンプルを採取し、クローニング法により群集構造を解析した。また、同じリアクターから活性汚泥サンプルを採取し、密度勾配遠心分離法を行った。クローニング法による群集構造解析の結果、本研究で用いたSBR内にはPAOsとして報告されているCandidatus Accumulibacter phosphatis、GAOsとして報告されているGB group、Defluvicoccus属に近縁なG-bacteriaおよび窒素除去を担う微生物群が存在することが確認された。密度勾配遠心分離後の各フラクションおよび分離前の活性汚泥サンプルを用いてT-RFLP(terminal restriction fragment length polymorphism)法による解析を行った結果、Cand. Accumulibacter phosphatis は高密度側のフラクションに選択的に回収されたが、Defluvicoccus属に近縁なG-bacteriaは高密度側に回収されないことが確認された。また、GB group等を由来とするピークが高密度側フラクションで優占化した。さらに、本研究で決定した群集構造からでは同定できないピークが高密度側フラクションで優占化した。その一方で、AcidobacteriaBacteroidetesNitrospiraは低密度側に排除することが可能であった。以上の結果から、密度勾配遠心分離法により、生物学的リン除去において重要な役割を担う一部の微生物種については選択的な回収を行うことができなかったが、重要な役割を担わないと考えられる多くの微生物種が排除され、重要な役割を担う微生物種を選択的に回収することが可能であることが示唆された。
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