放送研究と調査
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選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 「国民生活時間調査・2020」の結果から
    渡辺 洋子, 伊藤 文, 築比地 真理, 平田 明裕
    2021 年 71 巻 8 号 p. 2-31
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHKでは1960年から5年に一度「国民生活時間調査」を実施している。13回目となる2020年調査は、2015年からの社会の変化に加え、新型コロナウイルス感染症が広がる中での生活実態をとらえる調査となった。主な結果は以下のとおり。 ・男性有職者で、平日8時間30分前後で高止まりしていた仕事時間が7時間52分に減少した。 ・通勤のピークに通勤する人が減り、東京圏・大阪圏で自宅内で仕事をする人が1割を超え、時差通勤や在宅勤務が広がる兆しがみられた。 ・長時間労働の減少に伴う男性の家事時間の増加、子育て世代の子どもの世話の増加、70歳以上の家事時間の増加により、成人男女ともに家事時間が増加した。 ・中年層では早寝で睡眠時間が増加、高齢層ではテレビや録画番組視聴による夜更かしで睡眠時間が減少した。 ・国民全体のテレビの視聴時間は平日3時間1分。1日にテレビを見る人の割合は平日・土曜・日曜とも減少し、8割を下回った。 ・1日の時間配分は、長期的に仕事を中心とした拘束行動の減少傾向が続いている。また、自由行動に時間をあてる代わりに食事や身のまわりの用事など必需行動に時間を使う流れも2015年から継続している。 2020年調査でみられた変化の底流には社会や意識の変化があり、今回のコロナ禍でそれらが顕在化、あるいは加速したと考えられる。これまでと異なる動きは、新型コロナウイルスの状況により揺り戻しがある可能性はあるが、完全には戻ることはないと考えられる。
  • BBCの事例から
    税所 玲子
    2021 年 71 巻 8 号 p. 32-46
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    新型コロナウイルスの感染拡大の中で、偽情報・誤情報の広がりが喫緊の課題として認識される中、世界の公共放送の代表格といわれるイギリスBBCは、「信頼できる確かな情報の担い手」として、自らの役割と価値を改めて打ち出そうとしている。 本稿は、その取り組みの最優先策として挙げられた「不偏不党の徹底」に焦点をあて、その理念がどのように放送で実践されてきたのか、その変遷を概観した。スエズ危機やフォークランド紛争など、時として権力と激しく対立しながら模索してきたそのアプローチは、デジタル化と多民族化が進む中で、「シーソーのようにバランスをとる」ことから、「多種多様な価値を反映」させるべく、「正確性、バランス、文脈、公平・公正、客観性など」が合わさった多様なものであるべきだとの認識へと進化を遂げる。そして、戦後最大の外交政策の転換と言われるEU離脱によって政治社会が分断し、対立感情があらわになりやすい雰囲気が広がる中で、左右からの批判にさらされたBBCは、再び変革を迫られる。本稿では最後に、これまで視聴者とのエンゲージメントの手段としてきた取材者のSNS発信を制限するなど、新たな実践の形を模索する姿を紹介する。
  • 渡辺 誓司, 酒井 厚
    2021 年 71 巻 8 号 p. 48-63
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHK放送文化研究所の文研フォーラム2021では、中学生・高校生の家庭学習に注目し、コロナ禍前の状況との変化を踏まえながら、家庭学習におけるメディア利用の可能性について考えるプログラムを開催した(2021年3月3日、オンラインで実施)。パネリストに、子どもたちに学びの場と居場所を提供し、学習支援を進めている認定NPO法人カタリバ代表理事で中央教育審議会委員の今村久美氏を迎え、コロナ禍の前後に実施した調査の報告を東京都立大学准教授・酒井厚氏と文研が行い、調査に協力した3人の保護者も加わって議論した。 まず、中学生・高校生の親子を対象に2019年と2020年に実施した調査から、下記の点が報告された。 ・家庭学習で利用が多いデジタル機器は、スマートフォン、パソコン、タブレット端末、電子辞書。 特にスマートフォンの利用が増加し、全体的にデジタル機器やデジタルコンテンツを利用する学習者が増加。 ・コロナ禍による学校の臨時休業期間中にオンライン授業の配信があったのは約3割。 ・デジタル機器を利用する学習者は、新しいことへの関心が高く、母親もそのような学習に積極的である。 ・家庭学習でデジタルメディアの利用を継続することは、学習に対する前向きな態度につながる 調査の結果に保護者からの各家庭の学習の実態に関する発言を交え、デジタルメディアの利用を通じて一人ひとりの子どもに合った個別最適の学習を実現できることや、対面の授業にはないオンライン授業の可能性と期待、地方と都市あるいは日本と世界をオンラインで結び距離の制約を越えた学習が可能なこと、デジタルメディアを利用した家庭学習の継続によって学習へのやる気が高まる効果があること、などが語られた。 また、課題として、家庭学習でデジタル機器を利用している中学生・高校生の多くが、勉強中に機器を使って遊んでしまった経験があるという調査結果を踏まえ、デジタルメディアとの上手なつきあい方を身につける必要があること、有効なのは、親子が話し合い、子どもも十分納得したうえで利用に関するルールを作ること、それによって親子がともにデジタルメディアに関するリテラシーについて考える機会にもなることが指摘された。
  • 防災教育と災害伝承におけるメディアの役割
    山口 勝
    2021 年 71 巻 8 号 p. 64-83
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    東日本大震災から10年を機に、大学、文部科学省、民放、NHKの担当者と、災害デジタルアーカイブの利活用と持続性を考えるシンポジウムを開催した。 ・国のポータルサイト国会図書館“ひなぎく”に連携するアーカイブは、当初の21から53に増えた。しかし、仕組みが複雑だとして連携しないアーカイブも出てきた。また“ひなぎく”には当初、地図機能があったが、予算からなくなり、防災教育や復興観光での利用が困難になった。 ・防災教育での利活用:新学習指導要領「生きる力」が導入され、岩手では、アーカイブを活用した防災復興教育が始まった。2022年全国の高校で必修化される地理総合での活用も期待される。一方、災害映像は、心的ストレスを与えることもある。なぜ見るのか、意味を考え、感想を話し合うなど、「リテラシーと共感」が大切である。 ・マップ機能を生かした朝日放送の震災バーチャルツアーや震災展示をまるごとアーカイブでバーチャル公開するNHKなど、デジタルとリアルの連携も進む。一方、維持コストが課題でGoogleの支援でアーカイブを公開した放送局もある。「民放連で、国立で、社会全体で、災害アーカイブを」と模索が続く。災害資料は、国家的知的財産であり、教訓を伝えて、命を守り、持続可能な社会をつくるための「未来への投資」である。3月11日を「防災教育と災害伝承の日に」と提案も行われた。
  • 地域放送局が集めた5,000枚の絵から考える
    井上 裕之, 吉田 功
    2021 年 71 巻 8 号 p. 84-95
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    本稿は、2021年3月4日にNHK文研フォーラムで研究発表をした「市民が描いた『戦争体験画』の可能性 ~地域放送局が集めた5,000枚の絵から考える~」の採録である。この研究発表では、NHKがこれまで実施してきた戦争体験画(以下、「体験画」)収集プロジェクトについてさまざまな視点から論じた。まず体験画の特徴として、「描き手が現場に立ち会っていること」などを挙げ、写真よりすぐれている点として、数多くの戦争体験者の多角的な視点が提示される点や、カメラでは撮り逃してしまう決定的瞬間を残せる点などを指摘した。また、体験画を描くこと自体が力を持っていることや、体験画を通じて体験者と取材者の対話が可能になっていくこと、それに体験画に内在する場所を媒介に人々がつながっていけることなどについても、VTRで事例を紹介しながら伝えた。そして、地域放送局が実施した体験画収集の取り組みは、かつてアメリカの地方紙が取り組んだ「シビックジャーナリズム」と共通点があることについて論じた。最後に、発表後に参加者から寄せられた感想の一部も掲載した
  • 「スポーツ×ヒューマン」の事例から
    宮下 牧恵
    2021 年 71 巻 8 号 p. 96-99
    発行日: 2021年
    公開日: 2021/09/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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