Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
18 巻, 3 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 斎藤 兼弥
    1959 年 18 巻 3 号 p. 327-342
    発行日: 1959/12/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    台湾猿の卵巣に対する固有神経の発達状態は人に於けるよりは遙かに劣勢であるが, この神経も多数の植物線維と少量の知覚線維で構成されている事は人や犬に於けると同様である. 尚お血管壁には血管周囲神経叢の見られる事は云うまでもない.
    髄質内に進んだ微細神経束はこゝに髄質神経叢を構成するが, この神経叢も人の場合に比し甚だ小規模のものである. この神経叢から皮質内に微細分枝が出るが, 之等は再度の分岐を行って種々な方向に走る.
    卵巣皮質内に拡散する植物神経線維も血管壁に於けると同様, 終末前線維から終網となり, この部の結合織細胞のみならず各種卵胞に対しその神経主宰関係を示す.
    原始卵胞に対する終網は人に於けると略ぼ同様, 極く1部の卵胞のみに見られるに過ぎず, そして之は卵胞層に外接して走るが, 卵胞層の中にまでは入らない. 原始卵胞の卵細胞内に屡々太い神経線維様のものが見られるが, 著者は Knoche と違って, 之は神経性のものではなく, 特殊線維又は人工産物ならんと考える.
    成長しつゝある大きな卵胞の卵胞膜の中にも稀ならず, そして人の場合と同様に僅かの植物線維の進入するを見る. 之等も終末前線維から終網に移行する. 但しこの終網は人や犬に於けると異って更に卵胞層の中迄は入らない.
    この動物の閉鎖卵胞の中には植物線維は殆んど入らない 反之黄体の中には微細動脉に沿って少量の植物線維の進入を見, 之又終網に終る. その他卵巣門特にこの部に良好な発達を示す卵巣網の周囲にも又髄質の中にも著明な植物性終網の形成を見る.
    この動物の卵巣内に来る知覚神経線維の終末は髄質内に, 更に皮質内にはより多く, その他卵巣門内にも稀ならず発見される. 幹線維は髄鞘を失った後, 何等分岐する事なく非分岐性線維に移行する事もあるが, 3-5条の終末枝に分れて分岐性終末に終るものもあり, 又稀ならずより多数の分枝で構成される可成り複雑な分岐性終末に移行するものもある. 然し之等知覚終末の構成は人卵巣のものに比すれば遙かに劣勢であるが, 犬の場合よりはより良好である. 尚お知覚終末の終末枝は屡々著明な太さの変化と特有な長い迂行とを示し, 広範囲に拡散し, その先端は専ら尖鋭状に終る.
  • 平井 敏之
    1959 年 18 巻 3 号 p. 343-354
    発行日: 1959/12/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    大風子油製剤であるタイフミンの乳濁液をビクトリア青で染め, 二十日鼠に静注すると, その青色粒子は肝, 脾, リンパ節の網内系細胞に取られるのは勿論, 皮下の血管から結合組織に出て, そこの結織細胞に蓄積された. 染められないタイフミン乳濁液を静注し, 皮下組織をフォルマリンで固定し, これにビクトリア青などを加え, 即ちあとから細胞内のタイフミン粒子を種々染料で染めることを試みた. その際には染まった胞形質基質に増加した空胞が現わされた. タイフミン乳濁液を直接皮下に注射すれば, そこの結織細胞が強く剌戟し活起され, 線組球と組織球が増した.
  • 大屋 正夫
    1959 年 18 巻 3 号 p. 355-396
    発行日: 1959/12/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Frische und normale menschliche Spinalganglien (Halsganglien), die aus fünf Männern (23, 26, 45, 32 und 33 jährig) herausgeschnitten wurden, wurden mit dem LEVIschen, REGAUDschen Gemisch und Formol-Alkohol fixiert, die Paraffinschnitte wurden mit Eisenhämatoxylin (HEIDENHAIN), Hämatoxylin (HANSEN)-Eosin, Anilinfuchsin-Aurantia (KULL), Azan, Chromalaunhämatoxylin-Phloxin (GOMORI), Toluidinblau und BAUERsche sowie Perjodsäure-SCHIFFsche Reaktion (PAS) gefärbt. Für die Darstellung des GOLGIapparates wurde die KOLATCHEVsche Osmiumimprägnationsmethode angewandt. Bei diesen zur cytologischen und cytochemischen Beobachtung geeigneten Präparaten wurden Pigmentgranula, Mitochondrien, GOLGIapparat, Kern, Glykogen u. a. der Spinalganglienzellen studiert.
    Nach der Größe des Zellkörpers werden die Spinalganglienzellen in 4 Klassen eingeteilt, nämlich in große, mittelgroße, kleine und kleinste Zellen. Unter den kleinen Nervenzellen gibt es einen besonderen Zelltyp, der sich durch das dunkel erscheinende Cytoplasma, einen auffallend nach dem Ursprungskegel exzentrisch gelagerten Kern und besonders grobe Pigmentgranula auszeichnet. In den zwecks des Nachweises des GOLGIapparates nach KOLATCHEV etwa 7 Tage lang osmierten Schnitten treten diese kleinen dunklen Zellen zuweilen als intensiv geschwärzte Zellen hervor; die Größe der hellen Nervenzellen ist dagegen variabel. Außer den eben erwähnten kleinen dunklen Zellen begegnet man in den gefärbten Präparaten öfters multangulären dunklen Zellen von verschiedenen Größen, welche ein fein reticulares Cytoplasma, einen kleinen pyknotischen Kern und eine unregelmäßige Lücke zwischen dem Zellkörper und der Mantelzellenscheide haben und mit verschiedenen Färbungen als ganzes stark tingierbar sind. Diese werden möglicherweise als die durch Schrumpfung künstlich erzeugten oder der Degeneration anheimgefallenen abnormen Nervenzellen aufgefasst. Die genannten kleinen dunklen Zellen werden in der Regel nicht so häufig angetroffen, sie entsprechen wahrscheinlich den zweiten Neuronen des Spinalparasympathicus nach KURÉ. Sie haben neben dem exzentrisch gelagerten Kern einen kleinen Ursprungskegel und einen davon entspringenden Neurit, der scheinbar innerhalb der Mantelzellenscheide kein initiales Glomerulum bildet, es ist aber nicht festgestellt worden, ob diese Zellen pseudounipolar oder unipolar sein dürften. NISSL-Bild zeigt aber bei diesen Zellen keine Besonderheiten.
    Im allgemeinen sind die Spinalganglienzellen der Erwachsenen reich an Pigmentgranula, so führen sie meistens diese in wechselnder Menge. Die Pigmentgranula der menschlichen Spinalganglienzellen lassen sich in hell gelbe Lipofuszingranula und dunkel braune, Melanin-ähnliche Granula einteilen, aber die ersteren vertreten das gewöhnliche Pigment. Beide treten in der Regel als kleine Granula auf, bilden stets wechselnd große Anhäufungen im bestimmten Abschnitt des Zellkörpers, so Lipofuszingranula am häufigsten in der Umgebung des Ursprungskegels und Melanin-ähnliche Granula im perinukleären Abschnitt. Die Lipofuszingranula werden wiederum in 3 Arten eingeteilt; nämlich gewöhnliche, kleine, hell gelbe Granula, "lipochondria" (BAKER)-ähnliche, vakuoliserte, lipoidreiche Granula und grobe spezielle Granula. "Lipochondria"-ähnliche Granula, die eine gelblich braune Eigenfarbe besitzen, werden äußerst selten in den mittelgroßen und großen hellen Nervenzellen gefunden, werden mit Osmiumsäure tief verschwärzt. Die groben speziellen Granula, die eine äußerst hell-gelbe Eigenfarbe haben, finden sich ausschließlich in den kleinen dunklen Nervenzellen, sie enthalten stets einige, verschieden große Lipoidtropfen
  • 椋代 寛
    1959 年 18 巻 3 号 p. 397-410
    発行日: 1959/12/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    梅本-覚道法により無菌的に得た人の耳下腺唾液と市販されている耳下腺製剤パロチンを用いそれらが胃腺主細胞, 膵細胞の分泌機能及び肝細胞 plastosomes に及ぼす影響を検索し, もって耳下腺唾液とパロチンを作用的に同一視しうるや否やを明かにせんとした. 各細胞に及ぼす影響を総括すると以下の如き結論に達する. 即ち
    1. パロチンにはヒスタミンと相似の作用を示す一面があるが, 微量を用いるとヒスタミン分解産物の作用に似た効果を示す一面をも有する. ヒスタミンとパロチンを混合するとヒスタミン効果が抑制される. ヒスチヂンと混合するとパロチン効果が抑えられる.
    2. 耳下腺唾液にはパロチン (単独) の如き作用は少い. ヒスタミンと混合するとヒスタミン効果と共にヒスタミン分解産物の効果が顕著である. ヒスチヂンと混合するとヒスチヂン効果は著しく増加する.
    斯くの如く耳下腺唾液とパロチンとは作用的に必ずしも同一視出来ない.
  • 藤田 尚男, 加納 睦巳, 国島 郁男, 木戸 孝夫
    1959 年 18 巻 3 号 p. 411-419
    発行日: 1959/12/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    孵化後20-30日の雌雛 (白色レグホン種) を用いて, 0.25-0.5単位のインシュリン皮下注射の1-3時間後の副腎髄質の変化を電子顕微鏡を用いて観察した.
    1. 正常の髄質細胞の分泌顆粒は真中のオスミウム好性の部分の周囲に白色の量を隔てて一重の膜を被っているものが多いが, イスシュリン注射後にはオスミウム好性顆粒の大きさ, 数, 電子的密度が著明に減少する. 一方, その周囲の白色暈は大きく, 円くなる. 暈が大きくなり中の顆粒のなくなったものは空胞状を呈する. 時に細胞質の大部分がこの空洞で占められているものが見られる.
    2. ミトコンドリアは正常では桿状のものが多いが, インシュリン注射後には円形を呈し, クリスタの配列は乱れ, 時に空胞状を呈する.
    3. 血管腔の電子的密度は高くなり, 又その周囲にある内皮及び洞周囲隙 (perisinusoidal space) は菲薄化する.
    4. 髄質細胞間に, 所々に大きく, 電子的密度の低い細胞間隙が出現する.
    5. これらはアドレナリンの分泌促進のための細胞の変化と考えられる.
  • 大原 孝度
    1959 年 18 巻 3 号 p. 421-427
    発行日: 1959/12/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    鉄塩類と染料の中性赤とトリパン青の溶液に漬けられた二十日鼠の脚の足底にある汗腺管への物質の進入が観察された. そのうち鉄イオンは著しく速く汗腺管に進入する. 注意すべきは, 汗腺管に進入した物質が先ず表皮の粒子細胞層の高さで薄い管壁を通って粒子細胞層に出て拡散し, また表皮下でも管壁を出て, 疎で毛細管の多い表皮下の結合組織層を広がることのあることである.
  • 視床下部下垂体系の比較組織学的研究. 第42報
    石崎 直司, 石田 美熙, 川勝 良昭
    1959 年 18 巻 3 号 p. 429-437
    発行日: 1959/12/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    犬の視床下部神経分泌核に Bielschowsky-Gros-Schultze 氏鍍銀法の変法 (第41報記載) を適用し, 神経分泌細胞における神経原線維所見を観察した.
    視索上核と脳室旁核の両者の分泌性神経元を通じて, 細胞体では60-70%のものに, それらの突起では例外なく, 神経原線維が証明される.
    単極及び偽単極細胞では神経線維の中を平行に経過してきた神経原線維群が突起の根部で箒状に分散して細胞質内にひろがる繊細な網工を形成する. 一般に原線維は細胞周辺部において太く明瞭であり, 中心部ほど細く不明瞭となる傾向がある. 核の周囲では原線維が破線状を呈する場合や或は原線維を欠いてその部分が明るい暈として認められる場合もある. 一般に原線維網工の明瞭な単極及び偽単極神経細胞は視索上核に多く見出される.
    双極細胞では神経原線維群が突起から突起へ細胞体内を通過するが, この場合, 原線維群が細胞質の中で分散する型のものと, 比較的神経線維内の状態に近い束状を保ちながら通過する型のものとが区別される. 前者は視索上核の細胞に多く, この型に属するものの中にも更に分散した原線維群が細胞体の中に均等に拡がる網工或は部位的に偏向した網工を形成するものと, 単に分散するのみで網工は形成しないものとがある. これに対して後者は脳室旁核の細胞に多く, この型を示す細胞では核が一般に eccentric な位置を占め, 原線維束はその反対側を通る.
    多極細胞では原線維群が突起の根部で分散消失し, 細胞体内, 特に核の周囲には原線維の認められないものが多い.
    一般的に云って神経原線維の所見は突起の少ない小型の細胞におけるほど明瞭であり, 突起の多い大型の細胞及び核の明晰でない細胞では不明瞭である.
    各神経分泌細胞において神経原線維像に上記のごとき種々の所見をもたらす原因の一つは恐らく分泌相の差異にあることゝ思われる.
  • 瀬戸口 孝夫
    1959 年 18 巻 3 号 p. 439-455
    発行日: 1959/12/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    成熟赤腹〓〓の水晶体摘出後, 水温24-28°Cの下に, 9, 10, 11, 12, 13, 14, 18, 21, 35日間飼育したものを材料として, Feulgen 反応, メシルグリーン-ピロニン染色, PAS反応及び Bauer 反応を行い, 再生過程に於ける水晶体のDNA, RNA及び多糖類の状態を検索して次の結果を得た.
    1. DNAは, 初期再生体では緻密な核網に一致して存在し, 高い反応を示すが, 線維細胞への分化過程では, 核網の粗大化, 反応の軽度の低下がみられ, 分化が更に進むと核濃縮より核融解を経て消失する. 他方, 上皮細胞では分化の進むにつれ核網の密度を増し, 反応もやゝ高くなる.
    2. RNAは, 索状, 顆粒状の粒子により構成された網眼をなして細胞形質に出現し, 初期再生体では極めて濃度が高い. 線維細胞への分化過程では, 分化中の細胞の上端より基底に向って, 細胞の伸長につれて濃度が著明に低下する. 上皮細胞では尚かなり濃度が高いが, 21日以降では上皮, 線維ともに著明に低下する.
    3. 多糖類は主としてグリコゲンよりなり, 初期再生体では痕蹟的に出現し, 時にグリコゲン顆粒をみる. 分化過程では, 隣接した細胞に広般にグリコゲンの増加がみられるが, 伸長した線維細胞では減少する. また第2次線維の分化過程でも, 分化の初期の細胞に一時的に増加がみられるが, その後は次第に減少する. 上皮細胞では後半期は次第に増加し, 末期にはかなり多量のグリコゲンの蓄積がみられる.
    4. 以上の所見より, 水晶体再生過程に於ては, グリコゲンをエネルギー源として核酸の合成がおこなわれ, 核酸は蛋白質の合成に関与することが推察される.
  • 視床下部下垂体系の比較組織学的研究. 第43報
    佐野 豊, 斎藤 修, 石田 美熈
    1959 年 18 巻 3 号 p. 457-462
    発行日: 1959/12/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    犬及び猫の下垂体中間葉の銀好性特殊細胞 (柵細胞) について観察したところを記載した.
    この細胞は矢野氏 borax formalin 法によって特に明らかにその全貌が染色される. 2極又は多極の形態をもち, 中間葉細胞索の間隙にあってこれと平行の, 即ち下垂体腔の壁に対して直角の方向をとり, 中間葉内の種々の部分に核を含む細胞体の部分がある. この部分から延びる線維は一方では下垂体腔の壁に終末膨大をもって終わり, 中間葉細胞相互及び中間葉細胞と内腔を隔て, 他方では中間葉後葉の境界に同じく終末膨大をもって終わるが, 時として更に後葉内に進入している.
    この細胞は hematoxylin-eosin, iron-hematoxylin, Mallory 氏 phosphomolybdic acid hematoxylin, Bielschowsky-Maresch-Sano 氏格子線維鍍銀法, Gomori 氏 CH-P法, Nissl 氏法, Gros-Schultze 氏及び Bodian 氏神経線維鍍銀法によって染出されない. Azan 染色では線維の部分が淡染し, Severinghaus 氏法及び Del Rio Hortega 氏炭酸銀法には比較的よく染まる.
    以上からこの銀好性細胞は結合組織性及び神経性のものではないことが推定され, 中間葉の固有細胞か或は神経膠性細胞の何れかであろうと思われる.
    後葉と中間葉の機能的相互関係に何等かの役割を有するかも知れないことも想像される.
  • 村上 文雄
    1959 年 18 巻 3 号 p. 463-471
    発行日: 1959/12/20
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    2核細胞が増し, 大核細胞が減じ, 核胞形質比も減ずるのは, Chloroform, Tetrachlorkohlenstoff を与えるときと Ectromelia-Virus に感染の場合である. 2核細胞と大核細胞がともに増し, 核胞形質比も上がるのは飲食を全く与えぬ場合と少量の菜葉のみを与える場合で, そのとき核胞形質比のみ下がるのは, 砕き米のみ, Thibion, ネコイラズを与え, また Rickettsia orientalis に感染させる場合である. 2核細胞が減じ, 大核細胞が増し, 核胞形比質が減ずるのは発癌性物質の Buttergelb と Thioacetamid を投与した場合である.
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