日本胸部疾患学会雑誌
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25 巻, 6 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 鍋島 健治
    1987 年 25 巻 6 号 p. 611-612
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 清水 佳代子, 倉富 雄四郎, 石原 照夫, 松岡 緑郎, 北村 諭
    1987 年 25 巻 6 号 p. 613-619
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    麻酔犬を用い, prostaglandin (PG) F, serotonin, histamine, acetylcholine などの血管作動性物質による気管内圧, 全身血圧の変動におよぼす解剖学的迷走神経遮断と薬理学的遮断との効果を比較検討した. 種々の血管作動性物質による気管内圧の上昇率および全身血圧の変化率はSch1000投与, 迷走神経切断により減少または減少傾向を示した. 各種血管作動性物質の作用は気道系と血管系により異なり, またそれらの血管および気道平滑筋に対する作用には, 直接作用と迷走神経または他の chemical mediator の産生・放出を介する間接作用とがあり, それらの比も各血管作動性物質により相違する可能性が示唆された.
  • 津田 富康, 杉崎 勝教, 安部 康治, 吉松 哲之, 松本 哲郎
    1987 年 25 巻 6 号 p. 620-624
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    10名のサ症患者より摘出した23個の頚部リンパ節を組織学的,組織化学的 (非特異的エステラーゼ, 組織 angiotensin-converting enzyme: T-ACE), および免疫組織化学的 (抗人, 第8凝固因子単抗体) に検討した. その結果サ症りンパ節は類上皮細胞肉芽腫 (サ症結節) を認めない小さいものでも強い sinus histiocytosis (SH) を認めた. この部はマクロファージと同じように非特異的エステラーゼ (Acid α-N) で強染され, かつ,T-ACE活性を強く示した. 次に同部を抗人第8凝固因子抗原に対する単抗体を使用し avidin biotin 法で調べると, この抗体はSHの histiocyte と血管内皮細胞に同じ程度に親和性を示し第8凝固因子の存在を窺わせた. しかしサ症結節には認められなかった. 以上より考え, サ症リンパ節に認められるSHはサ症に特異的な初期病変であり, 血清ACE上昇の源の一つと考えられ, かつサ症に認められる microangiopathy の一表現とも考えられた.
  • 鈴木 清, レシャード カレッド, 高橋 豊, 森田 浩, 平田 敏樹, 糸井 和美, 中野 豊
    1987 年 25 巻 6 号 p. 625-631
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌における血清NSEの腫瘍マーカーとしての意義を, 健常者104名, 非腫瘍性呼吸器疾患146例, 原発性肺癌98例および転移性肺腫瘍患者21例について検討した.
    Cut-off 値を10.0ng/mlに設定すると, 健常者男女各52名の平均値は5.8ng/ml (陽性率1.0%) で, 性差および喫煙の影響は認められなかった. 非腫瘍性呼吸器疾患の値は, 5.8ng/ml (8.3%), 原発性肺癌では17.5ng/ml (25.5%) そして転移性肺腫瘍では13.6ng/ml (33.3%) であった.
    一方, 組織型別では, 小細胞癌16例におけるNSEの値は56.4ng/ml (75.0%) で, 他の何れの組織型よりも高値を示した.
    原発性肺小細胞癌の各病期での陽性率は, Limited dis. では0%であったのに対し, Extensive dis. では85.7%の高値を示し, Stage の進行とともに陽性率, 測定値が高値を示す傾向にあり, またその治療効果をもよく反映していた. 他のマーカーとの Combination assay においては, CEAまたはTPAとの組み合わせが良好な陽性率を示した.
    以上のように, NSEは, 原発性肺癌, 特に小細胞癌の鑑別診断, 臨床経過および治療効果判定において非常に有用と思われた.
  • 工藤 翔二, 植竹 健司, 萩原 弘一, 平山 雅清, 許 栄宏, 木村 仁, 杉山 幸比古
    1987 年 25 巻 6 号 p. 632-642
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    たまたま経験した1症例の経験にもとついて, DPBにたいするエリスロマイシン (erythromycin base, erythromicin ethylsuccinate, 以下EM) の少量 (600mg), 長期 (6ヵ月以上) 投与を試みた. 18例のDPB (H. influenzae 16例, P. aeruginosa 2例) について, 平均19.8ヵ月の投与で, 全例に症状, 検査所見の改善を認めた. 労作時息切れ, 動脈血ガスの改善と寒冷凝集素価, IgM値の低下が, 3ヵ月以降比較的早期にみられ, 体重, 呼吸機能, 胸部X線所見の改善がそれに続いた. これらの改善は投与期間中持続した. 菌交代は1例をのぞいて認めなかった. 副作用として, GOT, GPTの軽度上昇がみられた (5例, 28%) が一過性であった. 投与終了9例について, その後平均11.6ヵ月間観察し, 4例に再然傾向を認めたが, うち2例は再投与にて改善, 全体として最終観察時に有意の悪化はみられなかった.
    本療法は, DPBの治療上きわめて有用であり, DPBを下気道の持続感染による特異な組織反応と考える立場から, EMの作用機序について考察した.
  • 喫煙負荷による家兎の血中補体C3a, C5a値の変動について
    木平 百合子, 倉富 雄四郎, 松岡 緑郎, 北村 諭
    1987 年 25 巻 6 号 p. 643-648
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    RIA補体測定キットを用い, 喫煙負荷および低酸素混合ガス負荷時の家兎血中C3a, C5aの測定を行なった. 喫煙負荷および低酸素混合ガス負荷によりC3a, C5a値は経時的に上昇し負荷60分後に最高値を示した. しかし低酸素混合ガス負荷の場合は, 喫煙負荷より上昇程度は軽度であった. 動脈血ガス分析の結果, 喫煙負荷においては低酸素状態の影響はほとんど認められず, この際の血中補体C3a, C5a値の変動は喫煙負荷により惹起されたものと考えられる. 以上の結果より, 喫煙の急性効果として血中補体C3a, C5a値が有意に変動する可能性が示唆された.
  • 鬼塚 徹, 津田 富康
    1987 年 25 巻 6 号 p. 649-655
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    我々は hippuryl-L-histidyl-L-leucine (HHL) を基質としたACE substrate film (S-film) 法を用い, サ症及び結核の類上皮細胞に組織ACE活性が認められることを報告してきた. 今回, HHL, angiotensin I (AT-I), hippuryl-L-arginine (HA) を基質としたS-filmを用い, これらの組織ACE活性の比較検討をサ症リンパ節にて行った. 至適pHは, HHL, にてはpH8.0から8.3に, AT-IではpH7.5に存在した. これらの至適pHのもとでの組織ACE活性は, HHL, AT-Iともに同じ強い活性を示した. captopryl 及びEDTAを用いた抑制試験では captopryl 1×10-1mol, EDTA 1×10-1molにて両者とも完全に抑制された. HAを基質としたS-filmでは活性は認められなかった. 以上の結果より, HHLは血清ACEの生化学的測定法におけると同様に, S-film上においてもAT-Iに代ってACE活性測定に有用であることがわかった. 更にHHLを基質としたACE-S-film法が経済性及び操作の簡便性からも有効な組織ACE判定法であると考えられた.
  • 源馬 均, 佐藤 篤彦, 早川 啓史, 本田 和徳, 阪口 周吉, 本多 淳郎, 平沢 亥佐吉
    1987 年 25 巻 6 号 p. 656-661
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    腸骨静脈圧迫症候群が要因と考えられる女性の肺塞栓症2例を報告する. 症例1は43歳の健常人に何ら誘因なく突然呼吸困難と胸痛で発症. 肺血流シンチで本症と診断, ヘパリンとウロキナーゼの投与で改善を得た. 静脈血栓症を示唆する所見はなかったが血管造影では右総腸骨動脈の圧迫による左総腸骨静脈起始部の狭細化と静脈末梢の血栓性変化・側副血行路の発達が認められ, 腸骨静脈圧迫症候群と診断された. 左総腸骨静脈離断術所見でも上記変化が確認された. 症例2は20歳で14ヵ月前に左下肢の疼痛・発赤・腫脹があり, 右下肢への同症状の出現とともに肺塞栓を発症したが近医で胸部X線上肺野多発影を肺炎として加療された. 5ヵ月後に本症を再発して転院, 肺動脈造影で本症と確認された. 本例も静脈造影で腸骨静脈圧迫症候群と診断された. 以上より特に発症要因の認められない肺塞栓症においても本症候群を念頭に置き腸骨大腿静脈系の造影が必要と考えられた.
  • 岡田 光子, 松岡 緑郎, 高橋 英気, 石原 照夫, 吉良 枝郎, 井戸 健一, 木村 健, 二ノ村 信正
    1987 年 25 巻 6 号 p. 662-667
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    51歳, 女性のサルコイドーシス症例で, Heerfordt 症候群で発症し, 心病変, 眼病変のためプレドニゾロン投与をくり返した. その後, 肝脾腫が出現し, 肝生検にて類上皮細胞肉芽腫が検出され, サルコイドーシスによる肝脾病変と考えられた. 1年後に, 腹水, 高熱, 多量の喀痰が出現し, 肝硬変と肺アスペルギローマを合併した. アンホテリシンBの経静脈投与とアルブミン, 利尿剤の投与にて症状は改善した. サルコイドーシスによる肝脾病変から門脈圧亢進症を呈するに至った例は, 稀であり我が国では数例の報告をみるのみである. また, アスペルギローマはIII期の嚢胞形成例に多いとされ, 本症例も右上葉の嚢胞内に合併した.
  • 山田 祥之, 村手 孝直, 下方 薫
    1987 年 25 巻 6 号 p. 668-674
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    鼻症状が初発で眼, 皮膚病変も出現, さらに約2ヵ月半後より発熱と口渇, 多尿などの尿崩症の徴候を急速に呈してきた臨床的に Wegener 肉芽腫症が示唆された1例を報告した. 症例は43歳女性, 初診時, 右蚕食性角膜潰瘍, 右眼瞼下垂, 鞍鼻, 皮膚結節潰瘍病変などを認め, 胸部X線で空洞を有する結節状陰影を認めた. 鼻, 肺生検組織は壊死性肉芽組織しか得られなかったが臨床症状もあわせて Wegener 肉芽腫症と診断した. 頭部CTスキャンにて旁トルコ鞍部に腫瘤陰影を認め, 視床下部から下垂体への肉芽腫の浸潤による尿崩症発現の可能性が示唆された. 入院後 predonisolone と cyclophosphamide の併用療法で胸部X線上の異常影や全身所見は速やかに改善, 尿崩症も当初DDAVP点鼻を併用したが中止後も再燃なく良好に経過している. 本例の如く Wegener 肉芽腫症で尿崩症を合併した症例は, これまでにも報告は少なく珍しいと思われ若干の文献的考察を加え検討した.
  • 小林 信之, 滝沢 始, 石井 彰, 大田 健, 中川 武正, 吉田 健三, 山田 昭夫, 奥平 博一, 伊藤 幸治, 宮本 昭正, 岡 輝 ...
    1987 年 25 巻 6 号 p. 675-680
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    全身性エリテマトーデス (SLE) の経過中に出現した間質性肺炎に対し, 経過を追ってTBLB, BALを施行した. 症例は33歳の女性. 17歳の時SLEが発症し, ステロイド治療によりコントロールされていたところ, 昭和60年10月, 発熱, 胸痛, 咳嗽, 労作時呼吸困難とともに胸部X線で両下肺野に粒状影が出現. TBLBでリンパ球浸潤を伴う胞隔の肥厚, 硝子膜様滲出物がみられ, BALではリンパ球の軽度増加を認めた. Lupus pneumonitis と診断し, ステロイド増量により症状, 胸部X線所見などは改善. 2ヵ月後のTBLBでは胞隔炎は軽微になったものの完治しておらず, BALではリンパ球の増加が持続し, Leu 3a/2aは0.91であった. さらに7ヵ月後のTBLBでは胞隔炎はみられなかったが, BALではリンパ球増加がなお続いており, 炎症がくすぶっていることが示唆された. 蛍光抗体法による組織免疫グロブリンの沈着はみられなかった.
  • 新美 隆男, 今泉 宗久, 神谷 勲, 阿部 稔雄, 名倉 宏
    1987 年 25 巻 6 号 p. 681-685
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    60歳の女性で右B4aiiより末梢に発生した孤立性扁平上皮乳頭腫の1例を経験した. 住民検診の胸部X線写真で, 右中肺野の coin lesion として発見され, TBLBにて乳頭腫が疑われ, 右中葉切除を施行した. 腫瘍は1.2×1.5cm大, 白色乳頭状で, 気管支粘膜から拡張した気管支内腔に増殖し, 病理組織学的に良性扁平上皮乳頭腫と診断された. 拡張した粘膜上皮は扁平上皮化生を伴い, その周辺の肺実質には慢性炎症所見がみられた. また, 乳頭腫上皮におけるSC, CEA, EMAと keratin の局在は, すでに報告した気管支粘膜の化生扁平上皮におけるそれらときわめて類似していた.
  • 住吉 健一, 國島 和夫, 高木 巌, 陶山 元一, 篠田 雅幸, 本告 匡, 須知 泰山
    1987 年 25 巻 6 号 p. 686-690
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    肺原発の悪性リンパ腫は節外性リンパ腫のうちでも希な疾患である. 今回我々は, 経気管支鏡生検にて診断し得た肺悪性リンパ腫の1切除例を経験した. 症例は45歳の女性で, 持続する咳嗽を主訴とし胸部単純X線写真にて右下肺野に異常陰影を指摘された. 気管支鏡検査では, 中間気管支幹を閉塞する腫瘤が存在し, 生検により本症と診断した. 他の諸検査にて近接臓器への浸潤, 遠隔転移が否定されたため, 右肺全摘術を施行した. 摘出標本において, 腫瘍は主として気管支内腔に存在し, 気管支粘膜原発と推測された. 組織学的には, びまん性リンパ腫大細胞型 (LSG分類) で, 本型は予後不良と言われているが, 本症例のように限局性であれば, 外科的治療が第-選択と考えられる. 以上, 肺悪性リンパ腫について若干の文献的考察を加えて検討した.
  • 田村 厚久, 赤川 志のぶ, 山下 陽子, 室田 直樹, 大玉 信一, 橋本 憲一, 青木 延雄, 水渡 哲史, 酒井 忠昭, 池田 高明
    1987 年 25 巻 6 号 p. 691-695
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    43歳女性. 健診にて, レ線上心陰影左縁に接し左肺門部付近より垂れ下がるような腫瘤状影を認め, その下部にはあたかも造影剤が貯留しているかの如く, 鏡面形成を伴う high density の領域が存在していた. 開胸時, 腫瘤は左肺静脈根部前面に茎を有する嚢腫で, 内容液として白色の顆粒状物を少量含む黄白色ゼリー状液体を認めた. 赤外線吸収スペクトルによる分析で, この液体の主成分が炭酸カルシウムである事が判明した. 病理組織学的には, 嚢腫の壁は気管支上皮で覆われ, 軟骨組織及び気管支腺も存在するところから, mediastinal bronchogenic cyst と診断された. いわゆる milk of calcium を呈する bronchogenic cyst の本邦第1例の報告と思われる.
  • 1987 年 25 巻 6 号 p. 696-703
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 1987 年 25 巻 6 号 p. 704-706
    発行日: 1987/06/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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