放送研究と調査
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73 巻, 8 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 「文研ブログ」#480・483・488・495からNHKを巡る政策議論の最新動向〈2023年3月~6月〉
    村上 圭子
    2023 年 73 巻 8 号 p. 2-32
    発行日: 2023/08/01
    公開日: 2023/08/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
    デジタル情報空間の課題が増大する中、放送法の下で正確な情報、多様なコンテンツを提供してきた放送の役割は一層高まっているのではないか。こうした問題意識の下、総務省の有識者会議「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会」は議論を進めてきた。特にNHKにはその先導的な役割が期待されており、2022年秋から、「公共放送ワーキンググループ」が開催され、今後のNHKのあるべき姿やそれを支える財源・制度が議論されてきた。 議論は、①ネット時代における公共放送の役割、②ネット活用業務を中心としたNHKの業務範囲、③民間事業者(民放・新聞)との競争ルール、④財源・受信料制度の4つの論点に分けて行われた。その後、当事者であるNHKによる説明、NHKのネット活用業務の拡大に懸念を示す民放連や新聞協会による意見表明を受け、更に議論を深め、2023年夏にとりまとめを行う予定である。 本稿では、2023年3月から6月に行われたNHKを巡る政策議論について、その都度整理し課題を提示してきた4本のブログを再掲する。ブログは総務省の公共放送WGの議論をベースにしているが、この期間に起きたNHKのガバナンスに関する事案なども取り上げ、できるだけNHKを取り巻く現状を踏まえた上で議論の進捗が確認できるよう心がけた。
  • 軍事侵攻1年を受けて
    上杉 慎一
    2023 年 73 巻 8 号 p. 34-51
    発行日: 2023/08/01
    公開日: 2023/08/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
    ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は2023年2月24日で1年を迎えた。日本のメディア、とりわけテレビはこの1年をどのように伝えてきたのだろうか。 それをつかむためNHK放送文化研究所は夜のニュース番組を対象に報道内容の量的な調査を行った。また、実験的な試みとしてコンピューターを使ったウェブ記事の内容分析も行った。さらにオンラインによる公開イベントの「文研フォーラム2023」で、日本のメディアに何ができて何ができなかったのかを議論した。 量的調査からは、当初、「戦況・被害」に関する報道が中心だったものが、時間の経過とともに「ウクライナ国内」それに「ロシア国内」の動きに報道内容が変化してきたことが確認できた。一方、文研フォーラムでは戦争が長期化する中、いかに人々の関心をつなぎとめることができるか、そのためにメディアにできることは何か、現場取材・スタジオ解説の意義や課題は何かなどについて、意見交換した。 本稿は量的調査の結果を詳述するとともに文研フォーラムでの議論の概要を報告するものである。ウクライナ侵攻の報道をめぐる論考は今回が2回目であるが、本稿脱稿時点でも戦争終結の道筋は全く見えず、引き続き事態が進行する中での論考となった。
  • 文研の世論調査から考える
    斉藤 孝信
    2023 年 73 巻 8 号 p. 52-69
    発行日: 2023/08/01
    公開日: 2023/08/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
    文研が過去に実施した「全国個人視聴率調査」や「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」の結果を、長期的・横断的に分析し、視聴実態と意識の両面から、人々とスポーツ国際大会との関わりを考察する。 実態面では、人々がスポーツの国際大会を、“ふだんのスポーツ”よりもよく視聴していた。その傾向は女性40・50代で顕著で、たとえば2022年調査では、国際大会であるサッカーの視聴率が18%と高かったが、国内大会の陸上競技やゴルフなどはほとんど見られなかった。 その背景には、人々が「日本選手が世界に挑む姿を応援し、勝利を大いに喜ぶ」意識がある。たとえば「東京オリンピックで最も印象に残ったこと」として、女性50代では「日本が過去最多の金メダルを獲得したこと」が37%で最も多く、「若い選手の活躍」などを上回った。また、「印象に残った競技」でも日本勢が金メダルを獲得した「卓球」「柔道」などを挙げた人が多く、大会前に観戦意欲を持っていた人が13%しかいなかった「スケートボード」も、日本勢の活躍により、大会後は37%の人が「印象に残った」と答えた。 一方で、リオデジャネイロオリンピックで日本がメダルを獲得した競技への観戦意欲が、大会後わずか2年ほどで減少したほか、東京オリンピック・パラリンピックの盛り上がりが「一時的なものにすぎなかった」と考える人が65%に達するなど、国際大会をきっかけとしたスポーツの盛り上がりは“熱しやすく、冷めやすい”一面も浮き彫りになった。
  • オンラインインタビューの発言から
    渡辺 洋子
    2023 年 73 巻 8 号 p. 70-79
    発行日: 2023/08/01
    公開日: 2023/08/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
    朝のリアルタイム視聴の減少の要因について、「全国メディア意識世論調査・2022」の結果とオンライングループインタビューでの発言から、朝のメディア利用の実態を整理し、リアルタイム視聴減少の要因について考察した。 朝の習慣的なメディア利用は、生活シーンごとのニーズに合致しており、そのニーズには気分、情報性、時間意識といった多様な要素があることがわかった。朝は、スマートフォンが1日の始まりから使われており、テレビよりも先にスマートフォンに接し、スマートフォン上の様々なメディアを起床直後から見ているという状況があった。起床時、起床後と刻々と生活シーンごとの気分は変わり、起床時は刺激の少ない情報、起床後は前向きな気持ちになれるコンテンツを求める人が多かった。テレビのニュース番組で元気な気持ちを得る人もいれば、YouTubeから得る人もいて、朝に得たい効用をテレビだけでなく様々なメディアで満たしていた。また、リアルタイム放送の強みである「何かをしながら情報を得る」という特徴も他のメディアで代替されている可能性があった。リアルタイム放送の特徴の「時計代わり」「生活リズムを得る」という効用については、メディアで時間を意識する人が減っていること、習慣的なメディア利用をする人が若年層では少ないことから、そうした効用自体がメディアに求められなくなっている可能性がみえた。こうしたことを背景として朝のリアルタイム視聴が減少しているのではないかと考えられる。
  • 河口 眞朱美
    2023 年 73 巻 8 号 p. 80-81
    発行日: 2023/08/01
    公開日: 2023/08/22
    研究報告書・技術報告書 フリー
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