原発性肺癌における血清NSEの腫瘍マーカーとしての意義を, 健常者104名, 非腫瘍性呼吸器疾患146例, 原発性肺癌98例および転移性肺腫瘍患者21例について検討した.
Cut-off 値を10.0ng/mlに設定すると, 健常者男女各52名の平均値は5.8ng/ml (陽性率1.0%) で, 性差および喫煙の影響は認められなかった. 非腫瘍性呼吸器疾患の値は, 5.8ng/ml (8.3%), 原発性肺癌では17.5ng/ml (25.5%) そして転移性肺腫瘍では13.6ng/ml (33.3%) であった.
一方, 組織型別では, 小細胞癌16例におけるNSEの値は56.4ng/ml (75.0%) で, 他の何れの組織型よりも高値を示した.
原発性肺小細胞癌の各病期での陽性率は, Limited dis. では0%であったのに対し, Extensive dis. では85.7%の高値を示し, Stage の進行とともに陽性率, 測定値が高値を示す傾向にあり, またその治療効果をもよく反映していた. 他のマーカーとの Combination assay においては, CEAまたはTPAとの組み合わせが良好な陽性率を示した.
以上のように, NSEは, 原発性肺癌, 特に小細胞癌の鑑別診断, 臨床経過および治療効果判定において非常に有用と思われた.
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