例のIgG2サブクラス欠乏症の患者の血清学的観察から, この疾患ではしばしばEpstein-Barrウイルス (EBV) に対する異常な抗体反応を示すことがわかった.この機序を解明するために, これらの患者における免疫機能について検討した.7例中4例がEBV感染症において異常な抗体反応を示したが, そのうちの3例は異父兄弟とその母親であった.リンパ球サブセット, 非特異的キラー活性およびリンパ球増殖反応は, それぞれフローサイトメトリー,
51Cr遊離,
3Hサイミジン取り込みアッセイで測定した.さらに, 自己EBV感染細胞に対する細胞傷害性T細胞反応の解析を,
51Cr遊離法に細胞除去と冷ターゲット抑制アッセイを組み合わせて行った.EBVの異常な感染パターンを示した4例では, CD4/CD8比が低下 (<1.0) していたが, 非特異的キラー活性とリンパ球増殖反応は正常であった.自己EBV感染細胞で刺激されたリンパ球では, その自己EBV感染細胞を傷害する機能が低下していた.4例の%細胞傷害値 (mean±SD) は対照の20.8%±45%に比較し5.8%±1.5%と減少していた.EBVの異常な感染パターンを示さなかった3例ではそのような細胞傷害性T細胞の欠陥はなかった.細胞傷害性T細胞の形質的および機能的解析では, この減少は, 少なくとも一部は, EBV特異的細胞傷害性CD8
+T細胞の産生不全により引き起こされていることが示された.本研究によって, IgG2サブクラス欠乏症の一部では, EBVに対する細胞傷害性T細胞の反応不全があり, そのために非典型的なEBV感染を起こすことがわかった.この疾患の一部は, IgG2サブクラス欠乏およびEBVに対する細胞性免疫不全で特徴づけられる複合免疫不全症であると思われる.
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