本報告で行った分析の結果をまとめると次の様になる。まず, 当初14種あった「第一行動」は, 同時に選択されることが多いなど, 反応パターンの類似性をもとにした数量化III類によるグルーピングを行うと, 表-10に示す5種類の行動に分類することができる。次に, この「第一行動」の分類に一番規定力のある「性別職業」の分類を説明変数とした, 数量化II類による判別分析の結果をもとにすれば, 表-10の分類は, さらに表-14の4分類の行動にまとめることができる。そしてこの時, 7分類であった「性別職業」を表-14の6分類にしても, 何らその判別力に変わりのない結果が得られた。また, 当初11分類であった「避難行動」については, 「性別職業」や「第一行動」などを説明変数とした判別分析においては, これを表-19の5分類の行動にまとめても, その判別結果にはほとんど違いがみられなかった。そしてこの場合も, 「性別職業」と「第一行動」にそれぞれ表-15及び表-14の分類を用いても, 各々の判別力にはさして変化のない結果が得られた。以上から, オフィスビルにおける火災時の人間行動の分析を行うため, この研究では, 個人の属性として表-15の分類の「性別職業」を, また「第一行動」及び「避難行動」には, それぞれ表-14の4分類, 及び表-19の5分類を用いることにする。この後, 以上に述べた3つの要因についての相互関連を求めて, オフィスビルにおいての特徴的な行動パターンの抽出を行うわけであるが, その詳細は, 次報(その2, 行動パターンの抽出)において報告する。
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