びまん性肺胞内出血 (以下DPH) の3例を提示し, DPHにおける気管支肺胞洗浄法 (以下BAL) の診断的意義について検討した. 3症例ともBAL, TBLBにより診断後, ステロイドのパルス療法を行ない, 2例は著明に肺病変の改善を認めたが, 1例は血漿交換を併用するも効果なく死亡した. 3症例のBALF中赤血球濃度はそれぞれ, 208, 134, 30×10
3/mm
3, ヘモグロビン濃度はそれぞれ, 0.62, 0.40, 0.20g/dlであり, 対照症例の平均赤血球濃度, 1.7±1.7×10
3/mm
3, 平均ヘモグロビン濃度, 0.026±0.019g/dlに比べ著しく高値であり, これはBALFの肉眼的観察でもはっきりと鑑別できるものであった. また, DPH症例のBALF中より, 担鉄マクロファージを高率に証明した. 重症の呼吸不全患者においても, BALはTBLBよりも比較的安全に施行する事ができ, DPHが疑われる患者に第一に考慮されるべき検査法と思われた.
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