藍藻
Microcystis類により産生されるmicrocystinは強力な肝臓毒であり、細胞内の多機能酵素複合体により生合成される。この酵素は
mcy遺伝子群にコードされるペプチド合成酵素とポリケチド合成酵素から構成されており、その中で
mcyBと
mcyDは、それぞれペプチド合成酵素、ポリケチド合成酵素を代表するものである。これまで、
Microcystis類の毒産生と細胞増殖や細胞周期との関係は全く明らかにされていない。そこで本研究は、藍藻細胞内でmicrocystinがいつ合成され蓄積するのか、細胞内のmicrocystinは細胞に対してどのように作用するのか、について明らかにするために行った。純培養株である
Microcystis viridis NIES-102を用い、N制限同調培養下での
mcyBと
mcyDの転写レベルを調べたところ、これら2つの遺伝子転写量が細胞周期のS期の細胞量と比例していることが判明した。また、G
2/M期の細胞割合が最大時に培養液中microcystin濃度も最大値を示した。さらに、アレロパシー物質であるpyrogallolを添加すると
mcyBと
mcyDの発現が抑制された。一連の結果から、毒産生藍藻類の細胞周期とmicrocystin生合成は密接に関係していることが示唆された。
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