1)反射ルーバーの効果を実験的に確かめるためには, 事務所建築の中間階を想定した縮尺1/15の模型室を製作し, 窓面に反射ルーバーを設けた場合と設けない場合について室内照度を比較検討し, 併せてその測定方法を示した。2)自然条件のもとで実験を行う場合, 直接的に直射日光率を測定することは不可能であるので, 快晴時及び曇天時における測定値から直射日光率を推定する方法を示した。この方法によれば, 反射ルーバーのような直射日光利用装置ばかりでなく, 従来の窓面による直射日光率を実験的に推定することが可能である。3)反射ルーバーを設けた場合と設けない場合についての実験値から直射日光率を推定し, その値を比較した結果, 今回の実験に用いた模型室の奥の部分で, 反射ルーバーによる効果は十分あることがわかった。また, 反射ルーバーを設けた場合と設けない場合について, 快晴時における室内の様子を観察したが, 反射ルーバーを設けた場合には, 設けない場合に比較してかなり明るくなることがわかった。4)模型室中央線における実験値と計算値を比較した結果, 昼光率は, 傾向が大体において一致したが, 模型室奥の部分でかなりの違いがあった。これは, 実験時における天空輝度分布が影響したためと考えられるが, 更に室内の反射率, 反射ルーバーのスラット面輝度等の推定に誤差があったとも思われる。また, 直射日光率については, 大まかな比較ではあるが, 模型室の奥の部分で, かなりよく一致した。このことから, 反射ルーバーの実質的効果をある程度定量的に表わすことができたと考えている。5)今回の実験で用いた反射ルーバーは, 1/15の縮尺という制約等から, 十分な強度で製作できなかったために, スラットのたるみあるいは風等の影響で, 天井面受照部に乱れを生じたが, これは縮尺を変えて, 反射ルーバーの強度を増せば, 解決できるものと思われる。6)ここで示した測定方法には, 必ず時間的ずれが生じるので, 数多くの実験値を得ることが困難である。そのために, 非常に数少い実験値のみ検討したが, 更に実験方法を改良して, 直射日光を利用した場合における昼光もしくは天気状態の変化が室内照度に及ぼす影響や, 反射ルーバーによって得られる室内照度の時刻的変動について調べていく必要があると考える。
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