1.昭和33年より同37にわたつて, 地域住民の容易に実施できるような散布法によつて, 有効なハエ駆除ができるかどうかをしらべる目的で, 埼玉県の農村地区で一連の野外実験を実施した.2.殺虫剤はDDVP, ダイアジノン, マラサイオンナンコール, ジブロム, ディプテレックスを使用し, その効果を比較検討した.3.ハエ取り紙を用いて, ハエの消長を調査したが, DDVP, ダイアジノンともに1回の散布だけでは一時減少したハエの数が1週間後にはもとのレベルに回復した.4.ダイアジノン以下の殺虫剤を, 2週間毎に家屋と畜舎の天井に残留噴霧し, 同時に畜舎の床, 堆肥, 塵芥捨場, 便池等の発生源に散布すると, 散布を繰返すごとに対照地区とのハエ棲息密度の差が大きくなり, いずれも良好な結果が得られた.本稿を終えるに当り, 常々御指導頂いている埼玉県衛生研究所分島整所長, 同関口軍治生活科学部長, ならびに本実験の実施にあたつて種々御配慮頂いた橋郁雄埼玉県衛生部長, 山下昇公衆衛生課長, 黒川淳一環境衛生係長に深く感謝する.また, 有益な御助言と御便宜を計つて頂いた, 村上新太郎大宮保健所長, 川口金次郎鴻巣保健所長, 荻野淑郎加須保健所長, 渋谷修飯能保健所長, 長正義春日部保健所長に厚くお礼申し上げる.さらに, 現地において種々御協力頂いた, 加須保健所, 幸手保健所の職員の方々, 越谷市外山好太郎衛生課長他職員の方々, 栗橋町篠崎義一氏, 北本町元吉常男氏, 加須市秋山進氏ほか, 実験地区の住民の方々にも, この機会を借りて心から感謝する.
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