工業化学雑誌
Online ISSN : 2185-0860
Print ISSN : 0023-2734
ISSN-L : 0023-2734
69 巻, 9 号
選択された号の論文の78件中51~78を表示しています
  • 金綱 久明, 栗田 利雄, 前田 勝啓
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1793-1797
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    溶融6-ナイロンを-73℃のヘキサン中に紡糸した。紡糸した未延伸6-ナイロンフィラメントは無定形である。この未延伸6-ナイロンフィラメントにおよぼす熱履歴,延伸の効果を示差熱分析およびX線により研究した。未延伸6-ナイロンフィラメントの示差熱分析曲線中には,ガラス転移のピークが30℃に,cold crystallizationのピークは46℃に現われ,130℃よりpremeltcrystallizationが始まり,溶融のピークが226℃に現われる。未延伸6-ナイロンフィラメントをpremelt crystallizationの始まる130℃以下で乾熱処理するとγ型に似た結晶がフィラメント中に発生する。130~185℃で乾熱処理するとγ型に似た結晶とα型結晶が発生する。185℃以上で乾熱処理するとα型結晶が発生する。未延伸6-ナイロンフィラメントをcold crystallizationのピーク温度の46℃以下で延伸すると,γ型に似た結晶がフィラメント中に発生する。46℃以上で延伸するとα型結晶が発生する。低温延伸で発生したγ型に似た結晶は高温における熱処理で発達し,同時にα型の結晶がフィラメント中に発生する。X線的に二つの結晶型の結晶がフィラメント中に認められる場合は,α型結晶およびγ型に似た結晶の溶融による二つの吸熱ピークが示差熱分析曲線中に見出される。γ型に似た結晶の融解による吸熱ピークは熱処理により発生したα型のmetastableな状態の融解による吸熱ピークと区別できる。
  • 油林 恒夫, 折戸 善一, 山田 信夫
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1798-1802
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタレート繊維は未延伸糸のときは非晶状態で,その示差熱曲線はガラス転移や低温結晶化現象を明瞭に示し,融解ピークは単峰である。この試料を80℃で延伸すると,ピークの低温側に変化が起こり,延伸比の増加とともに肩状から新しいピークへと発達する。そして最大延伸倍率に近づくと,この低温側ピークは強大となり,一方未延伸糸で見られた高温側ピークは延伸比の増加とともに減少する。Whiteは66-ナイロンの延伸による新しいピークを結晶の配向解消であるとした。しかし本研究での延伸倍率を系統的に変化させたPET繊維の示差熱解析および種々の構造解析的知見からこの低温側ピークは束状結晶の融解に対応し,高温側ピークは折たたみ結晶の融解によると結論された。さらに定長および自由長熱処理の効果を検討した。別に繊維の定長示差熱測定法を開発し,通常の測定が昇温過程で自由長熱処理効果を示すのに対し,本法では固定長熱処理効果を有すること,そして折たたみ結晶への成長が妨げられることを認めた。た◇なお熱処理は空気浴中で行なった。
  • 高岡 京, 伊藤 浩
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1803-1808
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    モノおよびジメチロール尿素(MMUおよびDMUと略記)を室温より600℃付近まで定速昇温により加熱したときの挙動を示差熱分析(DTAと略記)および熱天秤による分析(TGAと略記)によって検討し,さらに加熱途次の組成変化を赤外吸収スペクトル(IRと略記)および元素分析によって追跡した。またその際発生するホルムアルデヒドを比色定量し,減量率-ホルムアルデヒド曲線からも反応を検討した。
    MMUを試料とした場合,DTAでは,第1(90~120℃),第2(121~200℃),第3吸熱(250~300℃)が,TGAでは第1(DTAの第1,2吸熱)および第2減量域(DTA第3吸熱)があった。第1吸熱ま融点,第2吸熱は脱水縮合反応で,つぎの反応が起こっていると思われる。-CH2OH+-NH-→-CH2-N-+H2O
    22%減量率付近の試料の組成は〓NHCONHCH2〓であった。
    第3吸熱(第2減量域)は熱分解反応と推定され,300℃付近よりシアヌル酸が生成した。尿素構造が分解し次式により生じたものと考えた。
    DMUを試料とした場合,DTAでは第1(100~135℃),第2(136~195℃),第3吸熱(230~300℃)が,TGAでは第1(DTA第1,2吸熱),第2減量域(DTA第3吸熱)があった。第1吸熱は融点および脱水縮合,第2は脱水縮合および脱ホルムアルデヒドと思われる。第3吸熱は,縮合反応で生じたエーテル結合の脱ホルムアルデヒド反応と考えられる。-CH2-O-CH2-→-CH2-+CH2O
    300~380℃ではシアヌル酸が生成するので尿素構造の分解と推定した。
  • 神戸 博太郎, 柴崎 芳夫
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1808-1812
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    あらかじめ種々の程度にゲル化させたジアリルフタレート樹脂が硬化する際の重合熱を示差走査熱量計を用いて測定した。ジアリルフタレート樹脂の硬化過程には,140℃および200℃付近に二つの発熱ピークがあらわれた。ゲル化が進んだ試料では二つのピークとも高温側にずれた。赤外吸収スペクトルの1660cm-1と,1600cm-1の吸光度比の変化から,低温側にあらわれる発熱ピークの前後で残留する二重結合の減少した量を求め,ピーク面積から,実際に反応したアリル基1個当りの発熱量を計算すると19.4kcal/molとなった。このピークの位置は昇温速度が速くなると高温側にずれ,発熱量は減少した。高温側のピークは,なお残留するアリル基の反応に基づくものであるが,単量体の蒸発による吸熱ピークと重なるので,反応熱の測定はできなかった。
  • 清造 剛, 柏原 秀紀, 今村 力造
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1812-1816
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    2種類のポリエステルを混合して加熱溶融すると,エステル交換反応を起こしてブロックコポリマーを生成するが,その変化の過程を主として示差熱分析法により追跡した。供試したポリエステルはポリエチレンテレフタレートとポリエチレン-1,2-ジフェノキシエタン-P,P'-ジカルボキシレートである。通常の融点測定の結果では,その混合比が1:1に近いほど融点降下に時間を要し,その平衡到達融点も低下するが,同じ組成のランダムコポリマーの融点よりも高い値が得られた。示差熱測定の結果,ポリマーの混合状態によって示差熱曲線の結晶化ピークや融解ピークの位置や形状に相異が認められた。また交換反応の進行に伴いおのおののホモポリマーの融解ピークは次第に低温側に移行し,その後一方のピークが消失するが,その場合ランダムコポリマーにおいて結晶する成分がこのブロックコポリマーにおいても支配的であった。またサーモグラムの結晶融解ピークの肩の広がり方からマイナー成分のポリマー連鎖が細分化する過程が推定される。
  • 内記 秀次, 加藤 忠男
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1816-1820
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/11/25
    ジャーナル フリー
    ポリエチレンテレフタレートの示差熱曲線に観察される融解前の発熱ピークは,従来結晶化に基づく熱特性であると考えられていたが,この現象に関して研究した結果,次のような知見を得た。(1)発熱ピークは示差熱分析の測定条件が,酸素を含むふん囲気,粉末試料および加熱速度5℃/min以下の三条件を満たす場合に観察され,不活性気流中では現われない。(2)発熱ピークが現われる230℃前後の温度において,粉末状試料を空気中熱処理すると,酸素を吸収して分解し,カルボキシル基の増加および粘度の低下が著しい。また,(3)酸化防止剤を添加したポリマーは,同条件においてわずかな変化を受けるにすぎない。
    以上の実験結果から,ポリエチレンテレフタレートの融解前発熱ピークは,酸化分解に起因する現象であることが明らかになった。市販各種のポリエステルの空気中における示差熱曲線を測定したところ,特異な酸化分解ピークを示すものがあった。
  • 大沢 善次郎, 松崎 啓
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1820-1823
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ポリプロピレンの示差熱分析曲線にあらわれる酸化の発熱ピークと,添加剤およびポリマーの構造の関係を検討し,次の結果を得た。250℃付近にあらわれる酸化の発熱ピークは,酸化促進剤としてのステアリン酸銅の添加量が増すと低温側に,また銅害防止剤としてのオキサニリドの添加量が増すと高温側に移行する。この発熱ピークは,ポリマーの構造にも関係があるようで,ポリマーの立体規則度あるいは結晶化度の高いものほど高温側にずれる傾向がある。従って,示差熱分析曲線にあらわれる酸化の発熱ピークを解析することにより,酸化促進剤と酸化防止剤の効果,さらにポリマーの熱安定性を検討できる。
  • 安積 敬嗣, 高嶋 四郎
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1823-1829
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    種々のゴムに対する示差熱分析について研究した結果,充てん法としてこまかく切った試料ゴムをα-アルミナと混合し,試料セルの最底部に充てんし,その上をα-アルミナで覆う方法,すなわちミックスボトム法を採用すると再現性よく分析できることを知った。α-アルミナを混合しないと,測定中にゴムが軟化して集合し,酸化反応が順調に進行せず,加硫と未加硫ゴムとで示差熱曲線が同じように現われない。また,上部をα-アルミナで覆わないと,分解ガスの発生に基因する小さい波が現われ,ピークの形が乱れてくる。ミックスボトム法を用いて種々のゴムを分析した結果,原料ゴムと加硫ゴムとは大体類似の示差熱曲線を示 。ブタジエン系ゴムでは明らかな発熱反応が窒素中でも認められるが,天然ゴム,ブチルゴムなどでは吸熱分解を起こす。その他のゴムもそれぞれ特徴あるピークを示すものが多いので,空気中と窒素中の示差熱曲線を比較検討すると,ゴムの種類をかなり推定することができる。
  • 湊 秀雄
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1830-1831
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 赤林 宏, 吉田 明利, 大坪 義雄
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1832-1833
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 関谷 道雄, 瀬戸山 克巳
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1833-1835
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 横山 正明, 紺屋 栄
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1835-1836
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 高岡 京, 高橋 幹雄, 外山 修之
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1836-1839
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 島田 潤一, 冠木 公明
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1839-1840
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 栄二, 大島 栄次, 矢木 栄
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1841-1844
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    亜二チオン酸亜鉛を亜硫酸水と亜鉛粉末から製造する工業的製法における三つの速度過程,すなわち生成反応,分解反応,ガス吸収を別個に実験して速度を比較し,ガス吸収が律速となり,分解反応は亜硫酸過剰を避け,常温以下に保てば収率に影響しないことを明らかにした。亜二チオン酸亜鉛の亜硫酸水中の分解反応速度式として,速度定数が分解率の2乗に比例して増大する1次式と,速度定数がpHの関数として変化する1次式の和の式を提案した。亜二チオン酸亜鉛の収率が90%以下である原因は,生成反応と同時に瞬間的に起こる副反応と推定した。十50℃の恒温槽中に入れた。
  • 舟木 好右衛門, 石島 格, 関 寿, 西川 和幸
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1844-1849
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    おもにリン灰ウラン鉱を含む人形峠鉱山の二次ウラン鉱から,浸出剤として炭酸水素塩-シュウ酸塩混合水溶液を用いて,ウランを選択的に浸出する有効な方法を提案するものである。結果は次のようであった。(1)ウランは炭酸水素塩溶液により容易に浸出できる。浸出速度と選択性はシュウ酸塩の添加により増し,速度増大効果はシュウ酸塩の陽イオンに関しK+>Na+>NH4+の順であり,ウランの一部はシュウ酸塩単味溶液によっても浸出される。(2)最適浸出剤組成はナトリウム塩の場合,ほぼNaHCO3 4.5%+Na2C2O4 3%である。(3)温度上昇とともに浸出率は増し,100℃では5時間処理で十分であり,浸出率は鉱石の型により80~90%以上となる。粒度は-200メッシュで十分であり,パルプ濃度は浸出率の著しい低下を伴わずに50%まで高められ,浸出液のpHが10.5付近に浸出率の極大がある。(4)試用鉱石は易溶,難溶の二型に分類される。(5)ウラン浸出率の点では,本法と在来の硫酸または炭酸塩法の間に著しい差はない。
  • 田村 英雄, 大石 徹次郎, 石野 俊夫
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1850-1853
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    ヒル石は雲母のように層状構造をしている含水ケイ酸塩鉱物で,高温で焼成すると膨張するという特異な熱特性によって古くからよく知られていた。本研究の目的は,ヒル石をイオン交換体として応用することにあり,本報では前処理-焼成,粉砕-がその構造,比重,表面積や界面化学的特性におよぼす影響について,国産のヒル石を用いて検討した結果について述べる。熱天秤,示差熱分析およびX線分析の結果によれば,水は100~300℃の間に徐々にのぞかれ,300~800℃の間で原鉱は膨張し,1000℃付近においてその構造はタルクに転移することを知った。表面積は焼成後粉砕したヒル石の方が,粉砕して焼成したものより常に大きい。色素の吸着は200~1000℃の焼成物では,焼成温度の上昇とともに多くなったが,粉砕条件の影響は表面積の場合とは逆となった。ベンゼン中における表面酸性度はpH=4.5~4.8のほぼ一定値を示したが,水中のそれは400℃までの焼成ではpH=4.5~4.8からpH=3.5~4.8に下がり,400~1000℃ではpH=3.5~4.8からpH=5.5~7.0へ上昇した。これらの傾向は見掛け比重の変化と類似している。アンモニア固定は焼成とは無関係に一定値を示した。
  • 竹村 安弘, 森田 義郎, 山本 研一
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1854-1858
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    炭化水素の部分酸化反応用のニッケル触媒のイオウ被毒について研究した。本研究の目的は高温において使用されるニッケル触媒のイオウ被毒の機構を明らかにし,さらに耐イオウ性触媒の開発にある。
    ヘキサン-スチーム反応におけるCS2によるニッケル触媒のイオウ被毒を研究した。反応条件は次のとおりである。反応温度=650~850℃,液空間速度(対ヘキサン)≅1,供給原料油中のイオウ濃度=0.025~0.168wt%および8.42wt%,水/原料油=1.3~1.5(ml/ml)。
    α-Al2O3,ペリクレーズ,およびシリカゲルより調製したシリカの各担体付触媒を用いた。α-Al2O3およびペリクレーズの各担体付触媒は,シリカ担体付触媒にくらベイオウに対してより敏感であった。シリカ担体付触媒の活性は850℃で含イオウ原料油(S=0.084%)を用いても低下しなかった。この触媒は750℃以下ではわずかに被毒されるが,空気ブローで再生し得る。X線回折により被毒触媒中でNi3S2が形成されているのが検知された。
  • 越後谷 悦郎, 落合 康額
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1858-1862
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    パルス反応器によるクメンの分解反応をシリカ・アルミナ触媒(Nalcat)を用いて行ない,パルス反応器の特性を検討するとともに,水酸化カリウムおよびピリジン被毒触媒の活性を比較検討した。
    その結果,パルス反応器においては原料クメンと生成物であるベンゼンおよびプロピレンが触媒カラム内で分離することを実証した。つぎにこの反応が1次不可逆反応として取り扱えることを実証し,その結果からこの触媒が被毒されることによって,活性化エネルギーと頻度因子の間に補償効果の生ずることを見出した。これらのことから,この触媒の活性点には強さの分布があると結論された。
  • 今村 寿一, 永戸 伸幸, 佐藤 章八, 太田 暢人
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1863-1868
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    プロピレンオキシド(PO)合成を目的として,アセトアルデヒド(AcH)およびAcH-プロピレン(C3')混合ガスの気相自動酸化を反応温度180~270℃,酸素不足使用の条件で検討した。
    前者の反応においては,AcH+O2→CH3CO+・O2H (1) が連鎖開始反応と考えられ,ついで過酢酸(PAA)が生成する。低温ほどPAAの選択率は高いが,高温になるとPAAは分解し,酢酸,炭酸ガス,メチルラジカル(CH3・)が生成し,CH3・からメタン,メタノール(MeOH)等が生成する。AcHの分解(CO,CH4生成)は反応温度が高い場合顕著となり,この分解速度はO2が存在しない時のAcHの分解速度よりはるかに速い。
    AcH-C3'系の酸化ではまずAcHとO2の反応がおこるが,この反応速度はC3'の共存により著しく小となり,C3'がretarderとして働くことが認められた。POの生成はC3'とCH3CO3・の反応およびC3'とPAAとの反応により行なわれ,POの収率(対反応O2基底)は原料中のC3'/(C3'+AcH)が大きいほど大である。
    一酸化炭素,炭酸ガス,メタン,MeOHが生成するが,これらはAcHの反応により生成すると考えられる。
    本反応はPOの合成目的には魅力的ではなかった。
  • 安村 二郎, 吉野 富雄
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1868-1871
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    シクロヘキサノールの気相脱水素反応に対するシリカを結合剤とした粒状ラネー型銅触媒の活性を調べ,触媒調製条件,触媒構造および接触能の関係を明らかにするために実験をおこなった。
    シリカゲルはケイ酸ナトリウムから調製し,ラネー銅合金粉末と混合,成形して650~750℃の範囲で焼結した。焼結体をアルカリ展開して触媒を調製し,シクロヘキサノールの脱水素は200~375℃の範囲でおこなった。
    その結果,300℃付近でシクロヘキサノンの収率は最高89%となり,ラネー銅合金含有率によって脱水素能は変化し,40%触媒で最もよく,80%触媒では脱水能を持つようになることがわかった。X線回折によって80%触媒は含有率の低いものに比べ構造に差異のあることが判明した。
  • 岡本 能樹, 桜井 洸
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1871-1875
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    炭素数11~17の奇数炭素のn-アルキル基を持つα-カルボキシn-アルキルポスホン酸を次式に従い合成した。
    RCHBrCOOC2H5+P(OC2H5)3→RCH(COOC2H5)PO(OC2H5)2+C2H5Br(1)
    RCH(COOC2H5)PO(OC2H5)2+NaOH→RCH(COONa)PO(OC2H5)2+C2H5OH(2)
    RCH(COOH)PO(OC2H5)2+2H2O〓RCH(COOH)PO(OH)2+2C2H5OH(3)
    得られた生成物の界面活性を,さきに報告したn-アルキルポスホン酸,およびアルコキシメチルポスホン酸のぞれと比較検討した。α-カルボキシ循アルキルポスホン酸は,アルコキシメチルポスホン酸と同じょうに酸性で水に溶け,界面活性を示した。しかし後者はアルカリ性でも界面活性を示したが,前者はほとんど界面活性を示さなかった。たとえばα-カルボキシウンデシルポスチン酸はPH3で25dyne/cm, pH11で71dyne/cmであった。アルキル基の大きいα-カルボキシn-アルキルポスホン酸では温度によって界面活性は大きく変化した。たとえばα-カルボキシヘプタデシルポスホン酸は25℃で47dyne/cm,80℃で26dyne/cmであった。
  • 丸茂 秀雄, 二宮 守男
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1875-1881
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    外部用,内部用の帯電防止剤によるアクリル樹脂塗料の帯電防止について検討した。水溶液またはエアロゾルの形で外部用帯電防止剤を使用した場合には,ある種のカチオンならびに両性の界面活性剤がすぐれた効果を示したが,永久性はなかった。ワックスに界面活性剤を配合して自動車の塗装面を磨くと,帯電発生ならびにホコリ付着が効果的に防止された。内部用帯電防止剤としては,塗膜の表面固有抵抗,摩擦帯電圧からみて,ある種のカチオン界面活性剤,両性界而活性剤が,塗膜性能を損ずることなしに,すぐれた帯電防止性を示し,ホコリ付着の防止にも,すぐれた効果が認められた。
  • 丸茂 秀雄, 二宮 守男
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1882-1885
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    フタル酸樹脂塗料,メラミン・フタル酸樹脂塗料,エポキシ樹脂塗料ならびにプラスチック用塗料の外部用,内部用の帯電防止剤による帯電防止を検討した。水溶液またはエアロゾルの形で塗膜に使用すると,カチオンならびに両性界面活性剤はすぐれた帯電防止性を示すが,その効果の永久性はない。内部用帯電防止剤として界面活性剤を配合した塗膜の表面固有抵抗,摩擦帯電圧を測定した結果,特殊なカチオン界面活性剤および両性界面活性剤金属塩が塗膜性能に悪影響を与えることなく,すぐれた帯電防止性をもっており,ホニリ付着も防止できることがわかった。
  • 丸茂 秀雄, 二宮 守男
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1886-1891
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    両性界面活性剤金属塩を添加した液体炭化水素の電導度ならびに流動帯電量を測定した。濃度10-6~10-4mol/lで,電導度は10-12~10-11Ω-1.cm-1(空試験:10-15~10-13Ω-1.cm-1),当量電導度は10-9~10-7Ω-1.cm-1/mol/lを示した。流動帯電量は空試験の15~60μμC/cm3から大体0にまで低下した。流動帯電量は電導度に比例すると考えられているが,両性界面活性剤金属塩を添加した場合には,電導度が同じでも流動帯電量は異なった。これは界面活性剤の化学構造ならびに金属根に関係している。液体炭化水素では,界面での吸着が帯電の発生,ならびにその防止にとって支配的と考えられる。
  • 町 末男, 吉瀬 靖一, 鍵谷 勤
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1892-1896
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    放射線によるエチレンとメタノールとのテロメリゼーションおよび重合反応を反応温度40~170℃,反応圧力100~400kg/cm2,線量率6.3×104~3.0×105rad/hr,回分式反応器で行ない,収量,テロマーとポリマーの比率などにおよぼす反応条件の影響を調べた。主反応生成物のうち,テロマーは1級のO-Hを有する奇数の炭素原子からなる長鎖アルコールの混合物で,平均重合度が10~30のグリースないしワックス状のものであった。ポリマーも1級のO-H基を有する固体である。反応速度は初期圧力の1乗,線量率の0.6乗に比例する。全反応の見掛けの活性化エネルギーは4kcal/molであった。テロマーの生成比率は反応温度が上昇すると急速に増加し,170℃,400kg/cm2では90%に達する。
    さらに,メタノールの代りにn-ブタノール,i-プロパノールをテローゲンとして用いた場合についても調べた。n-ブタノールを用いたときは第二アルコール,i-プロパノールを用いたときは第三アルコールがそれぞれテロマーの主成分である。メタノールよりの開始反応速度はエチレンからのそれより大きく,約10倍である。n-ブタノール,i-プロパノールよりのそれは同程度で,メタノールのそれよりもさらに大きい。これらの結果から,いずれの場合も開始反応はほとんどアルコールから起こっていると推論した。
  • 国富 稔, 功刀 利夫, 二木 宏治, 雨宮 紀雄
    1966 年 69 巻 9 号 p. 1896-1897
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 69 巻 9 号 p. A89-A105
    発行日: 1966/09/05
    公開日: 2011/09/02
    ジャーナル フリー
    These abstracts are prepared for the benefit of our readers abroad to assist them, to form a general ideaof the contents of the present issue, written in Japanese by the respective authors. Readers are recommendedto refer to the tables, the formulae etc. in the original papers.
feedback
Top