放送研究と調査
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69 巻, 9 号
放送研究と調査
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 【第1回】パラリンピアン“壁を壊す力”
    中村 美子, 渡辺 誓司
    2019 年 69 巻 9 号 p. 2-15
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/20
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    東京2020パラリンピックまで1年を切った。NHK放送文化研究所では、2016年からパラリンピックと放送に関する調査研究を行っているが、その過程で取材した海外のパラリンピック放送の関係者はみな、パラリンピック大会とその放送を通じて、個人そして社会がポジティブに変化することを語っている。そこで、さまざまな立場からの発言を4回シリーズで紹介する。第1回は、イギリス、デンマーク、ドイツを代表する3人のパラリンピアン。 イギリスのトライアスロンの選手であるクレア・キャシュモア氏(31歳)は、自国開催となったロンドン大会をきっかけにイギリスの障害者に対する見方が変化したことや、次の世代を担う子どもたちへの期待を語った。デンマークの卓球の選手であるピーター・ローゼンマイヤー氏(35歳)は、パラリンピック放送が障害者スポーツの認知度を上げることにつながったことを評価する一方で、パラリンピック放送をきっかけに、一般番組への障害者のテレビ出演が増加しているものの、まだ不十分であると受け止めている。陸上競技とアルペンスキーでパラリンピックに出場したドイツのマティアス・ベルク氏(57歳)は、一定の条件や環境を設定すれば誰もが等しく競い合えるパラリンピックの意義を語り、障害者アスリート自身が障害を克服したストーリーを伝えることの大切さや、今後障害者に開かれた社会に進むためにテレビに対する期待を述べた。
  • 桜井 均
    2019 年 69 巻 9 号 p. 16-34
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/20
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    ユネスコの定義によれば、「調査報道が意味しているのは、権力の地位についている者によって意図的に隠 された問題や、混乱した大量の事実と状況を背景にして偶然に埋もれた問題を世の中に明らかにすること、そしてすべての関連した事実を分析し、公衆に公開することである」1)。本論では、こうした調査報道の一ジャンルとして、映像と音声を用いるテレビの「調査ドキュメンタリー」を考察の対象とする。むろん、社会的な事象の背後に隠された真実を公共圏に持ち出す役割という点では、活字媒体と変わらないが、メディアの特性から、対象範囲やアプローチの仕方に基本的な違いがある。1970年代以降、カメラ(映像)とマイク(音声)の有機的な結合により、現実世界を自在に解剖しつつ記録することが可能になり、「調査ドキュメンタリー」がテレビの重要な機能として、時代を画する表現を獲得するようになった。それと同時に、つくり手はたえず再帰的(reflexive)な視線を保ちながら、“支配なき”と形容しうる公共性の実現をめざしてきたとも言える2)。しかし、こうして確立したテレビの「調査ドキュメンタリー」が、ソフトとハードの両面から、もはや「流行らない」と言われ、実作はたしかに減少している。それを「はやり・すたり」の問題として処理してしまっていいものか。そこで、「調査ドキュメンタリー」がどのように確立し、なにをなしえたかをあらためて「調査する」ことを試みる。
  • 人の「生きた証」をすくいとる
    水島 宏明
    2019 年 69 巻 9 号 p. 36-59
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/20
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    山口放送のディレクター、佐々木聰(ささきあきら・48歳)には「泣きの佐々木」の異名がある。佐々木の番組では、子育てに奮闘するシングルマザーであれ、山奥に暮らす孤老であれ、極限状況におかれながらも登場人物はよく泣き、よく笑い、その心の「強さ」や生き様の「うつくしさ」が映し出されるからだ。この人間の真に迫る制作姿勢によって、佐々木は民放の制作者にとって最高の栄誉とされる日本放送文化大賞グランプリを3度受賞した。かつて同じ系列のキー局・日本テレビに在籍した筆者の水島宏明は、そこに山口放送の先輩ディレクター、磯野恭子(1934-2017)の影響を感じる。二度と撮れない、たった一回のインタビューに賭けて相手に迫り、真実を引き出す緊張感に富んだ取材姿勢。その一方で取材地に近いローカル局の強みを生かして時間をかけた取材をし、番組に「深み」をもたらす。若き日に受けた35歳も年上の先輩の薫陶が、じわったと生きた制作者としての半生だったのではないか、という。山口刑務所の所内ラジオの音楽番組に寄せられるリクエストカード、そこに綴られる受刑者たちの心模様を描いたデビュー作『塀の中のリクエストカード』(2001年)、山奥で自給自足で暮らす老夫婦を長期取材した映画『ふたりの桃源郷』(2016年)、そして「加害」と「被害」が入り乱れた戦争体験の記憶をえぐり出した近作『記憶の澱』(2017年)まで。磯野恭子の「最後の弟子」といわれる佐々木聰の制作の道のりを、水島がたどる。
  • 2019年6月全国個人視聴率調査から
    斉藤 孝信, 吉藤 昌代, 中山 準之助
    2019 年 69 巻 9 号 p. 60-67
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/22
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  • 山口 勝
    2019 年 69 巻 9 号 p. 68-73
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/22
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    AIは、8K映像から、「人」を検出できるのだろうか?ハイビジョンの16倍の解像度を持つ8K映像。2018年12月の本放送開始で、高画質な番組を視聴者に届けられるようになった。一方、超高精細という特性から8Kを「命を守る映像センサー」と捉えて、地震断層などの災害要因の検出や要救助者の発見など、防災・減災に活用する動きが始まっている 。特にヘリコプターによる空撮は、現場を広範囲にとらえることが可能で、8Kの膨大な映像情報の中から、災害現場や人物などを瞬時に検出できれば、防災報道の高度化につながる可能性がある。そのためには、人工知能・AIによる画像認識の技術の導入が有効と考え、NHK放送技術研究所の協力を得て検証を行った。本稿では、その結果を報告するとともに、医療やセキュリティ、インフラ保守などの分野で進む「8K×AI×5G」(8KとAI、5G技術の組み合わせ)の動向を概観しながら、8K防災・減災報道にむけた考察を行った。
  • 「外地」放送史料から(3)
    松山 秀明
    2019 年 69 巻 9 号 p. 74-75
    発行日: 2019年
    公開日: 2019/10/22
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