放送研究と調査
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74 巻, 1 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 「幼児視聴率調査」から
    舟越 雅, 築比地 真理
    2024 年 74 巻 1 号 p. 2-21
    発行日: 2024/01/01
    公開日: 2024/01/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2022年6月に実施した「幼児視聴率調査」の結果から、おもに幼児のリアルタイムテレビ視聴とインターネット動画利用の関係に注目し、メディア利用時間や生活時間の違いなどによってグループを分類するなど、性や年齢を横断した分析を行う。 幼児がテレビや動画をどのように利用しているかについてみると、「テレビのみ」や「ネット動画のみ」に接触する割合は少なく、テレビやネット動画などを組み合わせて利用している幼児が多かった。またネット動画をテレビのように長時間利用する幼児もみられたが、それでも平日朝など時間帯によってはテレビを視聴しているなど、完全にテレビから離れているわけではないことがわかった。さらに、幼児の起床や就寝の時間によって1日でのテレビやネット動画の時間量は変わらないが、利用する時間帯は異なっており、平日と土日で比較しても、見ている内容や利用の傾向は異なっていた。そして保護者のメディア利用についてもみたところ、保護者のテレビ視聴時間が長いほど幼児もテレビを長く見る傾向があったが、ネット動画はそこまでの明瞭な関係は表れなかった。利用が浸透するものの、テレビとの”使い分け”の様子もうかがえるインターネット動画の利用については、今後もさまざまな観点から分析を掘り下げていく必要がある。
  • 「新型コロナウイルス感染症に関する世論調査(第3回)」の結果から③
    小林 利行
    2024 年 74 巻 1 号 p. 22-35
    発行日: 2024/01/01
    公開日: 2024/01/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHKが2020年11月から毎年同じ時期に3回連続で実施した、新型コロナに関する世論調査の結果について、本稿では「世帯年収の差」に注目して分析を深めた。主な結果は以下の通りである。 コロナ禍による生活変化については、いずれの世帯年収層でも『プラス』だったと思う人より『マイナス』だったと思う人が多いが、年収が高いほど『プラス』が多く、その理由で目立つのが「在宅勤務などができるようになったから」だった。実際に年収が高いほどテレワークをしている人が多かった。また、年収が高いほど日常生活の感染対策にもデジタルを活用している人が多く、社会全体のデジタル化の進展についても肯定的に捉えている人が多かった。 一方、年収が低いほどコロナ禍によって収入が『減った』という人が多かった。これは、「販売・サービス業」などの年収が比較的低い職業に携わる人ほどコロナ禍による仕事への影響が大きかったことが要因のひとつだと思われる。さらに、年収が低いほど「気持ちが落ち込む」などといった精神的なダメージが大きかったことも明らかになった。 3年の時系列でみると、年収が高い人ほど生活満足度の増加率が大きく、低年収層との差が年々広がった。これは、高収入層でテレワークが広がったことや、コロナ禍初期に減少した収入の回復が、ほかの層に比べて早かったことなどが影響していると推察される。 これらのデータは、新たなパンデミックの際に、低収入層への初期の段階での迅速な経済的支援などが必要なことを示すものといえよう。
  • 2023年「日本語のゆれに関する調査」から(1)
    塩田 雄大, 中島 沙織
    2024 年 74 巻 1 号 p. 36-61
    発行日: 2024/01/01
    公開日: 2024/01/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    ▶語の複合によりハ行音がパ行音となる「半濁音化」をめぐって、「泊・発・班・分間」およびその他のハ行音漢語助数詞に関し、①「3」よりも「4」のほうが半濁音化しない回答が多い、②半濁音化しない回答は若年になるほど多いという傾向が、共通して観察された。この背景には言語変化としての「半濁音化から非半濁音化へ」という流れが想定され、この動きは東日本で先行して進みつつあるものと推定された。 ▶「あり得る」「起こり得る」に関し、「起こり得る」については、現代口語形[オコリエル]から、新しい文語形である[オコリウル]への回帰が進みつつあることが推定された。 ▶「サステ(イ)ナブル」の語形のゆれに関し、原語(英語)に比較的忠実な「サステイナブル」という形が今後主流になっていく可能性は、おそらく低いものと予想された。 ▶ニュースで、小学生の男の子を「〇〇くん」、女の子を「〇〇さん」と呼ぶことについてどう思うか尋ねたところ、全体では「「さん」に統一しなくてよい」と答えた人が多かったが、30代女性では「「さん」に統一するのがよい」と答えた人が半数を超え、男女差、世代差があることがわかった。 また、事件報道において、小学生の男の子につける敬称としては、「くん」を支持する人が最も多かった。一方で、「さん」を支持する人は前回(2015年)の調査より増加し、特に中年層でほかの年齢層より「さん」を支持する人の割合が高かった。 ▶「前倒し」という名詞が動詞化したと考えられる「前倒す」は、比較的若い世代を中心に浸透しつつある。
  • コンフォーミズムの中で
    宮田 章
    2024 年 74 巻 1 号 p. 62-94
    発行日: 2024/01/01
    公開日: 2024/01/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    日本のテレビドキュメンタリーの基礎を築いたとされる『日本の素顔』(NHK、1957~64)の制作技法の変遷を描く第6回目。今月号と来月号(第7回)の2回に分けて、『素顔』最後の2年間となった62~63年度の展開を分析し考察する。 本シリーズ第5回で述べたように、61年度以降の後期『素顔』は、「60年安保」後の泰平ムードの中で、社会問題の提示能力を衰退させていった。62~63年度の『素顔』を広く覆っているのは、61年度よりさらに徹底したコンフォーミズム(現状追認主義)である。総じて言えば、この時期の『素顔』は、コンフォーミズムの中で、社会事象の平板な解説番組という性格を強めている。ただし、現状追認といってもその仕方はテクストによって様々である。また数は少ないものの、この時期でも現状追認には与さず問題を社会につきつけたテクストを見つけることもできる。特筆したいのは、現状追認か否かという枠組み自体を忘れさせるような技法革新が起こっていることである。「○○問題」という議論の枠組みを吹き飛ばすような情動的強度に秀でた映像・音声が出現している。
  • 占領下で発達した録音構成
    島田 匠子
    2024 年 74 巻 1 号 p. 96-97
    発行日: 2024/01/01
    公開日: 2024/01/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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