放送研究と調査
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70 巻, 4 号
放送研究と調査
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 宮田 章
    2020 年 70 巻 4 号 p. 2-27
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
    1957年11月から64年4月まで制作・放送された『日本の素顔』(以下『素顔』と記す)は、テレビドキュメンタリー(TD)の制作技法の基礎を築いた番組である。現代われわれがTDの基本的な制作技法と見なすいくつかの技法が、この番組の制作の中で当時としては新しい技法として出現している。ナレーションによる解説・説明のように初めから大々的に用いられた技法もあれば、インタビューのように最初はおずおずと少しだけ用いられた技法もあった。どんな技法がどのようなタイミングで出現し、その後どう展開したのか、本研究はこのことを4回シリーズで問う。 第1回の本稿では、『素顔』の制作技法が経時的に変化していることを指摘し、その変化を捉えるための量的な分析枠組みを示す。
  • 「災害に関する意識調査」から
    吉澤 千和子, 中山 準之助, 河野 啓
    2020 年 70 巻 4 号 p. 28-49
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
    阪神・淡路大震災から25年。人々は災害にどう向き合っているのか。NHKが2019年に実施した全国世論調査を元に分析を行った。▼震災発生当時のことについて、「はっきりと覚えている」は近畿地方では59%だが全国では36%にとどまった。▼災害の備え 耐震基準が見直された1981年以前の住宅で「耐震補強をしていない」が68%と多数を占めた。自宅での備えは『(「どちらかといえば」を含めて)不十分』が8割。大きな災害が発生したときに住民どうしの助け合いは『期待できない』が『期待できる』を上回った。一方、災害を経験した人や、これから起こる災害への関心が高い人ほど、また、自然の脅威に立ち向かう意識や地域の助け合いに期待する意識を持つ人に、備えをしている人が多いことがわかった。▼大雨の際、レベル4にあたる避難勧告や避難指示が出されても「すぐには避難しない」が45%に上った。「すぐには避難しない」理由に「避難所での生活にストレス」(32%)、「家族の避難を考えなければならない」(23%)などがあげられた。▼放送での避難の効果的な呼びかけ方で最も多かったのは、「詳細かつ身近な地名を言われたとき」、2番目が「直ちに、避難してください」。誰に呼びかけられたら避難しようと思うのかのトップは「自治体関係者」続いて「気象庁の担当者」と「地元の番組で見るアナウンサー」が並んだ。
  • 放送局のメディア・リテラシーへの取り組みの変遷
    宇治橋 祐之
    2020 年 70 巻 4 号 p. 50-73
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
    メディア・リテラシーという言葉は日本では、「マスメディアが伝える情報を批判的に読み解く能力」という文脈でとらえられることが多く、1990年代後半から広く使われるようになり、この時期にNHKや民放でメディア・リテラシーに関する取り組みが進んだ。こうした動きは2000年代に一段落したが、「フェイクニュース」「ポスト・トゥルース」などの言葉が注目を集める現在、あらためて「受信者としても発信者としても、メディアのあり方を考え行動できる能力」としてのメディア・リテラシーの育成が求められている。 本稿ではメディア・リテラシーの概念を整理した上で、放送局のメディア・リテラシーへの取組を、番組と番組以外に分けてみていく。番組については「自己検証番組や特集番組」と「小中学生や高校生を対象とした教育番組」に分類、番組以外については「小中学生や高校生向けのイベント」「一般向けの公開施設」「ウェブサイト」の3つに分類、それぞれの取組の変遷を、NHKを中心に民放も含めてみる。 ソーシャルメディア時代を迎え誰もが映像を手軽に発信できる時代、放送局がメディア・リテラシーに果たせる役割を考えたい。
  • 塩﨑 隆敏, 小笠原 晶子
    2020 年 70 巻 4 号 p. 74-84
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
    12月6日から11日まで"APAC Trusted Media Summit 2019"(「アジア太平洋地域・信頼されるメディアサミット2019」)がグーグルニュースイニシアティブや世界的なファクトチェック団体などの主催で、シンガポールで開かれた。アジア太平洋を中心に28の国と地域から、記者やファクトチェックを行っている団体、研究者などおよそ270人が参加した。 6日は実務者による会合が行われ、7日と8日に行われた全体会合では、メディアやファクトチェック団体、研究者の代表が、それぞれ各国での偽情報の広がりやそれに対するメディアの対策などが報告された。また総選挙などをきっかけに行われたメディアの垣根を越えたファクトチェック連携での成果や見えてきた課題なども共有された。また「ディープフェイク」と呼ばれる本物と見分けのつかない精巧な偽の映像などを使った投稿にも注意を呼びかけた。 後半は、ファクトチェックの実務者が講師を務めるワークショップが開かれた。アジアで広がる医療関連の偽情報についての対策や、出所不明の偽情報について検索エンジンやデジタルツールなどを駆使して真偽を検証する「ベリフィケーション」の講座も開催された。アジア各国でメディアリテラシー教育を進める香港大学の鍛治本正人准教授によるニュースリテラシーのワークショップも3日間にわたって開催され、およそ60人が参加し、各自の活動報告などを通じて交流を深めた。
  • 2020 年(第47 回)「日本賞」に向けて
    渡辺 誓司
    2020 年 70 巻 4 号 p. 86-87
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
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