NHK放送文化研究所では、全国の学校現場におけるメディア環境の現状を把握するとともに、放送・ウェブ・イベントなどNHKの教育サービス利用の全体像を調べるために、「教師のメディア利用に関する調査」を2013年度から実施している。この調査は、学校を単位として定期的に行ってきた「学校放送利用状況調査」(1950~2012年)にかわり、教師個人を対象としている。
2019年度は、2015年度の中学校教師の調査(理科、社会)に続く2回目の調査として、対象教科を4教科(理科、社会、国語、外国語)に増やすとともに、道徳など学級担任として授業を行う教科(担任教科)のメディア利用や、生徒の学習へのスマートフォン利用に対する意識などの新規の質問項目を追加した。
調査結果から、テレビやパソコンなどのメディア機器を教師が利用できる一定の環境が整い、特にタブレット端末を利用できる環境にある教師が4教科とも6割を超え、生徒は1人1台での利用が多いことが明らかになった。また国語、外国語ではラジオ・CDラジカセの利用が多いなど、教科による利用機器の違いがみえてきた。一方で教室のインターネット環境は無線接続が6割を超えたものの、まだ動画を問題なく再生できるまでには至っていない。
こうした機器で提示するメディア教材の利用は4教科とも8割を超え、「NHK for School教師利用率」は理科で63%、社会で56%だった。国語では「指導者用のデジタル教科書」、国語と外国語で音声教材の利用が多く、教科による利用の違いもみてとれた。また、担任教科の道徳では、授業を行っている教師のほぼ6割にメディア教材の利用がみられた。
生徒の学習へのスマートフォン利用については、学校と家庭のいずれの学習においても否定的な意見が多く、学習利用に向けた課題が明らかになった。
今後、生徒1人1台の端末の利用が定着していくことが予想され、教師が利用するメディア教材だけでなく、個々の生徒の学力に適応し、生徒が協働的に学ぶことができる教材の開発と提供が求められる。
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