放送研究と調査
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72 巻, 8 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • ~「全国メディア意識世論調査・2021」の結果から~
    内堀 諒太, 渡辺 洋子
    2022 年 72 巻 8 号 p. 2-35
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2021年10~12月に郵送法で実施した「全国メディア意識世論調査・2021」の調査結果から、テレビやインターネット動画などのメディアの利用実態と人々の意識について報告する。利用実態として、テレビ番組(リアルタイム)は、「毎日のように」利用する人が76%(前年82%)と減少し、依然として多くの人に利用されているものの、日常的に利用している割合は減った。また、メディア・サービスの利用を目的別に尋ねたところ、「ニュース」目的での利用は、いずれの年層でももっとも高いのはテレビであるが、「娯楽」目的の利用でテレビがもっとも高いのは50代以上に限られていて、30代以下ではYouTubeの利用が目立った。メディアの効用評価では、「興味のなかったことに関心を持つうえで」役に立つメディアを尋ねたところ、テレビが29%ともっとも高い評価を得たが、16~29歳ではYouTube(28%)がテレビ(17%)を上回った。若年層にとってYouTubeは、自分の興味のあるものを見るためだけのサービスではなく、自分の興味のなかったところまで関心を広げてくれる機能もあるという感覚になっている。スマートフォンなど、テレビ以外の機器で、テレビ番組を視聴する人にその理由を尋ねたところ、「自分の好きな時間に見たいから」(48%)がもっとも高く、16~29歳では57%と特に高い。また時間感覚として、リアルタイムで見られるテレビ番組でも、録画あるいはインターネットで都合のよいときに見るという人は、50代以下で7割前後と、自分の生活に合わせるためにタイムシフト視聴をする意識が広がっている。これらの背景には、時間を無駄なく使いたいという意識も関係していた。
  • ~「復帰50 年の沖縄に関する意識調査」の結果から~
    中川 和明, 中山 準之助
    2022 年 72 巻 8 号 p. 36-70
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    沖縄の本土復帰50年に合わせてNHK放送文化研究所は、米軍基地や日米安全保障体制、沖縄の経済などについて人々がどのように考えているか把握するため、沖縄県と全国を対象に世論調査を実施した。復帰に対する評価や沖縄と米軍基地の関係などのテーマごとに結果を報告する。「沖縄の本土復帰の評価」▼本土復帰を『よかった』と評価している人は沖縄では8割超、全国で9割超。▼国の振興策について沖縄では『役に立った』が約8割を占めるも、国の施策全般については沖縄の意向を『踏まえていない』が6割に上る。「沖縄と米軍基地」▼復帰後も残る米軍基地について沖縄では「やむを得ない」(51%)「必要だ」(11%)と「肯定的」に思っている人が5割を占めるが、在日米軍専用施設の約7割が沖縄に集中していることについては8割超が『おかしいと思う』と答えた。「基地と沖縄の経済」▼沖縄の経済は米軍基地がなくても成り立つと思っている人が沖縄では5割以上を占め、7割以上が基地は自分の暮らしや仕事に『役立っていない』と答えた。「沖縄戦の継承」▼沖縄戦の歴史について、『知りたいと思う』人は沖縄で約9割、全国でも約8割。『継承されていない』と思う人は沖縄で5割超、全国では7割超。「沖縄の現状と今後」▼沖縄の現状については『満足している』(51%)と『満足していない』(48%)が5割で拮抗。▼これからの沖縄の課題では「貧困や格差の解消」が8割近くを占めた。
  • 税所 玲子
    2022 年 72 巻 8 号 p. 72-81
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    デジタル化の進展で誰もが情報を発信できる自由を手にする一方、偽情報や誤情報の拡散や、異なる意見に不寛容な空気など、新たな課題が生じている。事実の重みが揺らぎ、世界ではメディアへの攻撃も増えている。「信頼されるジャーナリズム」とは何か。「信頼」を得るために、各メディアは視聴者・読者とどのように向き合えばよいのか。海外のメディアの実践例を糸口に、研究者、ノンフィクション作家、番組制作者が意見を交わしたシンポジウムの概略を紹介する。
  • 研究発表「テレビのジェンダーバランス」 ディスカッションから
    青木 紀美子, 大竹 晶子, 小笠原 晶子
    2022 年 72 巻 8 号 p. 82-91
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHK放送文化研究所の「NHK文研フォーラム2022」では、テレビ番組のジェンダーバランスをテーマに2021~22年に実施した▲メタデータを使ったテレビ番組全般の登場人物の分析と、▲コーディング調査による夜のニュース番組の登場人物の分析、▲視聴者1,000人余りのWEBアンケート調査、という3つの調査の結果を報告し、2人の識者にゲストとして意見を述べてもらった。本稿はその採録である。ゲストからは、テレビに登場する人物の男女の偏りが人数だけでなく、年代、職業、番組内での役割、名前の表記の有無など質的な面に及び、それが繰り返されることで、性別役割の固定観念や分業意識を強化するリスクが指摘された。ジェンダーバランスを「気にしすぎ」ではないかという意見に対しては、背景にはチャンスの欠如や可能性の喪失のおそれがあることを考えるべきであり、今までが「気にしなさすぎ」たのではないかという問題提起があった。また、社会の実態とテレビの放送は相互に影響して現実を形づくっており、どちらが先かを考えるのではなく、車の両輪のようにとらえて変えていくことが必要なこと、さらに、メディアが自らを点検する一方、市民も参加して放送の今後のあり方を考え、これからの社会を築いていく手がかりにするためにも、継続的なデータの蓄積・共有の重要性が強調された。
  • 渡辺 誓司, 山田 潔, 中村 美子, 河村 誠
    2022 年 72 巻 8 号 p. 92-107
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHK放送文化研究所の「文研フォーラム2022」では、2021年夏の東京パラリンピック大会の放送とそのレガシーについて考えるシンポジウムを開催した(2022年3月3日、オンラインで実施)。パネリストに、NHK2020東京オリンピック・パラリンピック実施本部の樋口昌之副本部長と株式会社WOWOWの太田慎也チーフプロデューサー、NHKの中継番組にもゲストとして出演した作家の岸田奈美氏を迎え、東京パラリンピックの放送の取り組みの報告や、文研の世論調査などの結果を交えて議論を行った。また、NHKが障害者を対象に募集したリポーターとして放送に出演した後藤佑季氏に事前にインタビューを行い、障害のある当事者として放送に携わった経験について語った発言が議論を深めた。 樋口副本部長からは、NHKの競技放送を中心に、「スポーツとしての魅力を伝える」ことを大方針とし、リポーターをはじめ出演者に障害のある人を起用した取り組みなどについて、太田氏からは、IPC(国際パラリンピック委員会)との共同プロジェクトで2016年から放送を続けているパラアスリートのドキュメンタリー・シリーズ『WHO I AM』の紹介を通じて、「社会における障害の打破」という番組のねらいや、同番組から始まった多面的な発信が報告された。岸田氏は、出演者、視聴者として、そして障害のある家族と暮らす立場から、東京パラリンピックの放送に対する受け止めや、パラリンピアンがスポーツという手段を通じて幸せに近づこうとする姿に素直に感動したことなどを率直に語った。東京パラリンピックの放送のレガシーとして、後藤氏がインタビューで語った、番組制作チームとのコミュニケーションの積み重ねから得た変化の事例から、障害のある人と「協働する」ことを提示した。そして、今回の放送を出発点とし、放送を通じて共生社会の実現に向けた取り組みを継続することの重要性が指摘された。
  • 宮下 牧恵
    2022 年 72 巻 8 号 p. 108-111
    発行日: 2022/08/01
    公開日: 2022/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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