Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
38 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 渡辺 徹, 白 泳基, 保田 幹男
    1975 年 38 巻 4 号 p. 259-274
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ニワトリの膵島を電子顕微鏡で観察し, 次の結果を得た.
    1. A島は多数のA細胞と少数のD細胞からなるが, その他に毛細血管に沿って少数のB細胞もみられる.
    2. 一方B島は多数のB細胞と, 少数のD細胞からなるが, B島の周縁に少数のA細胞が点在し, 両島とも三種の島細胞の混合型である.
    3. 三種の島細胞のゴルジ装置の中に, 未熟な分泌果粒がみられるが, それらの大きさ, 型, 電子密度はほぼ同じである. しかし, 胞体でみられる分泌果粒は, 三種の島細胞で相互に全く異なるから, 分泌果粒の成熟過程の様式が相互に異なると思われる.
    4. 三種の島細胞の分泌果粒は, 全て emiocytosis と名付けられる放出様式により分泌される.
  • 藤田 尚男, 三嶋 弘, 大塚 長康
    1975 年 38 巻 4 号 p. 275-284
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    イエウサギ甲状腺のフリーズ-エッチング像を電子顕微鏡で観察した. フリーズ-エッチング法による甲状腺濾胞上皮細胞の構造の概観は, 超薄切片法で観察した構造とよく一致していた。濾胞上皮細胞間の上端の接着複合体は, 閉鎖帯 (tight junction) とギャップ結合 (gap junction) の共存から成り立っている. 閉鎖帯の線條の数 (5-16) と線條の存する帯の上下の幅 (0.3-1.1μm) から, 濾胞上皮細胞間の閉鎖帯は, CLAUDEとGOODENOUGHの分類にあてはめると, 非常に強固 (very tight) な閉鎖帯にあたる. 濾胞腔内のコロイドの濾胞外へのもれを強く防いでいると考えられる. 細胞側面の細胞膜のA面における膜内粒子の密度は, 細胞上端部におけると同様に, B面におけるそれよりも著しく多い. 再吸収されたコロイド滴の限界膜も, 膜内粒子の密度において原形質膜のそれと同じパターンをとり, A面の粒子の数がB面のそれと比べてはるかに多い. 毛細血管内皮細胞では接着部の周囲の領域を除いて多数の窓が見られた (約20/μm2).
  • 天ケ瀬 洋正
    1975 年 38 巻 4 号 p. 285-298
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    塩化ビフェニール (PCB) の経口投与を受けたモルモットの肝細胞の微細構造の変化を電子顕微鏡で観察した. 同時に肝細胞におけるグルコース-6-フォスファターゼの活性を電顕細胞化学の手法によりしらべた.
    最も著しい肝細胞の微細構造の変化は, 滑面小胞体の増殖であった. この滑面小胞体の増殖は, PCB投与中止後90日目にもまだ観察された.
    グルコース-6-フォスファターゼの活性は, 正常肝細胞の核膜, 粗面および滑面小胞体に認められるのみならず, PCB投与中止後90日目に観察された増殖した滑面小胞体においても認められた.
    今回の研究で, PCBは投与中止後も長期にわたって肝細胞の滑面小胞体の増殖をおこすこと, PCB投与によって増殖した滑面小胞体は, 正常の小胞体と同様, つねにグルコース-6-フォスファターゼの活性を示すことが明らかとなった. このことはPCB投与によって増殖した滑面小胞体は, 正常の滑面小胞体と同じ代謝機能を有するものであることを示唆するものであろう.
  • 江藤 胤尚, 山元 寅男, 尾前 照雄
    1975 年 38 巻 4 号 p. 299-306
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    一側の腎動脈狭窄と他側の腎摘により作成した腎性高血圧ラットで, 高血圧性脳症を呈したものに, 血管透過性の指標としてフェリチンを静注し, 脳の毛細血管と細静脈を電子顕微鏡を用いて観察した. 一側腎摘を施したラットを対照に用いた.
    対照群において, 静注後180分を経過してもフェリチンは毛細血管と細静脈の基底膜, 内皮細胞の基底膜側の飲みこみ小胞, 内皮細胞間隙にはみられなかった. 高血圧性脳症群では, 静注60分後にフェリチンが細静脈の基底膜へ多数認められた. 細静脈の内皮細胞には, フェリチンでラベルされた飲みこみ小胞が多数観察されたが, 内皮細胞間隙には認められなかった.
    以上の成績は, 高血圧性脳症において, フェリチンなどの巨分子が細静脈の小胞輸送の亢進によって血管外へ遊出することを暗示している.
  • 大坂 道敏
    1975 年 38 巻 4 号 p. 307-319
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ヒト胎児 (4∼7カ月; 10胎) の十二指腸の微細構造を, グルタールアルデヒド-オスミウム酸二重固定, エポン包埋した材料で, 光線および電子顕微鏡を用いて観察した.
    限界膜につつまれた果粒をもつ細胞は, 結合組織内にも上皮内にも見出され, これらが成体の基底果粒細胞と同様の細胞質構造を示すことから, 基底果粒細胞と同定された. 胎児の基底果粒細胞は, 神経要素との関係, 上皮組織内での分布などの点で成体の基底果粒細胞とは異っていた.
    4カ月胎児では基底果粒細胞が固有層内に数個塊ってみられることが多く, この細胞塊は上皮組織の基底部に連続していた. 5カ月胎児では, このような基底果粒細胞塊は稀であった. 7カ月胎児では, 大部分の基底果粒細胞が単一で, 他の上皮性細胞に挾まれており, 細胞質突起が腸管内腔に達していることが多かった.
    固有層の基底果粒細胞はシュワン細胞に似た細胞によって包まれていた. この細胞の細胞質突起と基底果粒細胞との間には無髄神経線維が多数みられた.
    7カ月胎児では, 基底果粒細胞の基底面に, 果粒内容を含むΩ型の細胞膜陥凹が見られた. 基底果粒細胞は胎生時にも, 開口型放出の機序により分泌機能を営むと考えられた.
  • Sa'di F. AL-SAMARRAI
    1975 年 38 巻 4 号 p. 321-334
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    Various methods of preparation were tested and modified in order to establish a proper method of preparing normal and pathological human erythrocytes for scanning electron microscopy. Morphological changes after various preparation techniques, such as echinocytosis, spherocytosis, elliptocytosis and knizocytosis were studied and evaluated statistically. The best method, so far obtained to preserve 99% of normal erythrocytes as biconcave discocytes, was that of venous blood without anticoagulants or acid-citrate-dextrose, washed with physiological saline at 37°C, fixed in 0.75% glutaraldehyde in 0.1M phosphate buffer, pH 7.3 (318 mosmol), postfixed in 1% osmium tetroxide, dehydrated with graded ethanol and amyl acetate, dried with critical point drying method, and coated with carbon and gold.
  • 1975 年 38 巻 4 号 p. 335-338
    発行日: 1975年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
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