症例は妊娠35週3日, 経膣吸引分娩で出生した日齢0の男児.出生体重2,750g, 出生時から全身の著明な浮腫を認め, 呼吸困難とチアノーゼをきたし, 当院NICUに搬送され, 入院した.入院時, 貧血および血小板減少, 肝機能異常を呈していた.抗生剤とγ-グロブリン製剤, アシクロビルを投与し, 心不全と播種性血管内凝固 (DIC) に対する治療も開始した.しかし, 症状の改善なく, 日齢11の血清フェリチン, sIL-2R, IL-6および尿中β
2-MGが高値を示し, 骨髄塗抹標本で血球貧食像を確認したことから, 血球貧食症候群 (hemophagocytic syndrome : HPS) の合併と診断した.プレドニゾロンの投与とγ-グロブリン大量療法を開始したが, 肝不全および心不全, 呼吸障害が進行し, 日齢22に死亡した.本症例より, 胎児水腫の発症にはHPSの高サイトカイン血症に伴うさまざまな病態が複雑に関与していることが疑われた.
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