放送研究と調査
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72 巻, 11 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • テレビが伝えた7月8日
    上杉 慎一
    2022 年 72 巻 11 号 p. 2-21
    発行日: 2022/11/01
    公開日: 2022/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    参議院選挙を2日後に控えた2022年7月8日、奈良市の駅前で街頭演説をしていた安倍元総理大臣が銃撃され死亡した。総理大臣の在任期間が歴代最長の8年8か月におよび、退任後も大きな発言力・影響力を持っていた安倍氏の突然の死。日本のみならず世界にも大きな衝撃を与えた。事件が選挙期間中に起きたことから当初は政治的テロではないかとの見方も出た。しかし、逮捕された容疑者の供述から注目されるようになったのは、「世界平和統一家庭連合」、旧統一教会と政治家との関係である。一方、政府は安倍氏の国葬を決めたが、その賛否を巡り世論を二分する状況が生まれた。本稿は事件が発生した7月8日のテレビ報道に焦点を絞り、その報道内容を調査・分析するものである。NHKと民放キー局の合計60時間におよぶ放送を視聴したうえで、事件の一報が入ったあとの初動の対応について、アナウンサーのインタビューを交えて掘り下げた。また、事件はなぜ防げなかったのかという観点で各局が進めた「警備態勢の検証」など、当日の報道内容についても分析を進めた。さらに安倍氏の死亡が伝えられたあと「政治家安倍晋三」について各局がどのように表象したかについても分析した。そこからは安倍氏の「存在感」や「功罪半ば」といったキーワードが浮かび上がった。本稿脱稿時点は安倍氏の国葬が行われる前で、旧統一教会と政治家をめぐる問題についても事態は進行中である。この2点は、今回の事件がもたらした日本社会の一断面を考察するうえで重要なテーマであり今後の継続課題と位置付ける。
  • 「2021・2022 年全国放送サービス接触動向調査」の結果から
    保髙 隆之, 内堀 諒太, 芳賀 紫苑
    2022 年 72 巻 11 号 p. 22-51
    発行日: 2022/11/01
    公開日: 2022/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    「全国放送サービス接触動向調査」は,テレビ・ラジオ放送,データ放送,録画再生,ホームページ,動画,SNSなど、放送局が提供するコンテンツやサービスのリーチ(1週間に1日でも接触した人の割合)を世論調査で定期的に把握し,メディア利用や放送関連コンテンツの展開を考えるうえでの基礎的なデータになる。今回は2021年11月と2022年6月実施分の結果を報告する。放送局が提供するコンテンツやサービスへのリーチを「リアルタイム(放送経由)」「タイムシフト」「インターネット(通信経由)」に分類すると,2022年のリアルタイムリーチは87.7%、タイムシフトリーチは53.6%、インターネットリーチは35.8%で、いずれかに接触したトータルリーチは92.0%だった。このうち、トータルリーチとリアルタイムリーチが前々回(2020年7月)と前回(2021年11月)から減少、タイムシフトリーチは前回から減少した。一方、インターネットリーチは前回から増加したが、増加したのはテレビのリアルタイム視聴が多い60代で、リアルタイムリーチやタイムシフトリーチが減少した20代では低迷している。しかし、20代では<リアルタイム以外のみ>接触が20%に達し、リアルタイム視聴を伴わない新たな接触スタイルもみられた。
  • 国際比較調査『ロイター・デジタルニュースリポート』より
    税所 玲子
    2022 年 72 巻 11 号 p. 52-65
    発行日: 2022/11/01
    公開日: 2022/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は、2022年9月の『放送研究と調査」に掲載した「デジタル化の中でのニュースの読まれ方」の第2回目の報告である。前回同様に、イギリスのオックスフォード大学にあるロイタージャーナリズム研究所が、デジタル化の中、人々のニュースへの信頼や接触の仕方がどう変わっていっているのかを調べるために行っている国際比較調査『デジタルニュースリポート』を元に、日本の動向を中心に紹介する。本稿では、人々がどのようにデジタル媒体を使い分けているのか、オンラインでどのようにニュースを得ているのか、また、朝一番にニュースを得る方法などの調査結果を紹介している。さらに、取材者が、ソーシャルメディアを使って発信する機会が増える中で、取材者が自らの“意見”を述べても良いのか、など、ジャーナリズムの規範についての質問も含んでいる。その結果、日本は、Yahoo!など海外で「ニュースリーダー」と呼ばれるプラットフォームの利用の比重が大いという特徴があった。また、、若者層を中心にスマートフォンの利用が加速しているものの、朝一番でニュースを得る方法として「テレビ」を挙げる人が調査対象の16か国の中で最も高く、高齢者層が多いことを反映していると思われる結果となった。さらに、取材者の“意見”への許容度合が比較的高く、西欧各国とは対照的な結果となっている。
  • 残された番組資料を手がかりに
    高橋 浩一郎
    2022 年 72 巻 11 号 p. 66-74
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    初期『おかあさんといっしょ』には、飯沢匡や川本喜八郎など、外部クリエーターが多数関わっていたことが分かっているが、映像がほぼ残っていないため明らかになっていないことが多い。今回、1962~1966年に週1回番組内で放送されていた「こんな絵もらった」(脚本・筒井敬介、作画・堀内誠一)の台本と原画写真が遺族の元に保管されていることがわかった。それらの資料を基にして、これまで十分にわかっていなかった番組の演出、内容、制作状況、外部クリエーターのかかわりなどを明らかにした。また、番組は放送外の展開を見せるが、その展開を通し、他メディアと比較してテレビが持つ特性の可能性と限界について考察した。
  • 1950 ~ 60 年代のラジオ解説番組
    島田 匠子
    2022 年 72 巻 11 号 p. 76-77
    発行日: 2022/11/01
    公開日: 2022/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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