日本水処理生物学会誌
Online ISSN : 1881-0438
Print ISSN : 0910-6758
ISSN-L : 0910-6758
44 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
報文
  • MD SHAFIQUZZAMAN, 見島 伊織, 中島 淳
    原稿種別: 報文
    2008 年44 巻4 号 p. 175-185
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    ハイブリッド型のAs除去について、バングラデシュの地下水組成を模した人工地下水を用いて検討した。バッチ実験によると、As(Ⅲ)の除去は、鉄屑(Fe(0))濃度が高いときには1次反応で進行したが、低いときには0次反応に近づいた。As(Ⅲ)はFe(0)の表面への沈殿と吸着によって除去されたと考えられた。Fe(0)のカラム試験によるAs(Ⅲ)除去結果について、ThomasとYanの吸着モデルを用いて解析した。Fe(0)のAs(Ⅲ)除去容量は、Thomasモデルでは11.3mg/g、Yanモデルでは10.8mg/gと計算され、これは実験結果から得られた10.3mg/gによく一致した。2種のハイブリッド型カラム実験(Hybrid 1、Hybrid 2)により、As(Ⅲ)の除去性能を検討した。Hybrid 1は、鉄酸化バクテリアカラム(BC)の後段にFe(0)カラム(MC)を接続したもので、Hybrid 2では逆に、MCの後段にBCを接続した。Hybrid 1では、処理水のAsは10μg/l未満に低下したが、Fe濃度が0.5mg/l以上であった。他方、Hybrid 2では、AsおよびFeの処理水濃度は、それぞれ10μg/l未満および0.3mg/l未満であった。Hybrid 1およびHybrid 2のMCについて、ThomasとYanのモデルを適用したところ、Hybrid 2のMCのAs(Ⅲ)除去容量は、人工地下水中のFe(Ⅱ)によって増加する傾向が示唆された。以上の結果から、鉄屑と鉄酸化バクテリアを用いたハイブリッド型除去方法によって、地下水中のAsが効果的に除去されると考えられた。
  • 矢裂 大輔, 中村 安宏, 楠本 良一, 手柴 一郎, 川越 保徳
    原稿種別: 報文
    2008 年44 巻4 号 p. 187-193
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    外気を吸入しながら微細な気泡を発生するノズルと開水路型のろ床を組み合わせた新規な好気性廃水処理法(AMBN-OFB)を考案し、養豚廃水への適用可能性について、実験室および現地にて検討した。流路の途中に取り付けられたノズルから発生する微細気泡により、他の曝気装置を必要とすることなく養豚廃水中のDOを3mg/l以上に維持できた。現地における回分試験では、SSを1000mg/l以上、BODを500mg/l以上含む養豚廃水を用い、5日間のHRTにて90%程度のSSおよびBOD除去率が得られた。濁度については3日以内に1000から50にまで除去され、臭気も消失した。6ヶ月間、計12回の回分実験を繰り返したが、この期間にろ床の目詰まりなどのトラブルはなく、清掃も不要であった。窒素については、アンモニアから亜硝酸への硝化は認められたものの、硝酸の生成は少なく、高濃度の遊離アンモニアによる亜硝酸酸化細菌の活性阻害が示唆された。AMBN-OFB法は、シンプルな構造で運転も容易なことから、特に、零細な畜産農家などの小規模事業所廃水に適した処理法と考えられる。
  • 内海 真生, 亀山 恵司, 岡野 邦宏, 杉浦 則夫
    原稿種別: 報文
    2008 年44 巻4 号 p. 195-202
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    藍藻Microcystis類により産生されるmicrocystinは強力な肝臓毒であり、細胞内の多機能酵素複合体により生合成される。この酵素はmcy遺伝子群にコードされるペプチド合成酵素とポリケチド合成酵素から構成されており、その中でmcyBとmcyDは、それぞれペプチド合成酵素、ポリケチド合成酵素を代表するものである。これまで、Microcystis類の毒産生と細胞増殖や細胞周期との関係は全く明らかにされていない。そこで本研究は、藍藻細胞内でmicrocystinがいつ合成され蓄積するのか、細胞内のmicrocystinは細胞に対してどのように作用するのか、について明らかにするために行った。純培養株であるMicrocystis viridis NIES-102を用い、N制限同調培養下でのmcyBとmcyDの転写レベルを調べたところ、これら2つの遺伝子転写量が細胞周期のS期の細胞量と比例していることが判明した。また、G2/M期の細胞割合が最大時に培養液中microcystin濃度も最大値を示した。さらに、アレロパシー物質であるpyrogallolを添加するとmcyBとmcyDの発現が抑制された。一連の結果から、毒産生藍藻類の細胞周期とmicrocystin生合成は密接に関係していることが示唆された。
  • 関川 貴寛, 川崎 祐, 片山 泰人, 岩堀 恵祐
    原稿種別: 報文
    2008 年44 巻4 号 p. 203-208
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    クリプトスポリジウムは水系感染症の病原体として重要視されている原虫である。クリプトスポリジウムオーシストからのDNA抽出は、凍結融解による物理的処理、界面活性剤や酵素による化学的処理など、高額な抽出精製キットおよび煩雑な操作を必要とする。また、一般的なDNA抽出試薬に含まれているSDSのような界面活性剤は、強いタンパク質変性作用により細胞膜を壊すことができるが、同時にTaq DNAポリメラーゼやBst DNAポリメラーゼに対する強力な阻害作用も持っているため、PCR法やLAMP法を行なう前には阻害物質を除去する必要がある。本研究では、DNA抽出工程の簡略化を目指し、陰イオン界面活性剤を用いてDNAを抽出した後、非イオン界面活性剤を添加することでBst DNAポリメラーゼ阻害を抑制する方法の検討を行い、LAMP法によるクリプトスポリジウムDNA検出への応用を試みた。LAMPプライマーセットはC. parvumのポリスレオニン遺伝子領域で設計した。LAMP反応は0.01% SDSまたはSDBS存在下では阻害されたが、反応液中に5% Triton X-100またはTween 20を添加することにより、阻害が抑制され、増幅反応が見られた。この非イオン界面活性剤によるBst DNAポリメラーゼ阻害の抑制効果を応用し、オーシストからの検出を行なったところ、DNA抽出後に陰イオン界面活性剤を除去することなしに、オーシスト10個からの検出に成功した。
  • 佐藤 千恵, 河内 幸夫, 奈須野 あすか, 今里 真人, 大慶 一路, 赤上 陽一, 軍司 秀博, 内海 真生
    原稿種別: 報文
    2008 年44 巻4 号 p. 209-215
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    近年、全国各地の水道水源において依然、富栄養化が進行しており、これまで良好な水源環境を維持してきた水道事業体でも、かび臭被害が頻発するようになった。かび臭の原因は主に藍藻類や放線菌類が産生する2-メチルイソボルネオール(2-MIB)やジェオスミン(geosmin)であることが明らかになっている。茨城県水戸市の楮川ダムでは2002年、2004年の夏季に藍藻類Phormidium sp.由来であると考えられる高濃度の2-MIBが発生した。本研究では、楮川ダムを対象にかび臭発生とかび臭産生原因生物の増殖との関係を明らかにすることを目的とした。楮川ダムは中栄養でリン制限の湖沼であること、水温躍層は年間を通して形成されなかったが夏季において底泥近傍で溶存酸素が減少することが明らかとなった。また、2006年夏季にジェオスミンが5ng/l、秋季に10ng/lを超える濃度で、2007~2008年にかけては低濃度ではあるが継続的な発生が確認された。かび臭産生に関係があるとされる藍藻類の発生時期はかび臭物質発生時期と一致しなかったことから、藍藻類が原因生物である可能性は低いと考えられた。一方、楮川ダム底泥サンプル中の放線菌を培養したところ、放線菌は楮川ダム底泥中に常在し、その集落数は底泥深度と季節によって変動を示すことが明らかになった。さらに、単離した放線菌集落においてジェオスミンを産生するものが多かったことから、2006~2008年にかけて湖水で発生したジェオスミンは放線菌に由来する可能性が高いと判断された。
  • 村上 裕, 加藤 卓, 本田 明
    原稿種別: 報文
    2008 年44 巻4 号 p. 217-223
    発行日: 2008年
    公開日: 2018/03/10
    ジャーナル フリー
    放射性廃棄物処分施設の安全性に硝酸塩が与える影響を評価する研究の一環として,アルカリ条件で硝酸を還元する微生物の単離と特性評価を行った。その結果,土壌サンプルよりpH10で硝酸還元能を示すNo.3-2株を単離した。16S rDNA配列分析ならびに系統学的分析結果より,No.3-2株はBacillus属の新種であると推定された。この単離された株について,温度,pHの生育最適条件および硝酸還元に最適な電子供与体濃度を検討した。その結果,生育の最適温度域は25~35℃,生育の最適pHは9~10であった。このことより,No.3-2株は好アルカリ性微生物であることが示唆された。また,No.3-2株の硝酸還元能に関して,25℃,pH10で,2日間培養後に測定した硝酸還元速度は,1.3×10-6 mmole-Nitrite/CFU/dであった。
feedback
Top