放送研究と調査
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72 巻, 6 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • ~「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」より~
    斉藤 孝信
    2022 年 72 巻 6 号 p. 2-33
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/07/27
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHK放送文化研究所が2016年から7回にわたって実施した「東京オリンピック・パラリンピックに関する世論調査」の結果を報告する。 大会後の調査では、大会を『楽しめた』と答えた人が7割を超えたが、コロナ禍での開催については5割以上の人が、開催しながら自粛を求められたことに不満を持った。 大会前には多くの人が経済効果を期待し、日本の伝統文化などをアピールしようと意気込んでいたが、コロナ禍によって叶えられなかった。また、東日本大震災からの“復興五輪”であると思えた人は、大会前は半数以下で、大会後、復興に役立ったと実感できた人は3割未満であった。一方で大多数の人がテレビを通じて競技観戦を楽しみ、若い年代を中心に多くの人がスポーツへの関心を高めた点で、純粋なスポーツ大会としての開催意義は大きかった。 大会をきっかけに「多様性に富んだ社会を作るための取り組みを進めるべきだ」という意識や障害者への理解が高まった。一方で、多様性に対する自身の理解の進み具合や日本の現状については不十分だと感じている人が多い。また、身近で障害者に接している人ほど環境面や意識面でのバリアフリー化が進んでいないと感じている。こうした課題を克服するためには大会後も粘り強い啓発が必要で、メディアが今後も障害者スポーツをもっと取り上げることを6割以上の人が望んでいる。
  • 大髙 崇
    2022 年 72 巻 6 号 p. 34-51
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/07/27
    研究報告書・技術報告書 フリー
    教育のICT活用が本格化する中、放送局に保存される膨大な数の放送アーカイブを、授業等で利用するニーズが高まりつつある。本稿の主眼は、放送局等から教育機関に放送アーカイブを提供するうえで課題となる権利処理の問題に注目し、著作権法の新たな権利制限規定の私案を提示ながら、その妥当性を検討することにある。私案は、放送アーカイブのうち権利処理が難しく、一般の市場で入手困難なものを、「絶版」として再定義し、それらを授業等の目的と限定的な範囲での配信であれば権利制限とするものだ。国際的な手法「スリー・ステップ・テスト」にもあてはめ検討し、私案の妥当性を確認した。併せて検討した拡大集中許諾制度の効果と課題も示す。また、仮に私案が実現しても、学校のネットワーク環境や認証システムなど、ほかにも課題はある。しかし、それらの課題を克服すれば、放送アーカイブが多くの社会的ニーズに貢献する可能性を指摘する。
  • ~2021年度「NHK 小学校教師のメディア利用と意識に関する調査」から~
    宇治橋 祐之, 渡辺 誓司
    2022 年 72 巻 6 号 p. 52-86
    発行日: 2022/06/01
    公開日: 2022/07/27
    研究報告書・技術報告書 フリー
    NHK 放送文化研究所では,全国の学校現場におけるメディア環境の現状を把握するとともに,放送,インターネット,イベントなどNHKの教育サービス利用の全体像を調べるために,1950年から定期的に学校を単位として,あるいは教師個人を対象として全国調査を行ってきた。全国の小・中学校で「児童生徒向けの1人1台端末」と「高速大容量の通信ネットワーク」を一体的に整備するGIGAスクール構想の本格的な運用が始まった2021年度は、小学校の教師個人を対象とした。 「GIGAスクール構想」前の2018年度の結果と比べると、タブレット端末を利用できる環境にある教師が大幅に増加し(63%→96%)、インターネットを利用できる環境にある教師も増えていた(87%→98%)。 また、1人1台ずつ児童に配付されたパソコンやタブレット端末(GIGAスクール端末)を授業で児童に利用させている教師は、全体で9割を超えた。さらに「GIGAスクール端末」を児童に利用させている教師でみると、そのうち7割以上が週3~4回以上の高い頻度で利用させるとともに、ほぼ半数が家庭に持ち帰らせて学習利用をさせていた。 授業でのメディア教材の利用についてみると、NHKの学校放送番組あるいはNHKデジタル教材のいずれかを利用していた「NHK for School教師利用率」が、2018年度の67%から88%に大きく増加した。また、「学習者用のデジタル教科書」は、「GIGAスクール端末」とともに授業で利用させている教師が一部にみられ、少数ではあるが、家庭の学習でも児童に利用させている教師が存在した。 教師が児童の家庭学習にどのような支援を行っているのかを尋ねたところ、「市販ドリルやプリント教材の利用」と「教科書の利用」が6~7割で多かったが、児童が家庭でインターネットを利用して行う「NHK for Schoolのウェブサイトや公式アプリの利用」や、「同時双方向型のオンラインの指導」も行われていた。また、ビデオ会議や資料共有、コミュニケーション機能などがある、授業や家庭学習のための「学習支援ツール」は、86%の教師が利用していた。 GIGAスクール構想の実現で、教室のメディア環境は大きく変わった。今後、家庭のメディア環境の差などの課題が解決されると「オンライン学習」も進み家庭学習も変化すると考えられる。「学習者用のデジタル教科書」や「学習支援ツール」の利用も含め、学校と家庭の両方を見渡した学習支援のトータルデザインを考える必要があるだろう。
  • ~新聞投書欄をめぐる議論を振り返る・「コメント・コメンテーター研究」の一助として~
    谷 正名, 東山 浩太
    2022 年 72 巻 6 号 p. 88-89
    発行日: 2022年
    公開日: 2022/07/27
    研究報告書・技術報告書 フリー
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