放送研究と調査
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74 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
  • 旧東ドイツ・RBIの調査から
    塩﨑 隆敏
    2024 年 74 巻 2 号 p. 2-32
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    ウクライナへの軍事侵攻、イスラエルとパレスチナの衝突で改めて偽情報やプロパガンダに注目が集まる。現状を分析する上で、歴史を振り返ることは欠かせない。冷戦時代、東西両陣営はどのように有利な情報を流していたのか?ベルリンの壁によって分断されていた旧東ドイツ(ドイツ民主共和国)でも、西側を含めた世界に向けてプロパガンダが行われていた。 冷戦終結から30年以上を経て、当時を知る関係者は少なくなりつつある。 今回の調査では、東ドイツの国際放送を担っていた「RBI=ラジオ・ベルリン・インターナショナル」に在籍していた実務の担当者6人から当時の内情を聞き取った。 聞き取りからは、▼RBIの基本方針が、ドイツ社会主義統一党の中央委員会の政治局が決定していたこと、▼4週間に1度のペースで、党の国際問題担当の責任者と打合せをしていたこと、▼中央の編集部が国の外交政策に関する特定のテーマについて文書を作成し、各外国語の翻訳の基礎にしていたことなどが判明した。 各担当者は、プロパガンダへの考え方、自身の関与についての認識がそれぞれ異なっていた。放送を出していたのは、東ドイツが海外各国からの外交的承認を得るのが目的だったと、全員が証言した。プロパガンダを行っていたと認める担当者がいる一方で、「不都合な面を伝えなかっただけで、うそはついていないし、今のような偽情報を流していない」などと証言する担当者もいて、当時の内情の一端が明らかになった。
  • 2023年「日本語のゆれに関する調査」から(2)
    塩田 雄大
    2024 年 74 巻 2 号 p. 34-59
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    調査の結果から、回答者の属性別の傾向として、それぞれ相対的に次のような傾向が明らかになった。 ▶「(お)問い合わせいただく」という言い方における接頭辞「お」の着脱に関し、全体的には、接頭辞「お」ありの形・ない形の両方とも認めるという回答が多いものの、圧倒的というほどでもない。また若年になるほど「お」ありの形への支持が多い。一方、「(ご)閲覧いただく」と「(ご)アクセスいただく」については、接頭辞「ご」なしの形への支持が全体的に多く、また若年になるほどその傾向が強い。 ▶「「させていただく」という言い回しを用いた表現のほうが感じがよい」とする回答は、おおむね、年代別には70代をピークとしてもっとも多く、年代が若くなるほど少なくなっている。また、この回答は大卒層ではあまり多くない。地域別には、関西のほうが関東よりも多い。以上の傾向は、過去の調査結果とほぼ共通している。 ▶「ここをまっすぐ[行ってもらったら]、ありますよ」という言い方への支持は、年代が若くなるほど多くなっている。大卒層の支持が多い。そして関西での支持が多い。 ▶「(実際には食事するつもりがないときに)そのうち食事でもしましょう」などの配慮表現や、参加したくない会への参加の誘いに対する返事として「(本当はスケジュールが空いているのだが)行きたいのだけれども、ほかの予定が入っていてどうしても行けない、とその場で伝える」などの配慮的言語行動に対しては、おおむね、30代をはじめとする社会的活躍層での支持が全般的に多く、一方、80歳以上での支持がもっとも少ない。また、大卒層での支持が多い。 ▶あいさつ表現に関して、「女性」「30代」「大卒層」「関東」では「必ず言う」という回答が特に多い。 ▶近所の人からの「どちらへいらっしゃるんですか」のような声かけに関して、「男性」「70代・80歳以上」「東北」では、これは「あたりまえのあいさつ」だという回答が特に多い。
  • 自生音の発現
    宮田 章
    2024 年 74 巻 2 号 p. 60-77
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
    日本のテレビドキュメンタリーの基礎を築いたとされる『日本の素顔』(NHK、1957~64)の制作技法の変遷を描く第6回目の後編である。先月号に掲載した前編に続いて『素顔』最後の2年間となった62~63年度の展開を分析し考察する。『素顔』末期に特筆すべき技法が生まれている。それは、情動的強度に秀でた映像と自生音を用いた、「その時その場」の「リアル」な描写である。「問題」について論じるテレビドキュメンタリーから、「問題」を超えて取材対象を活写するテレビドキュメンタリーへ、この技法変化を支える音声形式として、ナレーションやインタビューではなく、自生音が自己を主張し始めている。『素顔』末期のテクストに自生音を生み出す技法を見いだすとともに、この技法が『素顔』終了後の新たなドキュメンタリー番組『ある人生』に継承されたことを示す。
  • 宮下 牧恵
    2024 年 74 巻 2 号 p. 78-81
    発行日: 2024/02/01
    公開日: 2024/02/20
    研究報告書・技術報告書 フリー
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