衛生動物
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17 巻, 3 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1966 年 17 巻 3 号 p. Cover6-
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
  • 篠永 哲, 加納 六郎
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 161-163
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    琉球で牛や水牛を吸血する小形のサシバエがかなり多く見られ, 1956年以来, 和名チビサシバエとして報告されていたが, その種名については今日まで保留されていた.筆者らは琉球において, 1952年以来多数の標本を集めており, さらに1965年に香港でこれの1雄を採集した.これらの標本について詳細に検討した結果, 新種と考えられるので, ここに記載する.種小名ウルマは珊瑚礁の意である.
  • 加納 六郎, 篠永 哲
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 164-168
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    筆者らは北海道と本州において, トリキンバエProtocalliphora azureaを採集した.この種はヨーロッパでは, 鳥の寄生蝿として知られているが, 日本での宿主鳥は不明である.日本では本州, 北海道の山岳地帯で見出されるが個体数は少ない.もう1種は北海道と四国の山岳地帯で見出されたもので, 前種に似ているが, 外形および外部生殖器の形態によつて明らかに区別出来る.この種は前種よりさらに稀で宿主鳥は不明である.北海道では平地にも山地にも見られるが, 四国では石槌山でのみ採集されている.これは新種と考えられ, 種小名には, 最初の発見地である円山をつけた.和名はマルヤマトリキンバエとした.
  • 内川 公人
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 168-
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
  • 金子 清俊, 加納 六郎
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 169-172
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    筆者らは1965年の春と秋に, 台湾においてかなり多数の恙虫を採集した.宿主は鼠類, タイワンカグラコウモリおよびスインホーキノボリトカゲであつた.今回はそのうち鼠以外, すなわちコウモリとトカゲに寄生していた恙虫について報告する.コウモリ寄生の恙虫は, イワサキツツガムシで, トカゲ寄生のものは, トカゲツツガムシであつた.両種共に台湾では新記録である.イワサキツツガムシは原記載以後はじめての記録であり, 原記載と多少異なる点もあつたので, 国立科学博物館の上野俊一博士の御好意により, 石垣島産のカグラコウモリから採れた沢山の恙虫標本を見せていただき, これらを比較検討した.
  • 加藤 陸奥雄, 吉田 勝一, 石井 孝
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 173-179
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    宮城県下14地域(Fig.1)において, 牛舎から脱出する蚊を加藤式畜舎用トラップを用いて1963年7月下旬から9月下旬まで, 毎週2日定期的に採集して蚊の発生の季節消長を調査した.採集蚊はコガタアカイエカ, シナハマダラカ, キンイロヤブカ, オウクロヤブカ, アカイエカの5種類であった.各蚊の種類ごとに各地域での発生の季節消長パターンの類型化を試みると : コガタアカイエカ(Fig.2);1)角田, 古川, 気仙沼, 宮黒(1峰性), 2)岩沼, 塩釜(発生のピークが顕著でない), 3)岩出山, 登米(1峰性であるが発生時期がおくれる), シナハマダラカ(Fig.3);1)角田, 宮黒, 気仙沼(顕著な2峰性), 2)岩沼, 登米(発生のピークが顕著でない2峰性), 3)塩釜, 古川, 岩出山(発生の第2ピークが顕著でない2峰性), キンイロヤブカ(Fig.4);1)角田, 岩沼, 宮黒, 古川(1峰性), 2)登米, 塩釜, 岩出山(2峰性), 3)気仙沼(発生のピークが顕著でない1峰性), オウクロヤブカ(Fig.5);1)岩出山, 白石, 塩釜(1峰性), 2)角田, 岩沼, 気仙沼, 宮黒(2峰性);3)登米(発生期間が長い2峰性), アカイエカ(Fig.6);1)角田, 岩出山, 岩沼(1峰性か2峰性), 2)宮黒(発生のピークが顕著でない), 3)塩釜, 気仙沼, 古川(1峰性)のように各種類とも3つの異なる発生季節消長パターンに類型化される.各地域における蚊個体群構造の季節変化(Fig.7)は, その場所の地域性と関係があるようである;すなわち, この季節変化のパターンは水田地域(古川, 岩出山など)と都市地域(塩釜, 宮黒, 気仙沼)の2つに大きく分けられる.
  • 斉藤 一三, 林 滋生
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 180-183
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    1)1963年12月から1964年4月まで東京都品川区五反田でチカイエカ成虫のAge構成の変動を観察した.発生場所はビル地下の閉鎖空間で, 水温13〜16℃, 気温15〜20℃であつた.2)観察は1〜2週間に1度行い, 採集は吸虫管で行い, 採集した蚊は実験室に持ち帰えりAgeの判定に供した.Ageの判定はDetinovaの方法に従い, 小卵巣のRelicの観察によつた.3)チカイエカのAge構成の変動には周期性がみられその周期は6週間であつた.4)交尾率と経産蚊率間には密接な関連がみられ, 交尾率が上昇すると経産蚊率も上昇し, 反対に交尾率が低下すると経産蚊率にも低下がみられた.5)経産蚊は大部分1回産卵で, 2回産卵が極めて少数, 3回以上は0であつた.6)1回産卵後は濾胞の発育が悪く吸血源のないところでは, 大部分が1回産卵のみで終るものと考えられた.
  • 宮本 健司, 田中 寛, 加納 六郎
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 183-
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
  • 松本 克彦
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 184-190
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    コウノホシカダニのヒポプスの成因を探る手掛りとして, その繁殖状況とくに年齢構成と湿度および飼料との関係について検討した.飼育条件は相対湿度を64%, 75%, 85%, 94%の4種に定め, 温度25℃と一定した.飼料は乾燥酵母剤に乾熱滅菌した(120℃30分)煮干しの粉を10 : 0, 8 : 2, 6 : 4, 4 : 6, 2 : 8, 0 : 10の割合に混合し, 水分含量を16%としたものを用いた(以下煮干し含量により0%, 20%‥‥飼料と呼ぶ).飼料10gにコウノホシカダニ約300匹を接種した.94%R.H.では2週で, やや増殖がみられたが, 以後ダニ数0となつた.繁殖数は85%R.H.において最高を示し, とくに100%飼料では4週で1640匹/0.5gのダニ数であつた.その繁殖期間は短かく, すべて5週で死滅した.75%R.H.における繁殖密度は各飼料とも, 85%R.H.のものに及ばなかつたが, 繁殖期間は長く, 40, 60%飼料では11週まで生存した.またこの湿度では飼料の煮干し含量の多くなる程, 繁殖最高密度に達する時期の早くなるのが観察された.64%R.H.においてはコナダニは繁殖せず2週で死滅した.湿度75%R.H.におけるコウノホシカダニの年齢構成では, 各飼料とも繁殖密度が最高に達するまでは, 幼虫の多い拡大期か, または各期のダニが平均して存在する安定期の状態を示した.繁殖最頂期以後は第2若虫, 成虫の多い老衰期の集団となつた.40, 60%飼料における生存期間の長い集団では9週で再び幼虫の多い拡大期に入つたが, ダニ数は変化なく, 次週は再び老衰期にもどつた.湿度85%R.H.における年齢構成の変化は飼料の成分によつて二つの型が認められた.0〜6%までの飼料は2週では拡大期であつたが, 3週では逆に成虫の多い老衰期となり, 4週では安定期となつた.80, 100%飼料における2週の集団構造はそれぞれ拡大期, 老衰期を示した.3週では両者とも老衰期を示し, とくに100%飼料ではその傾向が強かつた.4週になると何れも拡大期となつた.ヒポプスの出現率は湿度75%R.H.の80%飼料において最高で, 4週以後10%以上の値を示した.他の実験湿度での出現は殆どなかつた.
  • 海野 登久子, 鈴木 猛
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 191-195
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    Culex pipiens s. l.のfatigans型の那覇系統幼虫を用いてld-p lineからmalathion抵抗性に関する遺伝様式の究明をした.1.那覇原系統は, 抵抗性因子をホモ(RR)にもつもの, 抵抗性と感受性因子をヘテロ(RS, SR)にもつもの, 感受性因子をホモ(SS)にもつものの3つの個体の混合集団であり, SS : (RS+RR)=0.3 : 0.7の構成比をもつものと推定した.2.この原混合集団から, 個別飼育試験法によつて, 感受性系統(SS)を, 一方薬剤の淘汰によつて, 抵抗性系統(RR)を分離した.3)RR×SSの交雑によつて, F_1を得た.そのld-p lineは, RRおよびSSのld-p lineの中間に位置し, それぞれほぼ平行であつた.4.さらにF_1の集団交配によりF_2を得た.そのld-p lineは, それぞれ死亡率25%と75%の位置に, plateauおよび変曲点をもつた曲線を形成し, RR : RS : SS=1 : 2 : 1という仮定によく一致した.5.F_1×P(RR), F_1×P(SS)の戻し交雑の結果, それらのld-p lineは, 死亡率50%の位置にそれぞれ, plateauあるいは変曲点を示し, RS : SS=1 : 1あるいは, RS : RR=1 : 1という仮定によく一致した.6.以上の結果から, アカイエカ幼虫のmalathion抵抗性は, 少なくとも, macroscopicな立場をとるかぎり, メンデル性単因子性遺伝様式をとり, 抵抗性遺伝因子は, 感受性の遺伝因子に対して不完全優性であることを認めた.7.野外の自然集団から得たC. fatigansの幼虫を所定の方法によつて, malathionを用いてテストをおこない, 0.08〜0.16ppmのあたりに認められるplateauからSS : (RS+RR)の構成比を求め得ることを推定した.
  • 宮本 正一
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 195-
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
  • 平社 俊之助, 内田 元清
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 196-200
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    Two colonies of bacteria, Pseudomonas aeruginosa and Alcaligenes viscolactis var. were isolated from water containing laboratory animal food, after incubation for a week at 28℃. Reduction of the effects of parathion, methylparathion, fenthion, DDT, diazinon, fenitrothion and lindane on mosquito larvae by these colonies was tested. Fenitrothion, parathion and methyl parathion were converted to non-toxic materials such as amino-fenitrothion, amino-parathion and amino-methylparathion within 1 to 2 days in living bacterial cells of the two colonies. The effects of fenthion, DDT, diazinon and lindane lasted 16 days under these conditions even though some reductions or conversions of the toxicants were apparent.
  • 緒方 一喜, 田中 生男, 鈴木 猛
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 201-204
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    1.Metepa, Hempaのイエバエ成虫に対する不妊効力について室内試験で検討を行なつた.2.Metepaの局所施用処理では, 薬量の増大に伴ないこれに平行して産卵抑制が認められた.50%不妊化薬量は雄処理の場合7.5μml付近, 雌処理の場合30μml付近であつた.毒餌処理の結果は, 明らかに雌処理の方が産卵抑制は顕著であつた.0.5%毒餌でも, 雄処理の場合一部ふ化がみられた.3.Hempaの局所施用処理では, 80μml以下の薬量では産卵抑制はみられなかつた.50%不妊薬量は25μmlの付近にあつた.毒餌処理では, 0.25%以上の濃度で完全に不妊効果が認められた.
  • 林 晃史
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 205-208
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    協力剤の2種混用の効果は, p. butoxide : Synepirin-500の混用において, 協力作用が認められた.しかし, 一般的には, 拮抗作用の傾向がある.また, 致落下仰転の協力作用は, Supplementary synergismに入るものと推察した.
  • 大串 晃治, 徳満 巌, 岩田 登美子
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 209-213
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    各種殺虫剤の浸漬法による効力をイエバエおよびチャバネゴキブリを用いて検討した.浸漬法による効力は微量滴下法による効力に比較して, かなり異つた評価順位を示した.とくにDDVP, Dibrom, Dipterex, malathionなどの各殺虫剤の効力はこの浸漬法では低くあらわれた.また, 供試昆虫集団の殺虫剤に対する感受性によつても影響をうけた.各殺虫剤の浸漬法による効力は綜合的にはDDVP, Dibrom, Dipterex, malathionなどの特異的な効力の低下および供試昆虫集団の殺虫剤に対する感受性のちがい, 抵抗性の発達程度などによつて評価された.
  • 安富 和男, 井上 義郷, 大滝 哲也, 朝比奈 正二郎
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 214-217
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    本邦各地のチャバネゴキブリの殺虫剤抵抗性発達の実態を探る目的で, 東京, 埼玉(川口, 大宮), 横浜, 名古屋, 大阪, 和歌山(和歌山, 白浜, 勝浦), 徳島などの諸地域から採集したコロニーについて, 基準量散布の濾紙面接触法とトピカル・アプリケーション法とによつて実験をおこない, 次の結果が得られた.1.調査したチャバネゴキブリのほとんどがdieldrinに強い抵抗性を有し, 0.25g/m^2の厚生省基準量に7日間継続接触させても, 雌のknock down率は50%に達せず, その10倍量の2.5g/m^2でも50%に達しないものがいくつも認められた.これらは, dieldrinのトピカル・アプリケーションにおいても, 雌の7日後のLD_<50>値で100microgram以上(感受性系統の370倍以上)を示した.2.Dieldrin抵抗性のこれらのコロニーは, また, γ-BHCとchlordaneに対する(LD)_<50>値も大きく(感受性系統に比べて, 雌でそれぞれ, 約20倍, および約60倍), 3薬剤間に交差抵抗性が認められた.3.塩素系薬剤に抵抗性を示す各コロニーも, fenitrothion (Sumithion), diazinonなどの有機燐剤に対する交差抵抗性はほとんど認められなかつた.
  • 藤戸 貞男, 武衛 和雄, 斉藤 寿久, 谷口 美定
    原稿種別: 本文
    1966 年 17 巻 3 号 p. 218-222
    発行日: 1966/10/31
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    1.1964年の夏から秋にかけて, 大阪市近郊の普通民家の多い地区にある養鶏場において, Baytexおよびdimethoateの残留噴霧によりハエ類の駆除実験を行なつた.2.鶏舎では16種のハエがリボンによつて捕集されたが, センチニクバエが優占種であり, ついでコブアシヒメイエバエ, ヒメクロバエが多かつた.3.南側の鶏舎にはBaytexの乳剤を, 北側の鶏舎にはdimethoate水和剤をそれぞれ0.5%の濃度となるように希釈し, これを1m^2あたり50mlの割合で天井と壁面に散布した.4.ハエの棲息密度をハエとりリボンによつて評価した.薬剤処理後, 両実験区の鶏舎ともセンチニクバエの顕著な減少がみとめられた.また鶏舎周辺の民家におけるハエの減少がめだち, センチニクバエ, コブアシヒメイエバエ, ヒメクロバエなどが減少した.これは鶏舎で行なつた両薬剤の残留噴霧による効果の影響によるものと推察され, その効果は約1カ月持続した.
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