衛生動物
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22 巻, 3 号
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  • 原稿種別: 表紙
    1971 年 22 巻 3 号 p. Cover6-
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
  • Stanislav P. Chunikhin, 高橋 三雄
    原稿種別: 本文
    1971 年 22 巻 3 号 p. 155-160
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    アルボウイルス越冬機序の1つとして, 鳥類体内におけるウイルスの長期潜伏感染が研究されているが, 日本脳炎ウイルスについては未だ知見がない.イエバトに日脳ウイルスJaGAr 01株を接種すると, 接種後5日間に亘つてほとんどのハトからウイルス血症が検出され, その最高値は10^<2.4>哺乳マウスICLD_<50>/0.02mlに達したが, 第2次的なウイルス血症は15週間の観察期間中発見されなかつた.抗体はウイルス接種後10日から14日で最高値に達し, その値はHIで80倍ないし160倍であつた.この値は以後次第に減少し, 周期的な変動は観察されなかつた.実験に使用した6羽のハトの内1羽の肝臓および腎臓からウイルス接種後39日にウイルスが検出されたが, 最高112日間飼育したその他のハトの内臓からはウイルスは見出されなかつた.また, 1羽のハトに日脳ウイルスを接種し, 接種後1日から5日目までコガタアカイエカとツバメヒメダニに吸血させ, 両者のウイルス感受性を比較した.コガタアカイエカはハト血中のウイルス濃度が10^<1.3>哺乳マウスICLD_<50>/0.02mlを超えると感染を受けたが, ツバメヒメダニの場合はダニ乳剤の哺乳マウス脳内接種およびヒヨコへの媒介実験共に陰性であつた.これらの結果は, 日本脳炎ウイルスはよく似た抗原性を持つWest Nileウイルスと異なり, 鳥類体内での長期感染を起しにくく, また鳥類寄生性のArgas属ダニへの感染も起しにくいことを示している.
  • 林 晃史, 廿日出 正美, 長谷川 恩, 服部 畦作
    原稿種別: 本文
    1971 年 22 巻 3 号 p. 161-165
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    北海道内44個所と本州の5個所で採集したイエバエ成虫の殺虫剤感受性をしらべた.実験に用いた殺虫剤はmalathion, dichlorvos, diazinon, fenitrothion, bromophos, lindane, allethrinおよびpyrethrinsの8種類である.実験は局所施用法により(LD)_<50>値を求め, 相互の比較を行なつた.とくに興味ぶかい点は北海道ではほとんどmalathionが使用されていないにもかかわらず, 非常に強い抵抗性をしめしたことである.また, lindaneに対してもかなり強い抵抗性をしめすものがあつた.しかし, 交差抵抗性はとくに認められなかつた.また, pyrethroidに対しての抵抗性は発達していなかつた.なお, malathionに強い抵抗性をしめすものでも, 他の有機燐殺虫剤で駆除し得るものと考えられる.ことに, bromophosは今後, 興味ぶかい殺虫剤と思われる.
  • 大串 晃治, 徳満 巌
    原稿種別: 本文
    1971 年 22 巻 3 号 p. 166-169
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    家住性ネズミ個体群中の殺そ剤摂取個体数の比率について住家, 養鶏場, 飲食店街, 商店街および倉庫においてワルファリンおよび硫酸タリウムの各々を含有する毒餌を投与して, これらの消失量からの検討を試みた.その結果, ワルファリン毒餌については初日よりばくろされた個体群中の33%前後の個体が摂取を行ない, 3日目に最大量となり, 4日目よりは中毒によつて毒餌消失量は33%前後の率で減少したとみることができた.しかし生息環境が広い場合や隣接地域からの移入がある場合には毒餌の消失量は累積された結果を示すものとみられた.硫酸タリウム毒餌を用いた場合には毒餌摂取個体は33〜44%の範囲内で残存個体群から減少するものとみられた.
  • 渡辺 護, 上村 清
    原稿種別: 本文
    1971 年 22 巻 3 号 p. 170-176
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    富山県福光町中河内において大群発生しているイヨシロオビアブの無吸血産卵性について観察した.幼虫・蛹からの羽化雌成虫は吸血源を与えても吸血することなく, 羽化後5〜9日に無吸血産卵を行なつた.また, ドライアイス採集やヒト襲来の個体を解剖すると出現初期より産卵経験は高率を示した.これは吸血襲来以前に産卵していたことを示し, 無吸血産卵を意味していると思われた.しかも, 野外採集雌成虫の飼育と産卵実験の結果から, 1回目産卵は無吸血でごく普通に行なつても, 2回目産卵以降は吸血が必要と考えられた.この1回目の無吸血産卵を普通に行なつていることが吸血源の少ない山間地での大群発生を可能にしており, 吸血襲来雌成虫を駆除しても根本的防除にはならないと思われた.
  • 中村 央, 吉田 政弘, 伊藤 恵, 外村 勝之
    原稿種別: 本文
    1971 年 22 巻 3 号 p. 176-181
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    四条畷町の水田ですくいとり法により, 水田ごとの幼虫密度の季節的変化をしらべるとともに, 幼虫の多い水田と少ない水田から採水して室内にもちかえり, 一定条件下で1令幼虫を放して10日間飼育することによつて生存率を調べ, 水田間の密度差との関係を検討した結果, 幼虫の多い水田から採水した水では生存率が高く, 幼虫の少ない水田の水では生存率が低く, 幼虫の少ない水田の水にえさを加えると生存率が高まつたこと等から, 水田間の密度差と水田ごとの食物量と密接な関連があると考えた.
  • 佐々 学
    原稿種別: 本文
    1971 年 22 巻 3 号 p. 181-186
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    The epidemiological and entomological studies in the past have revealed that Japanese encephalitis in Japan usually spreads among pigs in early summer season and is transmitted to man mainly by the mosquito Culex tritaeniorhynchus. The number of clinical encephalitis cases that occur in certain area is therefore considered to be determined roughly by the following formula : X=A×B×C×D×E×H^f×1/(-log_e H)×1/G×I×J×K, where X : the number of clinical cases in certain area in one season; A : the total number of pigs in this area; B : the percentage of pigs that produces viraemia in one season; C : the average length in days of the viraemia sufficient to infect the mosquitoes; D : the average number of the mosquitoes that feed on the pigs per day per pig during the viraemia season; E : the percentage of mosquitoes susceptible for the development of the virus; F : the average length of days required by the mosquitoes to become infective; G : the gonotrophic cycle in days of the mosquitoes; H : daily survival rate of the mosquitoes; I : the percentage of mosquitoes that feed on man in one bite; J : the percentage of people in the area who are susceptible (non-immune) to the virus; K : the percentage of people among the susceptible population who develop clinical symptoms after infected with the virus. The above formula can be applied when the mosquito density per man is relatively low and the people is not bitten by more than one infected mosquitoes. When the infective rate (S) and the average number of mosquitoes that bite man during the infective season (U) is known, the probability of a man receiving one or more infective bites (V) is obtained by the formula : V=1-(1-S)^U The infective rate (S) and the average number of mosquito bites per man (U) can be estimated directly, or by mathematical assumption from observed data. Therefore, the number of cases (X) can be estimated by the following formula, if the mosquitoes attack the people almost evenly : X=P×J×K×V, where P is the size of population of this area. The frequency distribution of the numbers of mosquito bites per man is, however, probably not "normal", but is considered to be more or less skew. If it is highly skew, such as seen in the distribution of microfilarial density among people in an endemic area, the problem becomes more complicated. As a general formula, the number of person to be infected in one season is determined by : Σ^^∞__<U=1> N_U[1-(1-S)^U], where N_U is the number of persons bitten by U (Number) mosquitoes per season. The answer to this formula can be obtained by observation of the pattern of frequency distribution of N_U.
  • 真喜屋 清, 熊田 信夫, 正垣 幸男, 大宅 さほ子
    原稿種別: 本文
    1971 年 22 巻 3 号 p. 186-199
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    1968年11月から翌年5月まで, 名古屋市および知多郡美浜町の11洞穴において越冬中の蚊成虫個体群の動態を調べ, 次の結果を得た.(1)洞穴内で越冬中の蚊797匹, 越冬直後と思われる蚊103匹, 計2属5種900匹の雌蚊が採集された.その内訳はアカイエカが最も多く約67%, コガタクロウスカが約13%で, 以下多い順にシナハマダラカ, ハマダラウスカおよびトラフカクイカであつた(表1).(2)このうち同時期に採集された9洞穴の越冬蚊群集を, 優占種の異同によつて次の3群に分けた.(a)アカイエカを優占種とする群集, (b)コガタクロウスカ・アカイエカを優占種とする群集, および(c)コガタクロウスカ・ハマダラウスカを優占種とする群集(図2).(3)洞穴内壁面に休止するアカイエカ越冬雌は, 1月に最も多く2月後半に激減し, 4月には認められなくなつた(表4, 図3).(4)夏季に捕集されるアカイエカ個体群の雌の翅長分布は正規型である(図5)が, 洞穴内越冬個体群では正規型にならず(図4), 総個体数の約90%を占める長翅群と約10%の短翅群から混成されることが明らかになつた(図6, 7, 表5).(5)越冬アカイエカの複眼の個眼数とチカイエカのそれとの比較結果(表6), および無吸血飼育で卵巣の発育が認められないことから, 長翅群・短翅群ともチカイエカの混入しないアカイエカ個体群と判定された.(6)野外水域のアカイエカ蛹を飼育し羽化させた雌成虫群および豚舎内ライトトラップで捕集した雌成虫群の翅長分布を年間にわたつて追跡した結果, 越冬長翅群と同長の羽をもつ長翅型の雌は10月以降に出現すること, 越冬短翅群は夏季個体群の残存雌に由来するものと見なしうることが明らかになつた(図8).(7)越冬アカイエカ雌を継続的に飼育した実験成績および野外成虫群の翅長分布の季節的変動に基く残存率の推定から, 長命の越冬蚊は翌年の7月まで残存することが推測された(表7).
  • 平社 俊之助, 水谷 澄, 宮本 詢子, 宮崎 光男, 保久村 俊江, 今中 健一, 白坂 昭子
    原稿種別: 本文
    1971 年 22 巻 3 号 p. 200-209
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    ケナガコナダニを駆除する有効な手段として畳床上下表面に薬剤処理紙を縫い込む方法を提案し, これに用いる薬剤, 使用濃度および残効性, 毒性等について検討を行なつた.Fenthionおよびfenitrothionは共に1m^2当り80gを越えるクレープ紙に塗布(100ml/m^2)した場合, 0.25%以上にて有効であつた.その推定有効期間は少なくともfenthion 5%は1カ年以上, 1%は6〜8カ月, 0.25%は3〜6カ月であり, fenitrothionでは5%で7カ月以上, 1%は約4カ月, 0.25%は約2カ月であつた.マウスを用い処理直後の状態の紙に常時93日間連続接触した毒性実験の結果では, fenthion 5%, fenitrothion 25%にても過去数カ年間用いられて来た市販畳用防虫紙より低毒性であつたが, 体重増加, 餌消費量および解剖所見より確実な安全濃度はfenthion 0.5%, fenitrothion 5%以下と考えられた.残効性, 毒性の両面より, このコナダニ駆除用畳シートに処理する薬量はfenthion 0.5g/m^2, fenitrothion 1.0g/m^2が適当である.
  • 白坂 昭子, 宮本 詢子, 水谷 澄, 和田 芳武, 田中 生男, 宮崎 光男, 今中 健一, 平社 俊之助
    原稿種別: 本文
    1971 年 22 巻 3 号 p. 210-212
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    東京都町田市本町田公団住宅においてコナダニ類の防除実験を行なつた.防除方法は殺虫剤浸漬防虫紙を畳床下表面および上面化粧ばえ下に計2枚全面に縫込んだものを用いたものである.実験期間は1970年5月11日に畳床に防虫紙を縫込み, 6月13日住宅に敷込み以後約1カ月間コナダニの発生状況を観察した.この結果, 実験終了時(防虫紙処理2カ月後)の無処理畳のコナダニ数と比較した防除率は0.37% dieldrin (100ml/m^2)処理紙では95〜100%, 0.5% fenthion処理紙は99〜100%, 1.0% fenitrothion処理紙はほぼ100%であり極めて高い効果が示された.またマイクロ波による誘電加熱処理を行なつた畳では95〜99%の防除率であつた.
  • 丸山 勝己
    原稿種別: 本文
    1971 年 22 巻 3 号 p. 213-217
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    三重県における蚊成虫の季節的消長調査と, コガタアカイエカからの日本脳炎ウイルス分離を1968〜1969年津市近郊の豚舎で行ない, 次のような知見を得た.1)蚊消長調査のために豚舎内に野沢式ライトトラップ(B.L. 6W)を設置して, 週1〜2回の採集を行なつた.1968年コガタアカイエカは6月上旬に急増し, 以後1カ月間毎回1台のライトトラップにつき1万以上採集され, 7月下旬から緩やかに減少し, 8月下旬から急激に減少した.1969年は5月下旬に急増し, 以後6月末まで毎回3万以上, 7月上旬から8月中旬まで毎回2万前後採集され, 8月下旬より激減した.また両年ともコガタアカイエカが調査期間を通じて最優占種であつた.早期に多発する原因としては, 当地方が田植えの早く行なわれる早場米地帯であることが考えられる.コガタアカイエカに次いでシナハマダラカが多く, キンイロヤブカは5月および9月以後に多かつたが, 他の種類のアカイエカ, カラツイエカ, オオクロヤブカは全調査期間を通じ非常に少数採集されたにすぎなかつた.2)豚舎で採集した未吸血コガタアカイエカからの日脳ウイルス分離を試みた.コガタアカイエカ消長のピーク時期にはウイルスは分離されず, 1968年は7月17日, 1969年は7月3日以後に日脳ウイルスが分離された.このことから6月下旬〜7月まで豚〜蚊の日脳ウイルス生活環に日脳ウイルスが導入されなかつたと考えられるが, 三重県のようなコガタアカイエカの早期多発地帯に, 早期に日脳ウイルス導入の条件がととのえば, 効率的に保毒蚊を生産し, 大きなヒト流行への可能性が考えられることは重要であろう.
  • 佐藤 仁彦
    原稿種別: 本文
    1971 年 22 巻 3 号 p. 218-219
    発行日: 1971/12/20
    公開日: 2016/09/05
    ジャーナル フリー
    Mice were observed in a large bottle with the atomosphere of various concentrations of chlorpicrin or hydrogen phosphide, and the lethal time for them were measured respectively. Correlation between concentrations of chlorpicrin and the lethal time for mice was according to the equation, C t=K (Haber's law), and with hydrogen phosphide, the equation, (log C) t=K, would be applied, here C : concentrations of fumigants, t : the lethal time for mice, K : constant.
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