日本胸部疾患学会雑誌
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30 巻, 11 号
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  • 久山町剖検症例の検討
    宮崎 浩行, 永田 忍彦, 重松 信昭, 石橋 凡雄, 上田 一雄, 藤島 正敏, 居石 克夫
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1911-1916
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    福岡県粕屋郡久山町の住民は自宅死亡, 院内死亡にかかわらず九州大学病理学教室で剖検が行われている. 1977年~88年の12年間における剖検記録から市中肺感染症の実態を院内感染症と比較対比した. 対象はこの期間中の死亡者463名である. 自宅における死亡例は243例で, そのうち50.2%に肺感染症がみられ35.8%が死因に関与していた. 病院における死亡例は220例で, そのうち60.5%に肺感染症がみられ37.7%が死因に関与していた. 全剖検例に対し, 肺感染症がみられた症例の割合を前半の6年間と後半の6年間とで比べてみると, 自宅死亡例では前半と後半でほとんど差がなく院内では後半の方が高率であった. 病原体についてみると, 特に真菌感染症に関して特徴的な所見がみられ, 自宅死亡例ではカンジダによるものに限定されていたが院内死亡例ではカンジダの他, アスペルギルス, クリプトコッカスもみられた.
  • 市瀬 裕一, 鳥居 泰志, 米丸 亮, 内海 健太, 峯村 和成, 春日 郁馬, 外山 圭助, 西 功
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1917-1922
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    右心カテーテル検査下で熱希釈法による心拍出量の測定とアセチレン再呼吸による肺血流量測定を同時に実施し, 二法を比較した. 呼吸器症状, 呼吸機能障害を認めない10例を対象とした. 心拍出量測定後患者は呼気終末位より再呼吸バッグに連結しアセチレン, アルゴンを含む混合ガスを再呼吸した. 吸呼気濃度を質量分析計で測定した. 再呼吸中のO2, CO2交換による容積減少とガス平衡に至るまでの呼気終末ガス濃度の変動を考慮に入れ, 再呼吸バッグと肺を示す各々の領域が直列に連結した肺モデルにより解析した. 熱希釈法による心拍出量とアセチレン再呼吸法による肺血流量の相関係数は0.944であり統計的にも有意であった. また回帰直線は line of identity の近傍に位置した. 本法は明らかな呼吸機能障害を有しない例には実用上適用し得る測定方法と考えられる.
  • 倉科 桂司, 赤柴 恒人, 堀江 孝至
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1923-1930
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) における肺循環障害の発生頻度, および発生機序を検討する目的で, 慢性肺疾患のないOSAS 24症例を対象とし, 一般肺機能検査 (坐位, 臥位) 動脈血ガス分析 (坐位, 臥位), 高炭酸ガス換気応答, 運動負荷検査, 右心カテーテル検査を行った. 肺高血圧は (平均肺動脈圧 (m-PAP) 20mmHg以上) は24例中5例 (20.8%) に認められ, 肺高血圧群 (m-PAP=22.2±2.7mmHg) は, 非肺高血圧群 (13.9±3.1mmHg) に比べ, 著明な肥満傾向 (p<0.001), 臥位でのFRC/TLCの低下 (p<0.05)と, CC/FRCの上昇 (p<0.01) 臥位PaO2の低下 (p<0.02) および運動負荷時のSO2低下 (p<0.05) を認めた. m-PAPは, 肥満率, 運動負荷時のSO2低下と正相関を示し (p<0.01, p<0.02), 日中の臥位PaO2と負の相関 (p<0.01) を認めた. OSASにおける日中の肺高血圧は, 肥満に伴う肺機能及び肺循環動態の様々な変化がもたらしていると考えられた.
  • 坂田 哲宣, 坂田 和子, 山崎 寿人, 吉田 和子, 荘田 恭聖, 溝部 孝則, 伊藤 清隆, 安藤 正幸
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1931-1936
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    夏型過敏性肺炎15家庭18症例に Trichosporon cutaneum の菌血清型I, IIの抗原吸入誘発試験を行い, その方法, 判定基準について検討した. 吸入抗原量として培養濾液抗原15mgは副作用もなく適量と考えられた. 吸入誘発試験では18例中17例が両方あるいはずれかの抗原に陽性であり, 36回吸入中陽性21回, 陰性15回であった. 判定基準にもとづく観察項目での自他覚所見の陽性率は75%, 検査所見の陽性率は51%であった. 高い陽性率は, 咳嗽, ラ音聴取, PaO2低下で, 低い陽性率は, %DLCO低下, VC低下, CRP陽性化であった. また, 感度, 特異性共に高い項目は, 咳嗽, ラ音, PaO2であった. DLCOの低い陽性率は, 吸入試験までの改善が不充分であることが原因と考えられた. 以上のことから, これまで我々が提唱してきた夏型過敏性肺炎の抗原吸入誘発試験における方法ならびに判定基準は有用であると考えられた.
  • 水沢 彰郎
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1937-1945
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    原発性肺癌症例の末梢血単核球を抗CD3モノクローナル抗体で数日間刺激後, 遺伝子組替えインターロイキン2添加によって増殖させる, 感作培養法を開発し, その至適培養条件と誘導・増殖されるエフェクター細胞の免疫学的性質について検討した. 抗CD3抗体は50ng/mlの濃度での添加, 培養開始細胞濃度は1×106/mlが適当と考えられた. 対象症例は未治療の原発性肺癌24症例で, 腺癌が14例, 扁平上皮癌が7例, 小細胞癌が3例であり, 臨床病期はI~IV期であった. 約10日間の培養後, 平均3.7倍の細胞増加率が得られた. 誘導された細胞は, 95%がCD3陽性で, 培養前後の比較では, CD8陽性率, HLA-DR陽性率, IL-2R陽性率が増加した. In Vitro では, 新鮮自己腫瘍細胞に対する有意な傷害活性は認められなかったが, 培養腫瘍細胞株に対しては, 高い傷害活性を示した. 本感作培養法は, 簡便であり, 多くの肺癌症例における細胞移入療法に応用可能であると考えられた.
  • 青木 栄, 黒沢 元博, 石塚 全, 森 昌朋
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1946-1950
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    vasoactive intestinal peptide (VIP) と peptide histidine isoleucine (PHI) の気道収縮反応に対する効果を, in vivo において検討した. VIP, PHIをモルモットに静注すると, 呼吸抵抗が低下したが, イソプレナリンによる低下量と比較すると, 明らかに小さいものであった. VIP, PHIは, ヒスタミンによる気道収縮反応を用量依存的に抑制し, 2μg/kg VIPおよび80μg/kg PHIによる抑制効果は, 2μg/kgイソプレナリンによる抑制効果と同程度であった.
  • 石田 直, 松村 栄久, 三宅 淳史, 網谷 良一
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1951-1956
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    好酸球性肺炎における肺局所の好酸球の形態変化をみるため本症患者のBALF中好酸球の超微形態を観察し, 好酸球活性化の指標としてBALF中ECP濃度を測定検討した. 好酸球性肺炎患者の肺好酸球は, 対照に比して, 特異顆粒の脱顆粒や透亮化, 細胞質空胞化, 脂肪滴増加や Charcot-Leiden 結晶の出現等の超微形態学的変化を呈していた. これらの変化は末梢血好酸球の変化より高度であった. 好酸球性肺炎患者群のBALF中ECP濃度 (mean±SD) は12.2±7.78μg/lであり, 非発作時の気管支喘息患者群 (1.36±2.08μg/l), 健常者群 (2.14±4.62μg/l) に比して有意に高値を示した. これらの結果は, 好酸球性肺炎においては, 肺局所の好酸球は種々の刺激により活性化され脱顆粒が起こり, 構造変性を呈することを示唆するものであった.
  • 北村 均, 稲山 嘉明, 伊藤 隆明, 中谷 行雄, 前原 孝光, 小川 伸郎
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1957-1962
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    成人ヒト気道上皮の増殖と分化における上皮成長因子 (EGF) と同受容体 (EGFR) の役割を明らかにする目的で, 13例の成人肺癌症例を対象に気道上皮でのEGFRの発現を免疫組織化学的に検討した. 切除肺の非腫瘍部から採取した肺組織と気管支組織をAMeX法により処理し切片を作成, 抗EGFRモノクローナル抗体を用いた酵素抗体法にて免疫染色を行った. その結果, 気管支, 気管支腺, 細気管支, 肺胞のいずれの上皮細胞もEGFRを発現していなかった. 一部の症例にみられた気管支の基底細胞増生と扁平上皮化生, 線維化肺組織内の肺胞上皮増生と円柱上皮化生部のいずれの上皮細胞にもEGFRの発現はなかった. また, 成人ヒトの末梢肺組織をヌードマウスへ移植して作成した気道上皮再生モデルでの検討でも, 再生上皮細胞にはEGFRの発現は認められなかった. 以上の結果から, 成人ヒト気道上皮の反応性の増殖や分化にはEGF/EGFR系は主要な役割を果していないことが示唆された.
  • 畠山 忍, 立花 昭生, 内山 啓, 鈴木 和恵, 永山 雅晴, 岡野 弘, 岡 輝明
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1963-1968
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は62歳の男性. 昭和63年4月に葡萄膜炎の精査のため当院受診. 胸部X線写真上BHL, 肺野病変を認め, BAL, TBLBにてサルコイドーシスの診断を与え外来にて経過を観察中, 平成2年8月30日より左上下肢の筋力の低下を認め入院した. 胸部X線写真上左肺門部の腫瘤陰影と両側肺野陰影の増強を認め, 肺癌の合併と脳転移を疑い, 気管支鏡を施行. 左下幹入口部に腫瘤を認め同部の生検より小細胞癌の診断を得た. 全脳照射と多剤化学療法を施行したが3月後に呼吸不全のため亡くなった. サルコイドーシスと肺癌の合併は稀であり, その関連について検討した.
  • 須甲 憲明, 浮田 英明, 小倉 滋明, 若林 修, 中島 功雄, 清水 透, 棟方 充, 阿部 庄作, 川上 義和
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1969-1974
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は59歳女性. 突然の左側胸部痛を自覚してから10日後に受診. 自然気胸と診断され, 胸腔ドレナージにて脱気後, 左肺門部に3.0×2.1cmの類円形腫瘤を認めた. 画像診断上, 肺腫?との鑑別に苦慮したが, キュレットによる経気管支擦過および気管支肺胞洗浄の施行後に縮小し, Round Atelectasis (RA) と診断した. 本例の発生機序は胸水に伴うRAに類似した機序が推定された. また, 自然気胸後に認められたRAは従来に報告はなく, 今回が初めてである.
  • 西 耕一, 明 茂治, 坂東 琢磨, 大家 他喜雄, 車谷 宏, 安井 正英, 藤村 政樹, 松田 保, 塩原 信太郎, 湊 宏
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1975-1980
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    皮膚筋炎に対するステロイド療法中に, 間質性肺炎による呼吸不全のため死亡した1例を経験した. 本症例では気管支肺胞洗浄液 (BALF) の細胞成分から, polymerase chain reaction (PCR) 法によりサイトメガロウイルス (CMV) のDNAが検出され, しかもBAKLFの virus conventional culture 法によってもCMVが検出された. さらに, 剖検肺組織標本では, 核内封入体こそ認められなかったが, CMV肺炎に矛盾しない組織所見が得られた. 核内封入体が検出されなかったことから, definite なCMV肺炎とは診断できないかも知れないが, 本症例の間質性肺炎の発症には, CMV感染が深く関与しているものと考えられた. 従来, 膠原病性間質性肺炎と考えられていた症例の中に, ウイルス感染が関与している症例が含まれている可能性も十分考えられ, PCR法をBALFに積極的に応用することにより, 間質性肺炎発症におけるウイルス感染の関与について, さらなる知見が得られるものと期待される.
  • 西尾 誠人, 上谷 光作, 駿田 直俊, 小林 尚, 伊藤 浩二, 船迫 真人, 大畑 雅洋
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1981-1985
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は71歳男性, 胸痛を主訴に近医を受診し胸部異常影を指摘され当院に紹介された. 入院時, 顕微鏡的血尿, 胸部X線で空洞を有する結節状陰影, CTで上顎洞副鼻腔内に腫瘤様陰影を認めた. 肺生検では壊死性組織しか得られなかったが, 鼻粘膜生検にてフィブリノイド変性を伴う壊死性血管炎と肉芽腫病変を認めた. 抗好中球細胞質抗体は20倍と高値を示した. 以上より Wegener 肉芽腫症と診断した. predonisolone と cyclophosphamide の併用療法により胸部X線上の異常影, 上顎洞内の腫瘤様陰影は速やかに改善した. しかし, 体重減少が持続し耐寒性低下と筋力の低下を認めた. 血中T3, T4は低値を示し, またTSHも低値であった. 下垂体前葉負荷試験ではTSH, GH, ACTHが低反応であり下垂体機能低下症と考えられた. 本症例のように Wegener 肉芽腫症で下垂体機能低下症を合併した症例は稀であり, 若干の文献的考察を加え報告した.
  • 植村 新, 岡野 昌彦, 佐藤 篤彦
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1986-1990
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は74歳, 女性. 全身倦怠感を主訴として来院. 胸部X線写真上, 多発性薄壁空洞像を呈していた. 画像診断と経気管支的肺生検より肝嚢胞腺癌と肺転移と診断し, 化学療法を施行したが, 8ヵ月後死亡した. 剖検にて原発巣は, 胆管上皮由来の肝嚢胞腺腫の悪性化により肝嚢胞腺癌が発生してきたものと考えられた. 嚢胞腺腫では, 固有の性質として嚢胞を作る特性があるが, 今回肺での薄壁空洞像を呈した個々の病巣において, 肝と同様の組織所見や粘液産生性が証明されたことは, 即ち, 血行性に転移した癌細胞がやはり肺においても嚢胞を形成し, 気道と開通することにより嚢胞内容物と空気が置き代わり薄壁空洞像が構築されたものと考えられた.
  • 桂 幸一, 杉山 圭作, 北村 英之, 上部 泰秀, 松岡 健, 永田 直一, 千先 康二, 相田 真介
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1991-1995
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例, 58歳男性. 当院皮膚科にて黒色表皮腫と診断を受け, この際胸部異常陰影を指摘され, 精査のため当科に入院した. 気管支鏡検査で左B6に扁平上皮癌を, 左B3に孤立性気管支乳頭腫を認め, 左肺全摘術を施行した. 術後皮膚の色素沈着は若干軽快傾向を示した. 黒色表皮腫は約半数に悪性腫瘍を合併し, その大部分は消化器系の腺癌であり, 本例のごとく肺扁平上皮癌の合併はきわめて稀である. また孤立性気管支乳頭腫は本邦では, 自験例を含め16例の報告しかなく, しかも直径2mmという今までの最小の報告である. このような肺内腫瘍性病変と悪性疾患関連皮膚症状について文献的考察を加えた.
  • 岸本 卓巳, 佐藤 利雄
    1992 年 30 巻 11 号 p. 1996-2001
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    血性胸水を呈し, 胸水穿刺, 経皮的胸膜生検により確定診断ができなかった石綿曝露者2例に対して, 開胸胸膜生検兼切除術を行った. 病理組織学的には線維性増殖が顕著であったが, その一部には二相性の腫瘍性増殖が認められ, 免疫組織化学的あるいは透過型電顕所見により, 悪性胸膜中皮腫であると確定診断し得た. 腫瘍部分は繊維成分に完全に包まれていたため, 胸膜切除術により腫瘍組織の大部分が摘出されたものと考えられた. そのため, 術後12ヵ月あるいは10ヵ月後の現在も胸水の再発あるいは胸膜の腫瘍性肥厚を認めていない. 石綿曝露歴がある症例で血性胸水を呈し, 難治性である場合にはこれら2例の如き早期の悪性胸膜中皮腫である可能性もあることから, 開胸胸膜生検兼切除術を行うことは診断面のみならず治療面においいても有意義であると思われた.
  • 前田 重一郎, 森脇 優司, 田村 伸介, 波田 寿一, 東野 一彌
    1992 年 30 巻 11 号 p. 2002-2006
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    中枢神経症状が先行した中枢神経系サルコイドーシスの一症例を経験した. 症例は35歳の女性. 約10年前より原因不明の失神発作が出現し, 某医で精査されたが原因不明であった. 本院脳神経外科受診し, 左顔面神経麻痺と眼病変を指摘され, 本院眼科にて前眼房蓄膿を伴う前ブドウ膜炎と診断され, さらに胸部X線上, 両側肺門リンパ節腫脹を指摘された. サルコイドーシス (サ症) の疑いと失神発作の精査目的にて, 当科入院となり, 前斜角筋リンパ節生検にて, サ症と診断された. しかし失神発作は精神運動発作であり, 抗痙攣剤のみでは抑制されず, 脳波検査にて左頭頂側頭葉にスパイクを認める以外は, 頭部CT, 脳血管造影にて異常は認められなかった. 中枢神経系サ症が強く疑われた為, predonisolone 40mg/日より投与し, 精神運動発作の著明な改善を認めた.
  • 吉井 千春, 城戸 優光, 小畑 秀登, 二階堂 義彦, 田尾 義昭, 永田 忍彦
    1992 年 30 巻 11 号 p. 2007-2012
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は60歳の男性. 平成2年10月下旬より乾性咳嗽が出現. 11月下旬から某医で, 急性肺炎または肺結核として入院治療されたが改善しないため, 精査目的で平成3年1月29日当科入院となった. 入院時胸部X線写真で, 両肺野の血管影の増強, 葉間の肥厚, 葉間胸水貯留を認め, 胸部CTでは, さらに縦隔・肺門リンパ節の腫大も認めた. 入院後, 喀痰と胸水の細胞診, 右鎖骨上リンパ節生検, TBLBのいずれからも小細胞癌と診断された. 画像所見と他臓器に病変がなかったことから, 肺原発の小細胞癌による癌性リンパ管症を考えた. しかし, 臨床症状が比較的軽く, その後化学療法への反応が非常に良かったことから, 癌性リンパ管症ではなく広範な長軸方向進展のみを示した肺小細胞癌の可能性も十分に考えられた. 本例は, 癌性リンパ管症と長軸方向進展型の肺小細胞癌との異同を考える上で, 貴重な症例と思われ報告する.
  • 木村 丹, 原 宏紀, 松島 敏春, 小堀 迪夫
    1992 年 30 巻 11 号 p. 2013-2017
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    症例は62歳男性. 当科受診の約1年前から吸気時に喘鳴が出現するようになり, 近医の胸部CT検査で右主気管支に腫瘤性病変を指摘され, 当科に紹介され入院してきた. 当科の胸部CTでは, 右主気管支の背側から突出した表面平滑な腫瘤性病変を認めた. 気管支鏡検査を施行し, 右主気管支にCTと同様の所見があり, さらに末梢の中間気管支幹に異物を認め, 鉗子を用いてこれを除去した. 異物は魚骨であった. 右主気管支腫瘤の生検では, 炎症性肉芽の病理組織像を呈していた. 後に, 当科受診の2ヵ月前に魚骨を喀出したというエピソードを聴取でき, 右主気管支腫瘤は以前に刺入していた別の魚骨による肉芽形成と推測できた. 魚骨の除去直後から喘鳴は消失し, 除去前後の肺機能検査を比較すると, V25/V25予測値は24%から72%に, V50/V25比も3.7から2.4に改善した. 自験例は, 異物による肉芽形成を胸部CTで腫瘤性病変としてとらえられた, まれな症例と考えられる.
  • 久保 進, 藤田 紀代, 中富 昌夫
    1992 年 30 巻 11 号 p. 2018-2022
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
    慢性肺疾患患者14例 (男9/女5, 平均年齢70.8±8.3歳, 肺結核後遺症6例, 慢性気管支炎4例, 慢性肺気腫3例, 塵肺1例) を対象として末梢肺動脈 (内径1.0~4.5mm) の内視鏡的観察を行った. 7Fのガイドカテーテルと外径0.7mmのファイバーカテーテルを使用して肺動脈をバルーンで閉塞して観察した. 14例中10例において血管壁の発赤, びらん, 潰瘍, 内腔の閉塞, 血栓, 繊維状の付着物等の所見がみられた. 特に慢性気管支炎と肺結核後遺症において高率で, 肺性心を有する例では著しい変化がみられた 以上より, 慢性肺疾患では末梢肺動脈に“血管炎”や血栓等種々の病変が存在することが明らかとなり, 血管造影では得られない血管壁及び内腔についてのより詳細な情報を肺血管内視鏡により得ることができるものと思われた.
  • 1992 年 30 巻 11 号 p. 2024-2025
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 30 巻 11 号 p. 2026-2030
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
  • 1992 年 30 巻 11 号 p. 2031-2035
    発行日: 1992/11/25
    公開日: 2010/02/23
    ジャーナル フリー
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