日本小児血液学会雑誌
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15 巻 , 6 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 石前 峰斉, 江口 真理子
    2001 年 15 巻 6 号 p. 427-441
    発行日: 2001/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    造血器腫瘍の病型特異的染色体転座から多くの融合遺伝子が単離されてきた.それらの融合遺伝子は, 転写因子やチロシンキナーゼなど血液細胞の分化・増殖に重要な遺伝子をその構成要素として含んでいることが多い.これらの遺伝子がその機能ドメインの一部を失い, あるいは他遺伝子の機能ドメインと結合することによって, 新たな融合蛋白が産生される.蛋白本来の機能を喪失あるいは異常機能を獲得した融合蛋白は血液細胞の分化阻害, 増殖能亢進またはアポトーシス抑制などの機能を血液細胞に付与し, 最終的に腫瘍化へと導く.融合遺伝子の機能解析は白血病化機構の解明のみならず, 新たな治療法の開発につながる重要な情報を多く提供してきた.また融合遺伝子の形成機構を知ることは白血病の発症予防の観点からも重要である.本総説では代表的な融合遺伝子を例に, 遺伝子異常による腫瘍化のメカニズムとその現時点での臨床応用を解説する.
  • 大賀 正一
    2001 年 15 巻 6 号 p. 442-450
    発行日: 2001/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
  • 工藤 寿子, 柳井 雅明, 前田 尚子, 加藤 剛二, 堀部 敬三, 松山 孝治, 小島 勢二
    2001 年 15 巻 6 号 p. 451-456
    発行日: 2001/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    1987~1997年に発症したダウン症候群 (DS) に合併した小児急性リンパ性白血病 (ALL) 6例についてその治療経験を報告する.初診時年齢は中央値3歳8カ月, 初発時白血球数の中央値は16,800/μl, 表面マーカーの解析ではpre-BALL 5例, biphenotypic ALL 1例であった.治療は3例が東海小児がんプロトコール, 1例はJACLS-ALL97プロトコールに従い, 他の2例はCHOPを主体とする多剤併用療法を施行した.全例に完全寛解が得られたが, その後2例は再発した.1例は第1再発期に感染症死した.他の1例はL-PAM+TBIの前処置にて自家骨髄移植を施行し, 現在第2寛解を継続中である.3例は第1寛解期で生存中で, 他の1例は維持療法中にメソトレキセート (MTX) による肝機能障害で死亡した.MTX大量療法 (3g/m2) 施行時の血中濃度を解析したところ, 非DS症例に比較してDS群においてはMTXの血中濃度は高い傾向にあった.MTXを1~2g/m2に減量したところ, 非DSとほぼ同等の血中濃度となった.
  • 合井 久美子, 杉田 完爾, 犬飼 岳史, 手塚 徹, 宇野 佳奈子, 佐藤 広樹, 根本 篤, 高橋 和也, 中澤 眞平
    2001 年 15 巻 6 号 p. 457-463
    発行日: 2001/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    CD45/SSC (CD45low/SSClow) gating法を用いて, 病初期に骨髄中の芽球比率が低かった小児悪性腫瘍5症例において腫瘍細胞の表面抗原を解析した.4症例 (ALL 2例, MDS 1例, NHL 1例) は初診時と最終診断時における解析結果が一致した.しかし, 本法でB細胞型悪性リンパ腫の骨髄浸潤とした1症例の最終診断はCD45陰性の神経芽腫であった.本症例で診断が異なった原因を明らかにするため, 完全寛解中の小児悪性腫瘍患者10症例の骨髄検体で, CD45low/SSClow分画にgatingされる細胞集団の表面抗原を解析した.約10%の骨髄細胞がgatingされ, CD10, CD19, HLA-DRが強陽性, CD20, CD34, CD33が弱陽性のB-cell precursorの表現型を示した.本法を用いた表面抗原解析は, 造血器悪性腫瘍の診断に有益な検査法であるが, その有用性と危険性をよく理解する必要がある.
  • 坂田 尚己, 永利 義久, 岡村 純, 衣川 直子, 沖本 由理, 小池 和俊, 河 敬世
    2001 年 15 巻 6 号 p. 464-473
    発行日: 2001/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    小児領域における同種幹細胞移植後の長期生存者のquality of life (QOL) は必ずしも明らかでないため, 今回, その晩期障害に関するアンケート調査を施行した.二次癌 (6例) は, 移植後早期にはT-リンパ腫や骨髄異形成症候群が, 晩期には脳腫瘍や舌癌などの固形癌が発症していた.移植前処置との関連は明らかでなかったが, 慢性移植片対宿主病 (GVHD) に起因する舌癌がFanconi貧血の1例で報告された.EBウイルス関連リンパ球増殖疾患 (13例) の発症はHLA不一致, ATG使用およびGVHD重症度と関連していた.Perfbrmance status低下 (46例) は, 慢性GVHDおよびその治療合併症が重要な原因であった.閉塞性細気管支炎, 関節拘縮, 免疫抑制剤による脳症などが報告された.評価に用いたKarnofsky scoreは主観的で, 報告された症状と一致しない印象があり, 客観的な要素を含む新しい晩期障害評価スコアの確立が必要であると考えられた.
  • 近藤 勝, 堀部 敬三, 小島 勢二
    2001 年 15 巻 6 号 p. 474-478
    発行日: 2001/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    骨髄壊死を初発症状として発症した急性リンパ性白血病 (ALL) の小児例を報告する.症例は4歳女児で, 発熱と下肢痛を主訴に当科に入院した.入院時には汎血球減少およびLDHの上昇を認めたが, 骨髄穿刺では壊死細胞しか得られず診断困難であった.約1カ月後の骨髄穿刺では壊死細胞はほとんど消失し, 骨髄はリンパ芽球で占められており, FAB (L1), B-precursorALLと診断した.化学療法により順調に寛解が得られ, ALL診断後23カ月間, 寛解を維持している.骨髄壊死は生存中に診断されることはまれであり, 一般に予後不良の徴候と考えられている.しかし, 骨髄壊死を初発症状として発症することが小児ALLでは時にみられ, 予後不良とは相関しないものと考えられた.
  • 塚田 昌大, 小川 千登世, 金澤 崇, 外松 学, 森川 昭廣
    2001 年 15 巻 6 号 p. 479-482
    発行日: 2001/12/31
    公開日: 2011/03/09
    ジャーナル フリー
    インヒビター発生時に使用していた製剤と由来の異なる製剤に変更後に免疫寛容導入を認めた2例のインヒビター保有重症血友病Aを経験した.症例1は, 重症血友病Aと診断確定し, 組換え型第VIII因子製剤 (r-FVIII) の定期予防投与を開始後, インヒビター出現を認めた.インヒビターに対して血漿由来第VIII因子製剤 (pd-FVIII) を用いた免疫寛容療法を施行し, インヒビターの減少を認めた.一方, 症例2では診断確定後pd-FVIIIによる予防投与施行中にインヒビター出現を認め, pd-FVIII投与を中止した.インヒビター力価低下後に, r-FVIIIに変更し, 投与再開後インヒビター消失を認めた.2例ともに, インヒビター発生時に使用していた製剤と異なる製剤を使用しても免疫寛容導入は可能であった.
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