本研究は,電気-油圧式の自働制御系を利用した,著者の新しい構想による免震装置について,数種類の方法をのべ,その計算値と実験値とを比較検討したものである。(実験については「自動制御による免震法の研究II」参照)結果を要約すれば,次の5項目となる。1.大出力時の応答速度のはやい電気-油圧式の制御系をもつこの免震装置は,地震時の低い周波数の激しい地動に対してよい免震性能をもっている。2.この装置は,免震装置として使用できるばかりではなくて,地震計の支持台として利用すれば,見掛け上,振子の固有周期をながくし,減衰常数(Damping Factor)を大きくするはたらきがある。3.自働制御による免震装置の伝達関数は,装置に使用する地震計の固有周期,減衰常数と,振動検出器,増巾器,油圧系等の常数をふくむ関数としてあらわされる。したがって,各常数を適切にえらぶことによって,希望する周波数帯で動作する免震装置をつくることができる。4.著者の実験結果では,振動台振動周波数1c/sec,振巾±5cmの正弦波形の振動をあたえたとき,免震台振巾/振動台振巾≒0.03であった。5.自働制御による免震装置を実際に構造物に応用するためには,更に,大形のサーボ弁やアクチュエーターの研究と,x,y2方向に動作する免震装置の機構を開発しなければならない。
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