放送研究と調査
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73 巻, 12 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • NHK文研フォーラム2023
    保髙 隆之, 舟越 雅
    2023 年 73 巻 12 号 p. 2-19
    発行日: 2023/12/01
    公開日: 2023/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    今後のメディア動向を占うデジタルネイティブの先駆けとして注目される「Z世代」。文研はZ世代とテレビの今のリアルな距離感とこれからの関係を探ることをめざし、文研フォーラム2023で「Z世代とテレビ」と題したシンポジウムを行った。 登場した大学生たちの発言からは、従来の据え置き型テレビでリアルタイム視聴することがいまの学生の生活に合わないこと、情報源を目的に応じて使い分けていることが分かった。Z世代の多彩な情報源の中でも存在感があったのがSNSで、中でも10代後半を中心に利用率が高かったのがTikTokだった。政治系の動画も視聴されていたが、専門家からはショート動画ならではのミスリードやフェイクニュースの危険性の指摘も出た。 またZ世代の特徴とされがちな「タイパ(タイムパフォーマンス)」について、学生へのインタビューと文研の調査で実態に迫った。倍速視聴はすべてのコンテンツではなく、内容によって行われること、切り抜き動画の視聴については時間短縮だけが目的ではなく、編集した人の「面白いものを見せたい」という思いへの信頼も背景にあった。 最後に、学生たちから「これからのテレビ」に向けて提言があった。「テレビはストレスフリーになって」「テレビは謙虚になって」など、Z世代の合理的なメディア選択の対象に入るためのテレビへの期待と不満が明らかになった。
  • 民主主義の危機が深まるアメリカの事例から
    青木 紀美子
    2023 年 73 巻 12 号 p. 20-43
    発行日: 2023/12/01
    公開日: 2023/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHK 放送文化研究所の「文研フォーラム2023」では,市民の力を活かすジャーナリズムの可能性を模索するアメリカの「シビック・メディア(Civic Media )」とも呼ばれる実験的な非営利メディアやプロジェクトの代表の話を聞いた。 その実践に共通する点は,人々が生きるために必要な情報や、よりよい判断や行動をとるために役立つ情報を提供することを重んじていることである。また,情報の収集や編集判断の過程に当事者をはじめ市民を招き入れ,立場や背景の違いを越えててつながる機会をつくることを重視し,さらには,地域に関わる政策決定や課題解決への市民の参画を後押ししている。ジャーナリスト中心のジャーナリズムではない,「コミュニティー中心のジャーナリズム(Community ー Centered Journalism) 」であるともいわれる。 情報の届け方でも,活用する人が利用しやすい方法や媒体を優先し,携帯電話のショートメッセージ,ガイドブック,データベース,対話・交流イベントなど,ニーズに応じて柔軟に考えている。また,メディアばかりでなく,図書館や公民館,住民団体など,情報の蓄積や共有に関わるさまざまな活動主体が強みを持ち寄って力をあわせることで,社会をつなぐ、より信頼性の高い情報のエコシステムができる,という考え方でも一致している。 それが,ローカルニュースの衰退による情報の空白の拡大や誤・偽情報の拡散と浸透,深まる社会の分断を押し返し,民主主義を支えることにもつながるという考え方に立っている。本稿ではこうした考えに基づく試みやそのインパクトについて,実践者たちの言葉を通して伝える。
  • 東山 浩太, 渡辺 健策
    2023 年 73 巻 12 号 p. 44-74
    発行日: 2023/12/01
    公開日: 2023/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は、2022年4月から放送文化研究所のホームページで連載している論考「調査報告 ジャーナリストたちの現場から」の3回分に一部加筆・修正を加えて再録したものです。 連載は、いわゆる“オールドメディア”とされるテレビや新聞を中心としたジャーナリズムに向けられる読者・視聴者、受け手側の不信を意識したうえで、それに現場のジャーナリストたちがどのように向き合っているかを記録しています。 メディア環境は著しい変化の渦中にあります。環境の変化によって、これまでマスメディアが担ってきたジャーナリズムの在り方も大きな変革を迫られています。 一方で、健全な民主主義を支えるためには、ジャーナリズムは変わらなければならない部分と変わってはいけない部分があると感じています。 取材者や組織は、変わるべき部分をどう変革し、守るべき部分をどう維持するのか。そのことを丁寧に説明せずに放置すれば、人々のジャーナリズムに対する理解はますますおぼつかなくなり、信頼も加速度的に低下するでしょう。 そこで、私たちはニュースや番組の取材制作の現場に目を向け、ジャーナリズムの現在形を具体的に探ることにしました。 連載では、ニュースの送り手に対して、自らの実践をめぐる意識について聞き取りを中心に調査しました。聞き取りでは、取材制作に関する動機や着眼点、手法の工夫、それに問題意識を把握することにこだわりました。それらが現在のメディア環境の中でどのような意義や課題を示しているか、私たちなりに考察しました。 課題も含めて現在形を伝えることで、ジャーナリズムに対する人々の理解を図り、信頼をつなぎとめることに微力ながら役立てたらと思っています。 今回、再録する3回分は、NHKの地域放送局が手がけてきた実践例です。取り上げたのは記者やディレクターのみでしたが、今後はより広い意味でのニュースや番組の関係者に対して調査を行うことにしています。そしてNHK以外のメディアの取り組みにも目を向けたいと考えています。
  • 柳 憲一郎, 宮崎 勝
    2023 年 73 巻 12 号 p. 76-77
    発行日: 2023/12/01
    公開日: 2023/12/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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