放送研究と調査
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70 巻, 7 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 報道のあり方を考える
    福長 秀彦
    2020 年 70 巻 7 号 p. 2-24
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
    新型コロナウイルスの感染拡大が続く中で、トイレットペーパーをめぐる流言と買いだめが如何にして発生したのか、また、両者がどのように関わり合っているのかを検証した。そのうえで、流言と買いだめを的確に抑制する報道のあり方を考察した。検証と考察の結果は以下の通り。 ■「トイレットペーパーが不足する」という流言の発生には、マスク不足、オイルショック、海外の買い占め騒動が心理的要因として作用していた。日本とシンガポールなどで拡散した流言はほぼ同じ内容であり、感染症の流行による国際社会の不安から、流言は国境を越えて拡がった。 ■買いだめの動きは、流言がきっかけとなって各地で散発的に始まり、2月28日に急加速した。急加速を主に促したのは、品切れの様子を伝えたテレビだった。 ■流言を信じて買いだめをした人は少なかった。多くの人は流言を信じていなかったが、「他人は流言を信じて買いだめをしているので、このままでは品物が手に入らなくなる」と思い、買いだめをしていた。そうした心理は品切れとなる店舗が増えるにつれて増幅し、買いだめに拍車をかけた。 ■流言を否定する情報は、店頭から現実にモノが消えているので、説得力を欠いた。買いだめが加速すればするほど、品不足への不安が高じて、流言の打ち消しは効果が逓減した。 ■流言が社会に悪影響を及ぼす群衆行動へとエスカレートする前に、流言の拡散を抑え込まなければならない。
  • 2019年11月メディア利用動向調査から
    河村 誠
    2020 年 70 巻 7 号 p. 26-38
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿では、2019年11月に実施した「メディア利用動向調査」の結果を報告する。動画配信・SNSやネットニュースなどインターネットを利用したデジタルメディアの隆盛に加え、放送のインターネット同時配信の開始など、メディア環境の激変をユーザーはどう受け止め、どう利用しているのか?伝統的なマスメディアとネット系メディアに対する信頼性と利用率の関係は?結果からは、インターネット接続されたテレビが徐々に増え、そこでは動画配信の利用が多くなってきていること。ネットニュースと伝統的なマスメディアの信頼性が若い世代で肉薄していることなどが分かった。放送をはじめとした伝統的なマスメディアと、動画配信サービスなどのネット系メディアとの垣根が、ユーザーにとって、いよいよ低くなりつつあると筆者は考える。加えてインターネット同時配信の利用意向や4K8K放送の認知など、過去4年の調査結果を時系列で辿り、ユーザーの潮流を分析した。 さらに、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、本稿を執筆している5月上旬現在、全国に緊急事態宣言が出されている。この状況に対して、各々の動画配信サービスも動き始めた。将来のメディアのあり方にも関わっていくであろうこうした取り組みについても概観した。
  • 番組準則,電波法76条の修正過程の検証
    村上 聖一
    2020 年 70 巻 7 号 p. 48-67
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
    政治的公平などを定めた放送法の番組準則に違反した場合に、電波停止処分(電波法76条)が可能かという問題をめぐっては、さまざまな見解が存在する。これに関連した規定は、1950年4月の電波三法(電波法・放送法・電波監理委員会設置法)の成立直前に盛り込まれたものだが、従来の研究ではその修正過程が十分に明らかにされてこなかったことから、一次資料を基に検証を行った。 当時の文書によると、まず、電波法76条の対象として放送法違反を含める修正は、電波庁と衆議院法制局を中心に1950年2月中旬の時点で検討されたもので、修正は電波法・放送法の整合性を図るためのものだったと見られる。一方、番組準則の修正はこれとは別に、その後の国会内での議論で盛り込まれた。このうち、番組準則の民放への適用は民放開設関係者が求め、番組準則の内容変更は与党の国会議員を中心に主張されていた。 これらを盛り込んだ修正案は1950年3月にGHQに示されたが、GHQがこだわったのは、番組準則などの問題ではなく、規制監督機関である電波監理委員会の独立性確保だった。GHQが早期の法案成立を目指したこともあり、番組準則や電波法76条の修正はそのまま了承され、電波三法が成立した。 こうした経緯からは、電波法76条と番組準則の修正はそれぞれ別の文脈で行われたものであり、GHQもそれらの修正を番組規制に関連した重要事項とは見なしていなかったことがわかる。番組準則違反を理由にした電波停止処分が可能かという問題を考えるにあたっては、そうした立法過程も考慮に入れ、検討を行うことが必要と思われる。
  • 青木 紀美子
    2020 年 70 巻 7 号 p. 68-81
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
    市民とのエンゲージメントを柱とするEngaged Journalismの実践者たちのインタビュー連載2回目は、独自の試みで新たな道を切り開いてきたアメリカのエンゲージメントの先駆者ともいえるジャーナリスト3人の話を紹介する。市民から募った質問を出発点に取材する公共ラジオWBEZでの企画を成功させ、これを機にエンゲージメント支援のビジネスを起こしたHearkenの創始者、ジェニファー・ブランデル氏。町の停電をきっかけに人々の力を取材に取り入れることに目覚め、まずは市民の情報ニーズを把握することから始めようとしているオンラインメディアTHE CITYのエンゲージメント・ディレクター、テリー・パリス・ジュニア氏。記者のスキルを市民と共有することで、より民主的な情報のエコシステムを作ろうとする実験的な「市民ジャーナリズム・ラボ」City Bureauの創始者、ダリル・ホリデー氏である。3人3様に、これまでのジャーナリズムのありように疑問を抱き、その役割を見直し、市民と連携することで、目を向けられてこなかった、埋もれてきた視点や情報、アイデアを掬い上げ、社会に役立てる手法や枠組みを模索している。その軌跡や背景にある思いをそれぞれの言葉で語ってもらった。
  • 井上 裕之
    2020 年 70 巻 7 号 p. 82-83
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
  • 松山 秀明
    2020 年 70 巻 7 号 p. 84-85
    発行日: 2020年
    公開日: 2021/04/16
    研究報告書・技術報告書 フリー
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