Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
30 巻, 4 号
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  • 内薗 耕二
    1969 年 30 巻 4 号 p. 329-351
    発行日: 1969年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 小脳皮質の最外層に存在する星状細胞は, 深い切れこみをもつ核と, 細胞体表面上のシナプスの稀少なことによって, 比較的容易に同定される. 細胞質内に極めて特異な層状構造をもつことも, この細胞の特長としてあげることができる. 星状細胞の神経終末はF-型シナプスを形成する.
    2. 籠細胞はプルキンエ細胞層の上に位置し, 細胞の大きさは星状細胞より大きい. この細胞の特長は 細胞体表面に多数のS-型, F-型シナプスをもつこと, 核にいちじるしい切れこみの多数見られることである. 籠細胞の神経終末はプルキンエ細胞の細胞体表面に籠状に多数のF-型 シナプスを形成する. なお一部の神経線維は上行して小脳皮質分子層内にF-型 シナプスを形成する. 籠細胞の細胞体表面に単一線毛の見られることがある.
    3. ゴルジ細胞はプルキンエ細胞層の内側に顆粒細胞に混在して存在する. 核は籠細胞より はなはだしい切れ込みを豊富にもっている. 細胞体表面のシナプスの数は籠細胞に比していちじるしく少い. 時に細胞体上に shortnecked spine がみられる. ゴルジ細胞の神経終末は顆粒細胞の樹状突起との間にF-型 シナプスを形成する.
    4. 顆粒細胞は小脳皮質の もっとも厚い層を形成し, 核は大きく, 細胞層は比較的少いのが特長である. 細胞体表面にはシナプスは形成されず, もっぱら樹状突起の上に ゴルジ細胞の神経終末および苔線維の神経終末をうけ, いわゆる小脳糸球体を形成する. ときに細胞体をとりまく髄鞘構造のみられることがある.
  • 今泉 昌利
    1969 年 30 巻 4 号 p. 353-365
    発行日: 1969年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジュウシマツの砂嚢とマウスの腸間膜における脂肪細胞を電子顕微鏡で観察し, WOOD (1967) がニワトリの骨髄の脂肪細胞で観察したと同様のフィラメントを脂肪小滴の表面に認めた. このフィラメントは直径80∼100Åで, 脂肪小滴の表面に 一定の方向性をもって200∼300Åの間隔で配列している. とくにジュウシマツでは マウスに比較してその間隔が一定であり, 方向性も明瞭である.
    このフィラメントは ジュウシマツの場合 脂肪小滴が大きくなっても 各小滴間にのこって その形態を保持しているが, マウスの場合 脂肪小滴が大きくなるにつれて その表面に見られなくなってゆく. このことは 鳥類では脂肪細胞内の多数の脂肪小滴が融合することなく大きくなり (VAGUEとFENASSE 1965), 哺乳類ではそれらが融合して 一つの大きな脂肪滴となる (HAMMAR 1895) という事実に関連をもつと思われる. すなわち上記のフィラメントは脂肪小滴の形態保持と同時に その融合を阻害していると思われる.
    このフィラメントは脂肪細胞の細胞質に見られるフィラメントと同じ直径を有し, 部分的に連続する像が見られる. したがって脂肪小滴の表面のフィラメントは 細胞質内のフィラメントが そこに規則正しく集合して出来たものと考えられる.
    脂肪細胞の細胞質と脂肪小滴との間には unit membrane は認められず, 厚さ20∼30Åの連続した一層の膜様構造が見られた. これは脂肪小滴表面に一層に配列した脂質分子の層の外側に 蛋白分子が加わって生じた界面構造ではないかと推測される.
  • 大塚 長康, 岡本 人二, 冨沢 宗彦
    1969 年 30 巻 4 号 p. 367-374
    発行日: 1969年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ラツトの心房筋細胞内にみられる特殊顆粒を 電子顕微鏡とFALCK-HILLARPによる螢光法で観察した.
    電子顕微鏡で見る特殊顆粒は 直径0.25-0.4μの限界膜に包まれた電子密度の高い顆粒で, 心房筋細胞内では 核周辺部の central sarcoplasmic core にみられるゴルジ装置を中心に分布している. またこの顆粒は筋原線維の間や細胞膜直下の筋形質内にも 少数ではあるが認められる. Reserpine を投与されたラツトの心房筋細胞には, 特殊顆粒の減少が見られるが, L-DOPA投与のものでは顆粒の著名な増加が認められる。
    螢光法では正常例, reserpine あるいはL-DOPA投与例のいずれにおいても, 心房筋細胞内には catecholamine のための螢光物質は全く観察できない.
    以上の検査結果から 特殊顆粒と catecholamine との関係が討論された.
  • 重松 武
    1969 年 30 巻 4 号 p. 375-400
    発行日: 1969年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Ig-G型骨髄腫15例, Ig-A型骨髄腫3例, 原発性マクログロブリン血症3例の患者骨髄細胞を電子顕微鏡により観察した.
    Ig-G, Ig-A骨髄腫の全例およびマクログロブリン血症のうち1例が形質細胞優勢であった. これら骨髄腫細胞は正常形質細胞に比し 種々の点で相違が見られるが, これは過剰のグロブリンが細胞内で産生貯留される為に生じた 特異な像であろうと考えられる. Ig-G, Ig-A骨髄腫細胞は その形態及び成熟度が症例によりほぼ均一な増殖を示すのが特徴であるのに反し, マクログロブリン血症の形質細胞優勢例では 各段階の成熟度の細胞が見られた.
    1. Ig-G型骨髄腫細胞は一般に1内至数個の核を有し, そのクロマチンは塊状に濃縮されているが, 症例によっては均一に散在しているものもある. 数例に核内封入体が見られたが, 2層の限界膜と細胞質に類似した内容をもつ. ゴルジ装置は広範囲に発達し, その内外に多数の dense body が認められた. 粗面小胞体は良く発達しているが, 症例により その形態に相違が見られ, これを4種に分類した. ラツセル小体は粗面小胞体内腔に円形, 内容無構造で 小胞体内よりやや高い電子密度の物質として観察された. ミトコンドリアも症例により数, 形態の異ったものが見られた. 細胞質には線維構造も見られ, 束状に主として核周辺に存在していた.
    2. Ig-A型骨髄腫細胞はIg-G型と型態学的に相違はほとんど認められなかったが, 3例中2例に粗面小胞体の膨化が観察された.
    3. 原発性マクログロブリン血症の形質細胞優性例では, 特殊な構造として 核内封入体と結晶様構造が観察された. 核内封入体は一層の限界膜と 無構造で低電子密度の内容をもち, 大きさは大小様々で数も1個から5個まで観察された. 全く同じ核内封入体が, 形質細胞優勢でない2例のマクログロブリン血症のうちの1例の形質細胞核内にも認められた. 結晶様構造は dense body のうち とくに電子密度の高いものおよび lysosome の一部にも認められ, 約60Åの電子密度の高い部分と120Åの低い部分より成り, 規則的配列をなすものと 蜂の巣様構造をなすものの二種が観察された.
    4. 原発性マクログロブリン血症の他の2例では マクログロブリン産生細胞が不明であったので, フェリチン抗体法により患者骨髄細胞を検索した. フェリチン粒子は骨髄細胞のうち2種の細胞, 即ち, 形質細胞と大型の特殊なリンパ球にのみ特異的にとりこまれ, 小リンパ球 (成熟リンパ球), 顆粒球, 単球, 赤芽球, 巨核球等にはフェリチン粒子は全く認められなかった. 上記2種の細胞がマクログロブリン産生に関与していることが充分考えられた.
  • 高屋 憲一
    1969 年 30 巻 4 号 p. 401-420
    発行日: 1969年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    魚類から哺乳類に至る種々の動物, とくにコイ, イシガメ, スツポン, ニワトリ, ハトを用いて 肥満細胞や好塩基球とヒスタミンの関係を系統発生的にしらべた.
    ヒスタミンは血液や諸臓器 (小腸, 肝, 舌, 腸間膜など) から Code 法によって抽出し, モルモットの回腸を用いて bioassay を行なった. 肥満細胞と好塩基球の分布密度は 切片や伸展標本で組織学的にしらべた. 好塩基球は血液の全白血球中の百分率を求めた. また主に腸間膜や皮下組織の伸展標本を用いて, 細胞内のヒスタミンの存在を o-phthalaldehyde 法 (JUHLINとSHELLEY) により螢光顕微鏡でしらべた.
    鳥類 (ニワトリとそのひな, ハト) では血液や小腸, 腸間膜 (好塩基球や肥満細胞を多く含む) から多量のヒスタミンが抽出される. o-phthalaldehyde 法では血液の好塩基球, 栓球と他の若干の種類未定の細胞, および組織肥満細胞が ヒスタミンに特異な黄色の螢光を示した.
    カメ (イシガメとスツポン) の血液は多数の好塩基球をもつ. 血液の bioassay で多量のヒスタミンが証明され, o-phthalaldehyde 法でも好塩基球にヒスタミンの螢光が見られた. 肥満細胞については組織のヒスタミンの biassay では決定的な結論は得られなかったが, o-phthalaldehyde 法により, 少数ながら肥満細胞に特異螢光が見られた. イシガメの腹腔内に l-histidine を投与して1週間のちに腸間膜と皮下組織をしらべると, 螢光を発する肥満細胞の数が増し, またその螢光の強さも増した. これは肥満細胞が少なくともヒスタミン合成能力をもつことを示す.
    コイの肥満細胞には bioassay でも螢光法でもヒスタミンは証明できなかった.
    私達がさきに発表したカエルとイモリについての結果をも考えあわせると, 肥満細胞と好塩基球のヒスタミンは 爬虫類の段階で始めてあらわれ, 鳥類から哺乳類へと次第にその量が増加してゆくて見てよい.
    肥満細胞顆粒の多糖類に関する種々の組織化学的検索の結果は, 両棲類以上で すでに哺乳類のそれとほとんど変りがない. ただし水に対する溶解性は種により著しく異った.
  • 1969 年 30 巻 4 号 p. 421-423
    発行日: 1969年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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