本文は, 既論その5.1(弾性性状)につづくもので, 偏心でない節点をもつ剛節トラス(弦材 : T形鋼, 腹材 : 鋼管)を対象として, その上弦材節点部載荷時における実験を行ない, その耐力と剛性を弾性より弾塑性をへて破壊にいたるまで追跡し, これらの結果を, トラスとしての特殊性(一次応力は軸力であり曲げは二次応力)を考慮した仮定, すなわち仮定1 : 部材の応力度-ひずみ度曲線を完全弾塑性の二直線とする。仮定2 : 部材の降伏曲線(Mp-N曲線)を求めるに当り, 軸力と曲げのみを考慮し, せん断の影響は無視する。仮定3 : 部材において塑性ヒンジの形成個所以外は弾性とし, かつ部材の変形にともなう軸力による付加曲げモーメントの影響は無視する。仮定4 : トラスの荷重が増大している場合, 或荷重(P)のもとで或部材の一部分に塑性ヒンジが形成されるとき, この荷重以上の増分荷重(⊿P)に対して, 既に形成されている塑性ヒンジは, その増分荷重に対応する軸力の増分(⊿N)により, その部材の降伏曲線を満足するようその負担曲げモーメントが変化(⊿M)する塑性ヒンジとする。仮定5 : トラスの荷重が増大している場合, 或荷重(P)のもとで或部材が引張軸力(圧縮軸力)Nと曲げモーメントMにより全長にわたり降伏するとき, その荷重以上の増分荷重(⊿P)に対して, この部材はその全断面積(A)のなかで圧縮応力度(引張応力度)のみが作用している断面積(⊿A)のみが増分引張軸力(増分圧縮軸力)⊿Nに対して弾性として作用し, その部材の両端に仮定4を満足するような塑性ヒンジをもつ部材とする。を用いた弾塑性解析法(塑性ヒンジ理論)による解析結果と対比して, このような荷重状態における偏心でない節点をもつ剛節トラスの弾塑性性状を実験的並びに理論的に究明し, かつ上記弾塑性解析法の妥当性をも検討したものである。また節点部載荷時における剛節トラス(弦材 : T形鋼, 腹材 : 鋼管)の耐力と剛性が, その節点構成法, すなわち, 偏心でない節点をもつものと, 偏心節点をもつものとで, どのように変化するかを比較検討した。
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