放送研究と調査
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73 巻, 10 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • ~ロイター・デジタルニュースリポート2023から~
    税所 玲子
    2023 年 73 巻 10 号 p. 2-31
    発行日: 2023/10/01
    公開日: 2023/10/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    情報があふれるデジタル社会で、人々のニュースに対する意識や、情報への接し方はどのように変わるのか。そして情報を発信する側のメディア組織は、この時代をどう生き抜くべきなのか。 イギリスのオックスフォード大学にあるシンクタンク、「ロイタージャーナリズム研究所」(Reuters Institute for the Study of Journalism)は、国際比較調査を通じ、この問いかけを続けてきた。放送文化研究所も調査の協力団体として日本の動向を分析している。2023年はデジタル化が一層進む中で、日本でも世界でも、若年層を中心にソーシャルメディアを通じて情報を得る人が増えたことがうかがえる。しかし、プラットフォームに圧倒的な強者は存在せず、断片化(fragmentation)が進み、その中で、既存メディアと市民とのつながりも薄らいでいっている。一方、市民はソーシャルメディアの利用を拡大しつつも、アルゴリズムによってニュースが取捨選択されていることへの不安は払拭できていないことも浮き彫りになった。 また2023年は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻後、激しい情報戦が行われる中での調査実施となった。信頼できる情報の大切さは認識されても、物価高が市民の暮らしを圧迫する中、世界的にオンラインの有料コンテンツの購読の勢いが止まったことも明らかになっている。
  • 青木 紀美子, 小笠原 晶子, 熊谷 百合子, 渡辺 誓司
    2023 年 73 巻 10 号 p. 32-72
    発行日: 2023/10/01
    公開日: 2023/10/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    社会的に多様性、公平性、包摂性の促進が重視される中、メディアも社会の多様性を反映しているかを問われている。放送文化研究所では2022年度、テレビ番組の表象の多様性について2回目の調査を行った。 6月の1週間、番組全般の出演者のジェンダーバランスをメタデータにもとづいて分析し、6月と11月、ウィークデー(月~金)夜の全国向けのニュース報道番組で発言した登場人物について、ジェンダーに加え「障害の有無」、「人種的多様性」、「取材地の分布」などについても、コーディングによる分析を行った。 ジェンダーバランスの分析結果は、前年度とほぼ変わらず、女性と男性の割合が、番組全般では4対6、夜のニュース報道番組では3対7だった。総人口では女性が過半数を占め、特に高齢層で女性が男性より多いという社会の現実に対し、テレビの世界は「若い女性と中高年の男性」に偏った表象であることが前年度に続き、確認された。このうちニュースでは、男性が政治や経済などの分野で権威や肩書がある立場で登場することが多いのに対し、女性は暮らしや福祉などの分野で地位も肩書も名もない立場で登場する割合が高かった。新たに加えた調査項目のうち「人種的多様性」では、「日本人」の次に「ヨーロッパ系」が多く、取材地が日本国内の場合も、在留外国人の大半を占める「アジア系」と「ヨーロッパ系」が、登場人物に占める割合で並ぶという偏りがあった。「障害の有無」の分析では、障害「あり」が全体の0.3%で、「あるかもしれない」0.9%とあわせても約1.2%で、国内の障害者の割合のおよそ9.2%の8分の1程度にとどまった。登場人物が取材を受けた「取材地の分布」は、都道府県別の人口分布に比べて、東京への一極集中がはるかに大きかった。限られた日数のサンプル調査であり、テレビ放送から得られる情報では把握できない多様性もあるが、視聴者から見えるテレビの表象の偏りを示唆する結果となった。
  • ~NHK文研フォーラム2023から~
    大髙 崇
    2023 年 73 巻 10 号 p. 74-97
    発行日: 2023/10/01
    公開日: 2023/10/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    2023年3月開催の「NHK文研フォーラム2023」でのシンポジウム「放送アーカイブの『公共利用』」の採録をベースに、シンポジウムの流れに沿いながら、膨大な数に上る過去の放送番組とその素材の利活用の可能性と課題解決について考察する。第1章は、北陸3県の放送アーカイブの利用ニーズ調査の結果分析の報告。公共文化施設等の利用ニーズは高い一方、実際には利用が困難だという多数の声がみられた。第2章以降はシンポジウムでの討論の模様を紹介。放送アーカイブの可能性が語られた後、放送アーカイブを利用する際のNHKに支払う使用料や検索性などが課題として示され、研究や教育分野をはじめ文化的発展の妨げとなっていることが指摘された。第3章では、アーカイブを含むコンテンツの利活用での課題とされる著作権法について、福井健策氏が解説。基本原則を示したうえで、権利者の許諾を要さない「例外規定」の拡大や、許諾を取りやすくする新たな方策など、近年の潮流が掃海される。質疑応答の模様も伝える。第4章では、筆者が、放送アーカイブの「公共利用」を促進させるための私案を提示し、その評価を行う。そして、放送アーカイブの「公共利用」の観点から、NHK(公共メディア)の役割とは何か、受信料は何の対価かを問う。
  • 「ローカルフレンズ滞在記」 放送外の取り組みについて
    高橋 浩一郎
    2023 年 73 巻 10 号 p. 98-101
    発行日: 2023/10/01
    公開日: 2023/10/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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