前報についでコウノホシカダニのヒポプスの成因を検討した.今回は種々の温湿度条件下におけるコウノホシカダニLardoglyphus konoiの繁殖状況とそのヒポプス出現状況を観察した.乾燥酵母剤(大日本ビタミン製薬, エビオス)4に乾熱滅菌した煮干し粉6を混じたもの10gを飼料とし, コウノホシカダニ約300匹を接種し次の温湿度条件におき飼育した.環境温度は20℃, 25℃, 30℃, 35℃に設定し, 環境湿度は次の飽和塩類溶液によつて各温度でそれぞれ調整した : (1) K_2SO_4(98% R.H.) (2) KNO_3(94% R.H.) (3) KCl(87% R.H.) (4) NaCl(76% R.H.) (5) NH_4NO_3(66% R.H.).(1)各温度における飼料内のホシカダニ数は87% R.H.において最高であつた.飼料内のダニ数を各湿度毎に比較すると, 温度が高くなるにつれて, ダニの増殖率が大きくなり, 30℃で最高になり35℃で減少した.最高数に達する時期は35℃で最も早かつた.(2)はい出しダニ数は飼料内のダニ数が大きくなると増加する傾向がある.しかし, 飼料内ダニ数との比から見ると飼料ダニ数の減少する35℃の温度条件で, はい出し現象が盛んになり, とくに76% R.H.において最高となつた.(3)繁殖が不良である温湿度の時にはヒポプスの出現率が低くなつた.飼料内集団におけるヒポプスの出現率の最適繁殖温度30℃の時に高くなつたが, 湿度は94% R.H.または66% R.H.であつた.しかし, ヒポプス実数平均からみると最適繁殖湿度87% R.H.で最高であつた.はい出し集団におけるヒポプス出現率は最適繁殖条件の30℃, 87% R.H.であつた.
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