Archivum histologicum japonicum
Print ISSN : 0004-0681
32 巻, 2 号
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  • 藤田 恒夫, 徳永 純一, 三好 萬佐行
    1970 年 32 巻 2 号 p. 99-113
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    ラットとウサギの腎糸球体を走査電子鏡で観察し, 次の結果を得た.
    1. タコ足細胞は迂曲する毛細血管のカーブの内がわに位置し, 数本の突起を放射状に毛細血管壁へ伸ばしている. 一次突起というべきこの突起の太いものは二次突起に, さらに時には三次突起に枝分れしてのち, シダの葉のような形で細長い終枝すなわち足突起を出す. 一次突起のうち若干の細いものは二次突起に枝分れすることなく, 直接に足突起を出す.
    2. 同一の一次突起から出た二次突起が, あるいは別の一次突起の二次突起が吻合して, 細胞質の輪ができていることがある. また突起の一部が不規則に太くなっていることも多い.
    3. 毛細血管壁に乗っている足突起は, 異なる細胞のものが交互に隣りあうよう配列している. 同一の細胞に由来する突起のかみあいは一度も見られなかった.
    4. ラットでは二次突起の分れかたも足突起の出かたも, 直角方向を原則としている. しかしウサギではこれらが斜めの方向に出るのが普通で, またふたまた分岐が非常にしばしば見られる.
    5. タコ足細胞の細胞体と突起の上面に, 長さの不定な微絨毛が散在する. これはウサギよりラットに多い. またラットのタコ足細胞のあるものには, 本態不明のつぼみ状ないし輪状の小突起が見られた.
    6. 糸球体の毛細血管の内面に, 内皮細胞の孔が密に配列するのが見られた.
  • 第一報 正常の成人および胎児骨組織ならびに病的骨組織の偏光顕微鏡像とミクロレントゲノグラムについて
    山本 吉藏
    1970 年 32 巻 2 号 p. 115-132
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    1. 正常の成人骨組織のハヴァース層板系の偏光像とミクロレントゲノグラムを比較検討し, 5型に分類した.
    2. 正常の8カ月胎児の骨組織内に, ハヴァース層板系の原型と考えられる骨単位が始めて出現することを認めた.
    3. 胎児の骨組織の複屈折曲線の分析によると, 胎児骨はミセル間隙が大で, しかも骨塩の量も少ない. しかし加令的に骨塩が沈着するに従つて両者の量的差異は接近してくる. そのほか膠原線維と骨塩の量は加令的に増加することが判明した.
    4. 3種類の代表的骨疾患の骨組織の変化を偏光顕微鏡法とミクロレントゲノグラフィーにより検索した.
  • 第2報 骨蛋白除去に際しておこる骨組織変化の偏光顕微鏡的検索, ならびに Kieler Knochenspan の蛋白残渣について
    山本 吉藏
    1970 年 32 巻 2 号 p. 133-143
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    1. グリセリンーカリ煮沸と過酸化水素水浸軟法を用いて骨蛋白の除去をおこなうと, 蛋白はハヴァース層板系の辺縁よりハヴァース管に向かつて除去されるのでなく, 逆にハヴァース管より外側辺縁に向かつて除去されていく.
    2. 厚さ約100μのヒト骨研磨標本が完全に脱蛋白されるためには, グリセリンーカリ煮沸で25分以上, 過酸化水素水浸軟法で6日以上を要する.
    3. Kieler Knochenspan は一般に脱蛋白骨であると考えられているが, 偏光顕微鏡によつて検索すると, 未だ多量の骨蛋白を含有している.
  • Volker N. STORCH, Ulrich N. WELSCH
    1970 年 32 巻 2 号 p. 145-153
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    The taste-buds of various teleost fishes consist of four cell types including two different receptor cells, which differ in their cytoplasmic density (“light” and “dark” cells) and the quantitative composition of their organelles. The light cells are characterized by generally well orientated systems of supra-nuclear microtubules and smooth endoplasmic reticulum. The dark cells contain mainly electron dense granules, bundles of tonofilaments and cisterns of rough endoplasmic reticulum. Both cells reach the apical surface of the epidermis, where they bear a few stout microvilli. Occasionally deep invaginations of the apical plasmalemm extend into the cytoplasm. At their base both cell types are in direct contact with nerve endings. The morphology of the synaptic region varies, e.g. membrane thickenings are relatively infrequent; a constant feature however being accumulations of clear visicles in the receptor cells.
  • 村上 邦康
    1970 年 32 巻 2 号 p. 155-178
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    正常ならびにビタミンD2, CaCl2投与後のラットの甲状腺旁濾胞細胞と上皮小体細胞を電子顕微鏡により観察した.
    1. 正常ラットの旁濾胞細胞には多数の直径100∼240mμの分泌顆粒が存在する. また, ときどき分泌顆粒を含んだ autophagic vacuoles も認められる. 旁濾胞細胞と濾胞上皮細胞の間には, デスモゾームによる結合がまれに認められる.
    2∼4週間にわたって高カルシウム血症を起こさせたラットでは, 旁濾胞細胞の分泌顆粒の数は著明に減少する. ゴルジ野は拡大して多数のゴルジ小胞と前分泌顆粒が見られ, 粗面小胞体もよく発達する. このような像は顆粒の形成と分泌の亢進を示すものと考えられる.
    旁濾胞細胞の分泌顆粒は, 他の蛋白腺と同様に, 粗面小胞体-ゴルジ装置系で形成されると思われる.
    旁濾胞細胞の分泌顆粒が逆パイノサイトーシスにより分泌されることを示唆する像が少数認められたが, これを唯一の分泌形式であると断定することはむずかしい.
    2. 上皮小体細胞は長期の高カルシウム血症により次のような変化を示す. 分泌顆粒は増加し, 粗面小胞体-ゴルジ装置系の発達は悪くなり, 細胞膜の入りこみは減少し, 細胞内に脂肪滴が増加する. これらの変化はパラトルモンの合成と分泌の長期にわたる抑制によるものと考えられる. また少数の細胞には, 巨大なミトコンドリアと内腔の拡張した粗面小胞体が出現するが, このような細胞は変性過程にあるものと考えられる.
  • 亀田 芙子
    1970 年 32 巻 2 号 p. 179-192
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    イヌを3群に分け, 10日, 20日および30日間 ビタミンD3 30万IU を毎日筋注し, 0.5% CaCl2を飲水として与え, 高カルシウム血を起こさせた. 血清カルシウム値は 正常群では10mg/dlであったが, それぞれ12.5, 22, 18mg/dlに上昇した. 高カルシウム血を呈する犬の甲状腺を光線顕微鏡でしらべると, 旁濾胞細胞は多くの有糸分裂を起こし, 増加することがわかった. 全甲状腺を連続切片にして観察すると, 旁濾胞細胞の有糸分裂は 投与期間に比例して増加し, 30日間投与されたものでは 正常群よりも20-50倍も増加することがわかった. 最も著しい例では1横断切片で147の有糸分裂が存在した. そして この場合の有糸分裂率は10%であった.
    渡銀, プソイドイソシアニン, 鉛ヘマトキシリンで染まる旁濾胞細胞の顆粒は 投与期間に比例して減少した. 30日間投与されたイヌでは旁濾胞細胞のほとんど完全な脱顆粒が観察された. そして 旁濾胞細胞の一部に, 疲憊を思わせる核濃縮などの変化が見られた.
    高カルシウム血誘発によって 上皮小体は著しい退化を示した.
  • 小林 繁, 上原 政夫
    1970 年 32 巻 2 号 p. 193-201
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    電子顕微鏡下にマウスの頸動脈小体を 観察した. 主細胞は副腎髄質のカテコールアミンを含む顆粒に似た 直径80∼90mμの暗調な顆粒を 多数 含んでいた.
    主細胞の細胞質に従来記載のない 小型の芯あり小胞が見出された. この小胞は直径約30∼40mμで, 主細胞と神経終末とが接している部分に限局してみられた. 小型芯あり小胞の集合と神経終末と主細胞との間に形成された接着斑との組み合せは中枢神経系でシナプスの形態的示標とされている構造に酷似しており, 小型芯あり小胞の集合が主細胞側にあることより求心性のシナプスに相当するであろうと考えられた.
    マウスの頸動脈小体の主細胞が化学受容細胞であることが生理学的に証明されるならば, 本研究で明らかにされた小型芯あり小胞と接着斑の組み合せが感覚性の興奮伝達の場所であろう.
  • 田中 敬一, 牧野 禮一郎, 飯野 晃啓
    1970 年 32 巻 2 号 p. 203-211
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
    培養リンパ球より作製した染色体分析用標本にデオキシコール酸処理を行ない, 走査電子顕微鏡法およびレプリカ法 (透過電子顕微鏡による) で検索し, 次の結果を得た.
    1. 染色体に一次のらせん構造がよく観察された. また部分的には二次のらせん構造も認められた.
    2. 染色体のらせん巻きの方向は姉妹クロマチッドでは同方向であり, 一方相同染色体ではたがいに逆向きであった.
    3. 各染色体のらせんの巻数は正確には数えることが出来なかった. その理由は, ある染色体ではしばしばらせんのひとつのピッチがさらに2つに分かれて見えたからである. すなわち, 果たして1本のクロマチッドが1本のクロモネマから出来ているのか, または2本のクロモネマから成り立つのかはっきりしなかった.
    4. 染色体のセントロメアの部にかんぬき状の物体を観察した.
  • 1970 年 32 巻 2 号 p. 213-214
    発行日: 1970年
    公開日: 2009/02/20
    ジャーナル フリー
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