放送研究と調査
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69 巻 , 7 号
放送研究と調査
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • アメリカで広がる 地域ジャーナリズムの連携とその可能性
    青木 紀美子
    2019 年 69 巻 7 号 p. 2-21
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    メディアが競争ではなく協力することによって取材力と発信力を高める連携、Collaborative Journalismについて、アメリカの地域ジャーナリズムにおける新たな取り組みを報告し、その可能性や課題について考察する。テレビ、ラジオ、新聞など伝統的なマスメディアはデジタルプラットフォームの影響力の拡大で情報のゲートキーパーとしての役割を失い、発信力の低下、信頼の落ち込み、そしてアメリカでは特に地方において取材力の衰退にも直面している。これに乗じて社会の分断と混乱を狙う偽情報も拡散され、「情報のジャングル」の中で人々は何を信じたらよいかわからない、あるいは信じたいものを信じるようになり、問題を解決するための議論の出発点となる事実を社会が共有できない事態に陥っている。このような状況を背景にアメリカで広がるジャーナリズムの連携は、メディアばかりでなく、民主主義そのものが直面する危機を克服するための試行錯誤の一つともいえる。本稿では、アメリカの各地で、一定の価値を共有する多様なニュースメディアが、州レベルの政治の監視、地域社会の課題解決、市民との対話や社会の分断の克服など、公共の利益に重点を置いた連携に参加する動きについて、その内容と特徴を2018年末に行ったアメリカでの調査と2019年3月の文研フォーラムでの報告をふまえて俯瞰する。
  • 幼児視聴率調査の実例をもとに
    星 暁子
    2019 年 69 巻 7 号 p. 22-35
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHK放送文化研究所では、住民基本台帳から無作為抽出した調査相手に郵送で協力依頼し、WEBやアプリで回答してもらう世論調査の方式「郵送依頼WEB回答方式(WEB式)」の研究を行っており、1996年から継続して(2004年を除く)郵送法で実施している「幼児視聴率調査」は2016年から実験的にWEB式調査を実施している。3回目となる2018年の調査では、WEB式の有効率が56.1%となり、郵送法の53.1%を上回った。今回のワークショップでは、「幼児視聴率調査」での取り組みについて報告し、調査有効率を維持、向上させるための方策や、WEBブラウザ、調査アプリを使用して回答してもらう世論調査の可能性について、ラウンドテーブル方式で議論した。会場からは、WEB式調査の実査や、調査結果データの傾向に高い関心が示された。また、討論者の佐藤氏(日経リサーチ)からは、従来の郵送法では回答が得られなかった人たちにWEB式でアプローチできているのは有意義であること、調査結果がWEB式と郵送法で異なる要因について今後分析を重ねていく必要性などが指摘された。
  • 2018年11月メディア利用動向調査の結果から
    保髙 隆之, 山本 佳則
    2019 年 69 巻 7 号 p. 36-63
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHK放送文化研究所が2018年11月に実施した「メディア利用動向調査」(全国16歳以上の男女を対象,有効数2,264人)の調査結果を報告する。主なポイントは以下の通り。①4K・8K放送…認知率は、「4K」(76→83%),「8K」(55→70%)ともに前年から増加した。一方,新4K衛星放送に対応した機器の所有者は2%にとどまった。対応機器がない人の7割は購入意欲がなく、理由としてもっとも多かったのは「現在の地上放送、衛星放送で十分だから」だった。 ②放送のインターネット同時配信…認知,利用意向は,いずれも4割程度あり、特に男50代以下の各年層と女29歳以下では利用意向者が5割近い。59歳以下の利用意向者でみると、テレビの短時間視聴者の割合が高く、テレビの「ライトユーザー」に受け入れられる可能性がある。③動画配信サービス…「YouTube」の利用者が5割を超え、他を大きく引き離しているが、「Amazonプライム・ビデオ」(8%),「TVer」(5%)などが前年から利用者を増やした。また、有料動画配信サービスについて,加入者が前年から増加(7→14%)したのに加え、加入の可能性がある「加入検討中」「様子をみている」との合計も増加した。一方で、「加入意思なし」も5割程度おり、前年から変化がなかった。そのほか、「テレビのインターネット接続」「メディアの信頼度とニュースサイト・アプリの利用」についても報告する。
  • 水俣 “魂の深か子” に出会って
    七沢 潔
    2019 年 69 巻 7 号 p. 64-88
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    7年前に始まった「制作者研究」はテレビ制作者個人に焦点をあて、その個性的な番組群が作られた内的なプロセスに迫ってきましたが、今年度から「制作者研究NEO」の名で新装オープン。対象を現役のテレビ制作者に絞り、本人とのホットな対話を、出来るだけ「生」な形で繰り広げながら、これまで通り番組を分析、また制作に助力した先輩やスタッフの存在も盛り込むことで、制作者の生き方をより有機的に、現場に近いところで見つめます。今年度は、地域にこだわり、その風土と歴史の中で番組を紡いできた制作者たちの特集。第1回は28年にわたり“水俣”の番組を作り続けてきたNHKの吉崎健チーフ・ディレクター(53歳)の人生を、前後編にわけて描きます。7月号掲載の前編では、1989年、NHKに入局して生まれ故郷の熊本に赴任した吉崎が、偶然仕事で胎児性水俣病患者たちと出会い、急激に”水俣“に傾斜していったプロセスを見つめます。それまで全く関心がなく、「もう終わった」と思っていた”水俣“は、近づいてみれば多くの未解決問題を抱えていました。吉崎はその後長い歳月をかけてそれと向き合っていきます。入局から3年、25歳の吉崎は、どのようにして”水俣“に”はまっていった“のか、そしてなぜそうなったのか? そのとき誰が背中を押したのか?ある胎児性水俣病患者の撮った写真の展覧会が開催されるまでを追った『写真の中の水俣』など、若き日の3本の番組の読み解きから、謎に迫まります。
  • ISSP 国際比較調査「政府の役割」から
    村田 ひろ子
    2019 年 69 巻 7 号 p. 90-101
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHK放送文化研究所が加盟する国際比較調査グループ、ISSPが2016年に実施した調査「政府の役割」の結果から、35の国・地域を比較し、日本人の政府への期待が、世界各国との比較においてどのように位置づけられるのかを報告する。「政府の責任」だと考えられている施策については、「失業者がそれなりの生活水準を維持できるようにすること」と回答した日本人が53%、「収入の少ない家庭の大学生に経済的な援助を与えること」と回答した日本人が67%で、いずれも各国の中で低い水準である。一方、「物価の安定」については9割近くに上り、各国の中では上位3分の1くらいに位置している。日本では各国と比べて、政府に対して経済面での期待が他の分野よりも大きい傾向がある。 政府の支出に対する意識については、高齢者の年金を「今より増やすべき」と答えた日本人は46%となっていて、各国と比べて少ない。「防衛・軍事」については、日本を含む多くの国で「今より増やすべき」が増加していた。社会の安全を揺るがすテロ事件が世界各国で頻発するなか、テロ行為が起こる可能性がある場合に、警察が電話の会話を盗聴することの許容度についても尋ねた。日本で盗聴が「許される」という人は、2006年調査の47%から59%へ増えたほか、イスラム過激派によるテロが相次いだフランスでは77%から91%に増えていた。
  • NHK 回想法ライブラリー活用の現場から
    大髙 崇
    2019 年 69 巻 7 号 p. 102-111
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は,放送アーカイブ(放送局保有の過去番組やニュースや映像・音声素材)がより幅広く活用されるために,「NHK回想法ライブラリー」を事例に考察する。1章では,認知症の心理療法のひとつである回想法と,記憶を呼び起こすツールとして古いアーカイブ映像を収録した回想法ライブラリーの概要を紹介。2章では,高齢者施設で認知症の人々が回想法ライブラリーを視聴し,思い出を語り合う様子や,大学の看護学部の授業での活用例を報告。回想法ライブラリーが,認知症の人々のQOL向上や,施設職員,学生たちの学びのツールとなっていることがわかる。3章では,回想法ライブラリー制作の経緯を追い,「ナレーションを減らし,映像の実音を生かすこと」など,アーカイブ映像が今後さらに活用されるためのポイントと課題を抽出する。4章では,まとめとして,アーカイブ活用の人材育成や,放送局以外の有識者との連携の重要性を提示する。
  • 「外地」放送史料から(2)
    島田 匠子
    2019 年 69 巻 7 号 p. 112-113
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/08/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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