画像電子学会誌
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36 巻, 3 号
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論文
  • 千原 裕輔, 金子 博
    2007 年36 巻3 号 p. 194-203
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    フラクタル次元は図形の複雑さを表現する尺度とされているが,これは単一のスカラ量であり,二次元形状,三次元物体がもつ多面的な特徴を単独で記述することは難しい.従って,フラクタル次元を利用して不定形画像を解析する場合,従来の定義を拡張し,縮退される幾何学的情報を何らかの形で組み込む必要がある.本稿はこの目的を達するためのもので,方向情報をフラクタル次元に付加した方向別フラクタル次元を提案する.方向別フラクタル次元はBox次元を精密化したものであり,Boxの存在を画素点の置かれた方向(方向余弦)も考慮して計数することで,フラクタル次元が方向余弦の各成分に対応して方向別に分解される.方向別フラクタル次元を画像特徴としたテクスチャ識別実験の結果,従来のフラクタル次元では区別できない画像間の識別に成功し,提案手法による画像記述能力の向上を確認した.さらに,方向別フラクタル次元にマルチフラクタルの理論を導入することで,画像面の一様性の変化を考慮した方向別マルチフラクタル次元を新たに提案する.計算機実験では,方向別マルチフラクタル次元に関しても,その有用性を示す計測結果が得られた.
  • 佐藤 弘起, 佐藤 和弘
    2007 年36 巻3 号 p. 204-209
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    画像のエッジ部分には,画像の特徴を決める重要な情報を多く含んでいる.そこで,画像の凹凸情報を正規化した凹凸係数と名付けた関数を用い,画像のエッジ検出や2値化処理を行った.凹凸係数は,演算対象画素の輝度値を,その周辺に位置する数画素平方の画素の平均輝度値で除算したもので,照明条件などの要因で局部的に画面の明るさが変化しても,画像の濃度変化を正確に抽出できる.
    その結果,従来のフィルタ処理では実行し難かったシェーディング画像の2値化処理も正確に行うことができるなど,大きな特徴を出せることがわかったので報告する.
  • 宮本 龍介, 劉 載勲, 筒井 弘, 中村 行宏
    2007 年36 巻3 号 p. 210-218
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    ステレオ視における対応点探索であるステレオマッチングは多くの計算量を要し,特に,高精度なマッチング手法はより多くの計算量が必要となる.そのため,組込み分野における利用のために,実時間処理システムや専用プロセッサの開発が行われているが,高精度マッチングと実時間処理を両立するシステムは存在しない.本稿では,近年のステレオマッチングアルゴリズムにおける研究の成果に基づき,高精度かつ高速な手法である可変ウィンドウステレオマッチング手法のリアルタイム実行を目指したプロセッサアーキテクチャの提案を行った.提案アーキテクチャに基づきXilinx Virtex-4 FPGA上に実装されたプロセッサによって,70MHzの動作周波数において,QVGA解像度,フレームレート30fpsの入力画像を実時間処理できることを示した.
  • 北村 誠, 小野 文孝
    2007 年36 巻3 号 p. 219-226
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    ハーフトーン画像の圧縮符号化方式として,多値画像を伝送し,受信側でハーフトーン化を行うという処理に着目し,Viterbi復号の考えを利用して,与えられたハーフトーン画像を作成しうる,復元多値画像の中で情報量が最小の画像を求める提案を行った.その結果,二次元的な相関を取り入れた情報量評価を行うにはブロックタイプの誤差拡散の導入が必要であること,復元画像を求めるために導入したエントロピー基準方式と予測誤差基準方式とでは,簡易な後者においても,低周波が支配的な画像では効果があること,復元多値画像はオリジナルの多値画像の情報量を30~40%程度減少させうることがわかり,更に高い解像度の画像では,復元4bit画像の情報量はハーフトーン化された1bit画像の情報量より小さくなりうることもわかった.
  • 北村 誠, 小野 文孝
    2007 年36 巻3 号 p. 227-234
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    誤差拡散法の非可逆符号化方式は画質に応じたビットレートの制御を行える点で興味深い.本報では,非可逆符号化の実現方式として,ハーフトーン画像の基となる多値画像情報をロッシー符号化伝送し,受信側で誤差拡散処理を施す多値画像伝送方式と,誤差拡散画像の水平方向に隣接する2画素ペアを単位として,そのペアにおける黒画素数(3値)を送信し,受信側では周囲の2画素ペアにおける黒画素数(3値)情報を参照して注目2画素ペアのビットパターン(4値)を推測復元し表示する黒画素数伝送方式の提案を行い,両者の画素当たりビットレートを同一として逆ハーフトーン化画像による評価を行った.その結果,一般に高周波成分が支配的な画像では黒画素数伝送方式が優れ,低周波成分が支配的な画像では多値画像伝送方式が優れることがわかった.
  • 包 躍, 宝専 秀幸
    2007 年36 巻3 号 p. 235-242
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    立体ディスプレイは,様々な分野への活用が期待され,近年研究が盛んに行われている.その中でも,裸眼立体ディスプレイが注目されている.裸眼立体ディスプレイの主な手法として,パララックスバリア方式や,レンチキュラレンズ方式などがある.これらの手法は,スリットやレンチキュラレンズに合わせて,左右の視差像のサブ画素を交互に縦ストライプ状配置することで立体視ができる.しかし,多くの視差像を縦ストライプ状に配置することにより,多眼視へ拡張する際に水平分解能のみ劣化が生じ,立体画像の画質低下に大きな影響を与える.本稿では,水平・垂直分解能のバランスがよいパララックスバリア方式を提案する.この裸眼立体ディスプレイでは,上下方向のバリアを用いることで水平・垂直分解能のバランスを取っている.水平・垂直分解能のバランスを保っているため,多眼視へ拡張した際に立体画像の画質低下に影響が少なくなり,従来技術より更なる多眼視への拡張が可能となる.
  • 手島 裕詞, 原 徹, 小堀 研一
    2007 年36 巻3 号 p. 243-251
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    コンクリート建造物は耐久性が高く,また建設過程での成型が容易にできることから,ダム,道路やトンネルなどが高度経済成長期に日本各地で建設されてきた.その結果,現在の社会生活において,コンクリート建造物は必要不可欠なものとなっている.しかし,耐久性に優れているとはいえ,経年劣化に伴って,ひび割れや点状の窪みなどが生じるため補修作業が必要になる.また,自然災害などでダメージを受けた建造物に対しても同様である.そこで本稿では,コンクリート建造物の補修作業を迅速かつ効率の良いものとするために,画像処理手法の一つである多値モフォロジー演算を用いて,コンクリート表面画像からクラックを自動抽出することを試みる.提案手法では,5種類の構造関数を定義して,幅の大きいクラックの抽出に重点をおいたシード画像と,細いクラックやノイズを含んだペイント画像を生成し,これら二つの画像からクラックを抽出する.また,いくつかの実験により提案手法の有効性を検証する.
  • 宮脇 健三郎, 佐野 睦夫, 近間 正樹, 上田 博唯
    2007 年36 巻3 号 p. 252-263
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    本稿では調理タスクを調理器具や食材の状態と対応付けてモデル化する実世界対応型調理タスクモデルの構成法と,調理タスクモデルを用いた動作同期型調理ナビゲーションシステムについて述べる.従来研究ではユーザの動作とセンサイベントの対応関係が十分に議論されていなかったため,センシングによる調理中の動作認識がどの程度実用的なのかが明確ではなかった.提案する調理タスクモデルの有効性を検証するためレシピテキストを解析したところ,調理器具・食材の位置や調理機器の状態をセンシングする簡単なセンサ処理系でも約8割の調理動作が認識可能という結果を得た.またタスクモデルを用いた調理ナビゲーションを実装し実験を行った結果,通常の調理環境においても動作に同期したレシピ提示が実現可能であることを確認した.
ショートペーパー
  • 武藤 健太, 斉藤 文彦
    2007 年36 巻3 号 p. 264-269
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
    デジタルカメラ,ビデオなどの普及により,ディジタル画像の拡大縮小手法は必要不可欠な技術となっている.代表的な手法として,バイリニア法(Bi-Linear Interpolation: BLI)1)˜3),バイキュービック法(Cubic Convolution Interpolation: CCI)2),3)がある.これらの手法は,処理に空間的特徴量を利用していないことから,高周波成分が失われ,ボケが生じエッジのシャープさに欠けた画像になる場合が多い.SOMを用いた方法4(などが提案されているが,処理が複雑で,計算時間を要するという問題がある.また,エッジを保存するフィルタリング5)も用いられている.本手法では,画像の空間的特徴量として,エッジ方向と強度を用いた画素補間手法に着目する6).補間されるべき画素値を,周囲の画素値の濃度とエッジ情報から重み付けして濃度値を導き出す方法について説明を行う.各種客観的画質評価(SNR,デルタヒストグラム,DV+BVなど),および視覚的主観評価による結果から,本手法の有効性を示す.
  • 野沢 理倫, 稲積 泰宏, 木下 宏揚
    2007 年36 巻3 号 p. 270-274
    発行日: 2007年
    公開日: 2011/08/25
    ジャーナル フリー
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